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主たる執筆は、Tamtam氏です。
Tamtamは、中国で幅広く火災調査の活動をされていました。
北京市消防局 本部玄関の風景 外国の消防には、この 中国のように警察や軍 の組織内に組み込まれ ている所も多く、門兵の 立哨(ところにより着銃) が見られます。 |
☆ 中華人民共和国の火災調査の動向 |
F1-02 中国の火災調査制度・ その2 「火災調査の法律」 07,06/17
北京市消防局 消防科学研究所 |
☆ はじめに 第1回では、中国消防の概論的なことを述べましたが、第2回は中国消防法に おける火災調査の法体系について触れてみます。 ★ 中華人民共和国消防法(抜粋) 中国は、1998年4月29日第9期全国人民代表大会・常務委員会第2次会議通過 により「消防法」を制定しました。 第1章から第6章まであり、第1章総則の第1条では、「火災の予防と火災による 被害を減少させ、公民の身体、公共の財産と公民の財産の安全を保護し、公共 の安全を維持し、社会主義近代化建設の順調な進行を保障するため、本法を制 定する。」と唱えています。 また、第2条では、「消防活動は予防を主とし、災害の除去を組み合わせる方針 を貫徹し、専門機関と大衆を結合させる原則を堅持し、防火安全責任制を実行す る。」と記載されています。 ★ 火災調査は、第4章消火・救助の章 第39条で「火災鎮火後に、公安消防機構 は必要性に応じて火災現場を封鎖し、火災原因の調査、認定に責任を持ち、火災 による損失を確定し、火災事故の責任を明らかにする権限を有している。 大規模な火災事故の発生に対して、国務院あるいは省級人民政府が必要と認め たときは、調査を行うことができる。 火災鎮火後に、火災を発生させた「単位」は、公安消防機構の要求に応じて現場 を保全し、事故の調査を受け入れ、事実どおりに火災の事実についての状況を説明 しなくてはならない。」とあり、中国における火災調査の法的根拠となっています。 |
F1-03 中国の火災調査制度・ その3 火災事故調査規定
1 はじめに 第2回では中国消防法における火災調査の法的根拠等について述べましたが、第3回は「火災事故調査規定」 について触れてみます。 2 「火災事故調査規定」(中華人民共和国公安部令) 火災事故調査規定は、1999年3月2日の公安部部長会議を経て同意を得たのち、中華人民共和国公安部令第37号 により、1999年3月15日に発布されました。 7章から成り、全40条の規定ですが、第1章総則第1条において、火災原因調査を増強し、規範するため、火災原因調査 の責任と任務を明確にし、「中華人民共和国消防法」の関係する規定に基づき、本規定を制定した。とあります。 ここで、以降の説明が理解し易くなるよう、北京市消防局組織図を掲げておきます。 表1 北京市消防局組織図 (2000年版) ┌──司令部 │ ・秘書処・警務処・戦訓処・通信処・管理処 │ ・専職指導処(企業消防指導) │ ・調度指揮センター(指令) ├─ 政治部 │ ・秘書処・組織処・千部処(幹部)・宣教処 局 長(1名) ───┤ ・監察危険保衛処 ・副局長(4名) ├─ 后勤部 ・総工程師(1名) │ ・秘書処・財務処・営房処(施設) │ ・供給処・車管処・汽訓大隊 │ ・生産管理処 ├─ 防火部 │ ・秘書処・重点保衛1処・2処・政研指導処 政治委員(1名) │ ・建審処・宣伝処・火査処(原因調査) ・副政治委員(1名) │ ・危管処(危険物)・技術処・法規処 │ ・消防科学技術研究所 ├─ 区・県消防処(科) ├─ 消防支隊(6隊)ー消防中隊(41隊) ├─ 消防学校 ├─ 消防医院 └─ 教育訓練センター (注:この表の縦線は一直線です。) 第2章は、火災原因調査活動の統轄で、第7条において火災原因調査活動を次のように分業しています。 (1) 一般火災事故の調査活動は事故発生地の県(市、区、旗)の公安消防機関により実施する。 (2) 重大火災事故の調査活動は事故発生地の県(市、区、旗)又は地区(市、州、盟)の公安消防機関により 実施する。 (3) 特異火災事故の調査活動は所在地の地(市、州、盟)、あるいは省級の公安消防機関により実施する。 とあります。 |
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福建省アモイ市(厦門)消防 (中国でも南の方は経済的に豊かな ところが多く、アモイ消防の消防車両 はベンツ製が並んでいる。) |
F1-04 中国の火災調査制度・ その4 火災事故調査規定の内容 07.07/1
中 華 人 民 共 和 国 の 火 災 調 査 制 度(第4回) 1 はじめに 第3回では「火災事故調査規定」(中華人民共和国公安部令)について述べましたが、第4回は「火災事故調査規定」 の内容についても、さらに触れてみます。 2 第3章 火災原因調査の職員になる条件 火災原因調査の職員になる条件として、各級公安消防機関は専従あるいは兼職の火災原因調査する職員を配置し なければならない。 また、火災原因調査活動に参加する職員は火災事故に利害関係がかかわって、公正な調査活動に影響を及ぼす可 能性がある場合、この火災原因調査活動に参加してはいけない。とあります。 3 第4章 火災原因の調査と認定 火災原因調査職員は、調査の任務を受けてから,早急に火災現場に到着して、調査活動を展開しなければならない。 公安消防機関は必要な場合、火災現場に立ち入りを禁止する権限を持て、関係する部門と個人は積極的に現場を保 存するのに、協力を与えなければならない。 重大又は特異な火災が起こった場合、火災原因調査団を成立しなければならない。また必要に応じて、関係部門と専 門家を要請して、調査活動を行う。 火災調査団の責務は (1)事故の原因、死傷者及び損失額を究明すること (2)事故の性質と責任を究明すること (3)事故の責任者を処理する意見を出すこと (4)事故処理と類似の事故を繰り返さないようにアドバイスを提出すること (5)原因調査の報告を書くこと 火災原因調査をする職員は即時に調査し、質問しなければならない。 火災の起こった部門あるいは個人は火災の実情を提供しなければならない。 調査し、質問する職員は二人以上とする。問い合わせして筆記された質問は相手に確認してから署名捺印をさせる。 調査する職員も署名捺印をしなければならない。 公安消防機関は、関係する責任者を召喚することができる。召喚する場合は令状を使わなければならない。 質問に応じない者と出頭を拒否する者に対しては強制で召喚することができる。 ⇒日本の消防機関と基本的には同じ部分が多いと思いますが、与えられた権限に警察権がかなり入り込んできてい る部分があります。 中国消防は軍隊消防であるため、大規模な消防演習などは戦争を想定して、実際に廃屋のビルを爆破して爆撃を 受けたという想定で総合的な演習をしたりしているようです。また、火災を起こしたものに対する罰金を課すことも権 限として与えられています。 |
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中国の消防署における火災原因の案内板 |
F1-05 中国の火災調査制度 その5 07.07
1 はじめに 第5回となりましたが、今回も「火災事故調査規定」(中華人民共和国公安部令) の特に、警察権の部分について 述べてみたいと思います。 2 火災事故責任の認定 公安消防機関は火災原因、火災損失額の調査状況により、火災事故の責任を究明して、「火災事故責任書」を書か なければいけません。 火災事故に関連する部門と個人の責任は以下の四種類があります。 (1)直接責任 (2)間接責任 (3)直接責任者の責任(警備会社の責任者等を指す) (4)責任者責任(出火元の社長等を指す) 公安消防機関は火災事故の責任を調査して明らかにした上で、関係する者に以下の措置で処分します。 (1)行政処分されなければならないときに、公安消防機関により処理意見を提出して、関係部門に送付する。 (2) 消防の法律と法規に違反した場合、公安消防機関は法律に基づいて処罰する。 (3) 犯罪をした場合、法律に基づいて刑事責任を追究する。 また、当事者は、火災原因と火災事故責任認定の結果を承認しがたい場合は、「火災原因認定書」と「火災事故責 任書」を受け取った日から15日間以内に、主管する公安機構あるいは上級公安消防機関に再認定を申請すること ができます。 火災事故発生地を主管する公安機関あるいは上級公安消防機関は、申請書を受け取ってから2ケ月以内に、 維持・変更・取り消しの決定を出さなければなりません。 再認定の決定を出した場合は、「火災原因再認定書」と「火災事故責任再認定書」を作成し、申請者と元の認定機 関に送付しなければならないとあります。(再認定結果は最終決定となります) 3 奨励と懲罰 公安消防機関とその職員は、下記の行為のひとつがあった場合、関係する規定によって責任者に行政処分をし、 犯罪と認めた場合は刑事責任を追究されます。 (1)人をそそのかして故意に火災調査の原因認定、責任追究を間違えた場合。 (2)火災調査の責任を追究するときに重大な誤り、影響を及ぼすことをした場合。 (3)職務権限を濫用して、賄賂を求めたりあるいは他人の財物を受け取ることをした場合。 (4)ほかの職権を濫用して、職務をおろそかにして、私利に惑わされて、国家と国民に損害をもたらした場合。 現実は、時と場合に応じて贈収賄事件に発展した事例もあるようです。 |
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北京郊外「密雲」の消防 @ 消防防火衣 A 密雲消防署では豚を飼っていた 食用? |
F1-06 中国の火災調査制度 その6 07.08.04
1 はじめに 第6回となりましたが今回は、2000年当時の中華人民共和国刑法及び治安管理処罰条例における消防との関係に ついて触れてみます。 2 中華人民共和国「刑法」 消防に関する中華人民共和国の刑法は、放火罪・失火罪についての規定があります。 また、重大責任事故罪及び危険物品違反罪並びに消防事故責任罪の規定があります。 そして、昨今世界中のマスコミで報じられていますが、メーカーが不安全な物を生産して販売した場合に対する 罰則規定もあります。(ほどよく機能しているのかどうかはわかりません) 3 中華人民共和国「治安管理処罰条例」 治安管理処罰条例があり、この中で治安管理処罰裁決権の規定があることと治安管理処罰の一般的な手順及び 拘留執行規定等があります。 他に、「行政処罰法」「行政訴訟法」「民事訴訟法」「国家賠償法」「人民警察法」「行政再議条例」等が存在します。 オリンピックを来年に控えた中国の文化は、三大宗教(仏教・儒教・道教)の中でも、道教が主流となっており、 道教文化は、中華民族の血縁・地縁・国情・民情と密接に関連していると思われます。 中華人民共和国という一国二制度(香港)をとっている社会主義国の現状は、まさに1964年に開催された 東京オリンピック当時の日本と同じように思えます。 |
北京市消防局「密雲消防署」が使用していた資器材 左端の消防ホースの結合は、組み合わせ式。(町野式ではありません。) 台上の金具は窓枠等「引っかけ」進入金具。 台下が、消火栓鍵とスピンドル。 |
1 はじめに 7回目の今回は、2000年当時に中国の火災現場での 1コマを写真で紹介します。 2 左の写真の現場 既存ビルが、頻々に内装を変えて、リニューアルします。 そのため、取り壊し中に「溶接・溶断」による火災が、多い です。 この現場も、配管の溶接をしていた時に、解体中の雑品の 上に 「火の粉」が落ちて、火災となったものです。 |
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3 左の2段目の写真の現場 高架下の駐車場に駐車していた、トラック等に「放火」された 現場です。火災感知器などがないため、通報も遅れ、濃煙で 消火も手間取るために、被害が大きくでています。 |
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