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Title:「火災時の焼損程度」-15 |
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1,焼損の程度は、焼損区分とリンク | |||||||||||||||||||||||||||
「火災損害の区分」で記載した事項を再掲します。 火災損害の区分 火災損害の区分は、どのような区分に分かれているか。 以前からあった「焼き損害」「消火損害」と言う区分に、新たに1995年(平成7)爆発損害を加えた。刑法改正により「焼燬(き)」が「焼損」と 書き換えられたが、燃えていると言う現場状況から「焼き損害」の言葉はそのままとなった。 ここで。全国と東京消防の違い。 火災損害の区分は、次のようになっている。 [全国] [東京消防] 火災損害 ア 焼き損害 火災損害 ア 焼き損害 イ 消火損害 イ その他の損害 (火災報告上は消火損害) ウ 爆発損害 ウ 爆発損害 (エ 人的被害) (エ 人的被害) [全国] 火災報告取扱要領の解説 「焼き損害」 (火災の火炎、高温等によって焼けた、こわれた、すすけた、変質したもの等の損害) 「消火損害」 (火災の消火行動に付随して発生する水損、破損、汚損等のものの損害) 「爆発損害」 (爆発現象の破壊作用によって発生した損害のうち、焼き損害、消火損害以外の損害)) 東京消防の用語の意味 「焼き損害」は、火炎によって焼失、火炎による焼けた、火災の熱による炭化、溶融、破損、変質した物の損害。 「その他の損害」は、「消火損害」と「火災による影響により生じたその他の損害」の合計。 「消火損害」は、消火のために受けた水損、破損、汚損等による物の損害。 「その他」は、火災時の搬出等による物の損害、煙の臭いによる商品等の物の損害、火災停電による 冷蔵施設等の溶解商品の損害等としている。 「爆発損害」は、爆発現象により受けた破損等の物の損害。 「焼き損害」とは。 火災損害の区分は、全国統計では、「焼き損害」「消火損害」「爆発損害」に分けてとらえている。 その区分に従って、火災報告取扱要領に従って、損害額評価を計上している。 この「焼き損害」は、「火災の火炎、高温等による焼けた、壊れた、すすけた、変質したもの等の損害をいう。」としている。 ここで「すすけた」を焼き損害にとらえることが問題となる。 「すすけた」は、どのようなことに関連するか り災者の立場から見れば、実際に火災により、真っ黒に煤けているタンスや布団などは 「焼き損害」として見たほうが、分かりやすく 親切である。しかし、「煤けた」状況を「焼き損害」に取り込むと必然的に、その部分の壁や天井は焼損面積に反映させなければなら ないこととなってしまう。 用語の解説では、「すすけ」は焼き損害に計上され、火災の高熱等により起きた「焼き現象の一部」とされている。 反面、「消火損害」と言うときには「消火のために受けた水濡れ損害」「消火中に生じた破損や汚損などの損害」しされる ことから、「消火活動による被害」が該当し、「すすけ」はその範囲には計上されない。 つまり「焼き損害」とするほかないこととなる。 焼損表面積等に反映されない「焼き損害」の考え方 つまり、「すすけ」や「匂い」など汚損とされる損害対象は、火災の火炎や高熱等によるものではないが、 「火災により発生」した被害であることは、確かなこととして、広く「焼き損害」として捉える、言わば「火災による損害」となる。 東京消防のように火炎や高熱の影響と、それ以外を分けて「その他の損害」として火災全般による損害を包み込んでしまう とわかりやすいが、現行の「火災報告取扱」は、火災の定義、耐火建物損害算出等全般にわたって、時代の遺物(レジェンド)化 していることからも、解釈的な解釈を必要とする。 つまり、「焼き損害」の部分(天井、壁なども含め)ではあるが、すすけを焼損表面関等には算定しない、ことが便法と なる。 例: 耐火建物の火元が2階で、その煙で3階の居室が煙で「すすけた」ケースの場合、焼損面積とは算定しないが、「焼き損害」 した部屋(床面積部分を被災損害計上)とされる。 [雑談] このホームページの「焼損程度の区分」で紹介している、2013年10月「有床診療所火災」で延べ682㎡で、焼損床面積282㎡でも 全焼となっているのは、上記のようなすすけ等を「焼き損害」としたうえで、焼損面積に計上しないとした仕組みと言えそうだ。 しかし、全焼の区分は、建物評価額に対する、焼き損害額が7割を超えるとする判定であり、耐火建物のような躯体構造が火害 被害を受けにくい構造体では、損害額をどのように損出計上しても難しいと言える。(取り壊されることが前提なら支障ないが) もっとも、一般的に個別の火災の火災損害額が公表されることは「ない」ので、その点では、「すすけ」をどのように捉えても 実害はない。 |
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2, 現場の見分事例 | |||||||||||||||||||||||||||
「損害調査」は、原因調査のように複数人が関わる事案と違い、現場で個人的な判断要素が入りやすい業務となっている。 り災者の立場を意識しすぎて、およそ「焼き損害」と言えない箇所までも「焼損面積(床面積・表面積)」としたり、逆に、耐火建物の部材から 「燃えていない」のでとして、「焼損面積」とせずに単に「すすけた」とする場合がある。 これは、「焼け」の見方が不十分で、それぞれの部材に対する観察が曖昧なことと、損害調査業務の意味を理解していないことから起こります。 消防として「焼き損害」で扱っても、「焼損面積」に入れなくても、火災保険査定上では十分に認めれます。そのことの実態を知らないで、「焼損 面積」に組み込むことは、間違いです。火災保険の査定は、「損害鑑定人」等の火災時のり災箇所の修復を含めた再建築価格を算定してから 減価償却しており、「修復」的意味合いを査定上で勘案している。なまじ、消防調査でそれらの補修までも見て「焼損面積」を考える必要はない、 と言える。 実態上、保険支払い額と消防の火災損害評価額は、全焼火災ではほとんど変わりなく、部分焼火災で隔たりがあり、半焼火災では大きく 異なる。しかし、これは算出の式を見ればわかるとおり、査定上の考え方が違うことよる(単位建築時評価額に単純に焼損床面積を乗じる消防 方式は、実態としての建物全体の損害評価としては半焼火災時には大きく影響する。) 現在、「火災」の架空請求による詐欺まがいの行為を防ぐ意味から、火災保険会社は「火災」の発生の都度、消防のり災証明を必要としています。 り災証明では、「焼けた部分(焼損面積)」および水損箇所等の明示をして、火災保険制度の善良な維持を担う役割があります。 「焼けている」箇所を確実に把握し、これらが、「現場見分調書」として記載され、損害査定される必要があります。 |
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参考: 東京消防庁「新火災調査教本」第2巻 損害調査編 「火災報告取扱要領ハンドブック」 日本建築学会「建物の火害診断および補修・補強方法」 |
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