VTR-SP2の藤原さんはバイクの整備士でもいらっしゃいます。その専門家の視点から、バイク返還後、その整備と登録の経緯を何度かに渡ってくわしくレポートをいただいています。今回はその中から、車検登録と車体番号打刻について紹介させていただきます。なお登録そのものは11月に完了しています。
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登録前準備編本日(11月16日)、なにわ陸運局に行ってきました。僕の住んでいるのが大阪市内なので管轄しているのが、なにわ陸運局になります。
【職権打刻にはどんな書類が必要か】
ちなみに最近職場の知人がバイクの盗難に遭って、発見した際(日本国内で盗難、発見も日本国内 CB400SF)車体番号の一部が削りとられ、職権打刻が必要になり、神戸陸運局で同じように聞いたところ必要な書類は、
・印鑑証明
・理由書
・販売証明(どのような形式なものかはよくわからないです)
・車体番号の石ずり
とのことだったそうです。
【今回の台湾から取り返したケースでは】
そして本題の僕の場合ですが必要書類は
・住民表
・理由書(手書きのこれまでの経緯がわかるように記入)
・車体番号とエンジン番号の石ずり
と簡潔な物でした、なぜかというと
・CBXさんから送られてきた書類(通関書類やその他の台湾で作成した物)がわかり易く、十分に揃っている
・バイクの販売証明に関しては、なにわ陸運局からメーカに確認していただけるそうです。
(手間がかかるんでやりますよといってました)
・印鑑証明は、今までに印鑑証明をもらわなくても、特にトラブルなどがないそうなので必要は無いみたいです。
というような感じでした、なぜ所々で違うのかというと職権打刻に関しては統一されたものがないみたいです。 だから今回、簡単な書類でいけたとしても、何かしらのトラブルがあれば、印鑑証明やメーカー側の販売証明が必ず必要になるでしょうとも言っていました。
【自走用ナンバーはどうする?】
あと、車検に行く際の臨時ナンバーですが、自賠責保険が必要になるのですが、その時に車体番号はどうしたら良いのかという疑問も浮かんではくるとは思いますが、車体番号は変造前の車体番号で良いそうです、その自賠責保険でちゃんと車検も受けれるそうです。そのどうするかというと職権打刻後に、自賠責保険の車体番号の変更をするだけです。
なにわ陸運局ではこのような感じだそうです。
【整備中のバイクの反響】
余談ではありますが、今僕のSP-2は職場に展示して修理中ですが、たまに「あの盗難で発見されたバイクですよね」と他の店員が聞かれるそうです。どこで知ったんですかと聞くとインターネットでと言われたそうです。だんだんと知られてきているみたいですね、とても嬉しく思います。これで他のバイクに乗られている方の盗難に対する意識もあがってくるでしょう。
登録編事前になにわ陸運局でした準備のせいか、ことのほかスムーズにいけました。ただ今回に関しては陸運局のかたがたの協力的な対応もありましたので、スムーズに行けたもかもしれません。
【自走で陸運局へ】
まず、使えるトラックがなかったので、自走でいくことに。
その前に区役所で臨時ナンバーを借りなければいけませんが、
・変造前の車検証のコピー(廃車証でも可)
・自賠責保険証(変造前の車体番号で加入)と説明ですぐに借りることができます。
【車検を予約】
次に車検の予約をとらなくてはいけません。(車検後に車体番号の打刻をするため)
そろえる書類は以前記入したものと印鑑を持っていけば、陸運局で対応できます。 (逆輸入車などを登録するのと同じような手順になります。)
陸運局では始めに相談所に行き、打刻申請の書類をもらい、他の書類をわたし、バイク本体と照らし合わせます。このときにメーカーに確認し、偽造前の車体番号が合ってるか調べます。(僕の時は確認は後でしたみたいですが・・・)
そして車検です、車検は普通の車検になります。当然、基準に適合しなければ落ちますので要注意です。
【車体番号の打刻】
その後に車体番号の打刻をします。このとき車体番号が打刻しにくい場所にあれば時間がかかるかもしれません。エンジン番号は形式が変わってないせいか、とくに何もされませんでした。(写真は、台湾で押収された時の偽装打刻(左)と打ち直した新しい車体番号。古い番号は末梢されるのではなく、Xが重ね打ちされるので、もとの英数字は読み取れる)
そして、車検証とナンバーの交付でひとまず終了になります。
【自賠責保険証の車体番号の変更】
この後自賠責保険証の車体番号の変更をおこないます。自賠責保険加入時に変造前の車体番号で加入しているので、打刻後の車体番号に変更します。これは簡単です、自賠責保険に加入した保険会社の支社に
・自賠責保険証
・車体番号打刻後の車検証
・変造前の車検証のコピー(廃車倍証でも可)
・印鑑(認め印で可)
を持っていき事情を説明すればできます。これで完了で、普通に公道で走れます。
【また乗れた】
帰り道、高速に乗って帰りましたが、とてもうれしかったです。また乗れるとは夢にも思わなかったですから。けどその後残念ながら事情があり知り合いに転売しました。今ごろ元気に走っていると思います。
今回の盗難バイク奪還でいろんな人と出会い、いろんな経験をして、バイクの盗難についてよく知ってもらいとてもうれしく思います。いまだにお客さんに聞かれることもあります。中には「自分のバイクが見つかって台湾から戻ってくるかもしれない」といい話を聞くこともできました。今後も自分もできるだけのことはしていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
【ハンドルロックだけではダメ】
あと仕事柄、ピッキングも勉強しなければと思い、道具を購入し試しにやってみたところ初心者の僕でもほんの数十秒でカギが開きました。(車種によりますが)ハンドルロックだけでは駄目だということを身をもって痛感しました。
* * * * * 一台のバイクを海外から戻して再び公道を走れるようにするまでには、いろんな人の努力と協力、そして書類が必要でした。人について言うと、まずは不審バイクを取り押さえて、オーナーに戻せないかと試みてくれた台湾の白バイ隊員と警察署、偽装打刻を鑑識してくれた台北の警察の鑑識課のスタッフ、現地で船積みするために必要な梱包と通関業務を請け負ってくれた協力者、横浜で輸入手続きを担当してくれた通関業者と好意的に便宜をはかってくれた横浜税関、そして整備をしてくれるバイクショップと陸運局の協力的対応。これらのどのひとつが欠けても、返還はスムーズに実現しなかったものです。必要な書類については、サイト上では詳細を報告しませんが、それを提出する先の機関に依り異なります。1)現地警察(裁判所)から引き取るためのもの、2)現地の税関で輸出申告に必要なもの、3)日本で輸入通関する際に必要なもの、4)陸運局にて登録するためのもの。これらに共通する書類もあれば、特別に用意しないとならない書類もあります。
そしてなによりも必要だったことは、台湾から取り戻してもう一度愛車に乗りたいという、CBX登録者のオーナーみなさんの意思でした。こうして初めて実現した海外からの合法的な奪還劇が、どれだけ他の登録者と被害者を勇気づけることになったか、計り知れません。
その貴重な記録としての藤原さんのレポートは、この後に続くであろう海外から帰還するバイクにとって、初めて道を開いた事例として、参照され続けることになるでしょう。