【文学作品(書物)】 奥の細道 (おくのほそみち) |
【成立時期】 江戸時代 (1690年ごろ) |
【作者・編者など】 松尾芭蕉 (まつお ばしょう) |
【種別・ジャンル】 俳諧(はいかい)・紀行文(きこうぶん) ※ 紀行文(きこうぶん)…旅で見たり聞いたりしたことの記録や感想 ※ 俳諧連歌(はいかいれんが) 連歌が優美で芸術的なものに対して、俳諧連歌はこっけいで、 遊び的な要素が入り、おかしみをねらった連歌のこと |
【内 容】 門人(もんじん)の曽良(そら)といっしょに江戸の深川(ふかがわ)を出発し、 奥州(おうしゅう 東北地方)を旅し、帰りは北陸をまわり、9月6日に大垣 (おおがき)につくまでの約6か月の旅の様子を書いた紀行文(きこうぶん)。 旅の途中の風物(ふうぶつ)や人情(にんじょう)などが簡単にまとめられて いる。 |
【特 長など】 ● 紀行文の最高傑作(けっさく)とされる。 ● 自然の様子よりも人間関係を中心に書かれている。 ● 俳句と俳文(はいぶん)からできている。 ● 漢語(かんご)をまじえて力強い文体 ● 松尾芭蕉(まつおばしょう)は、旅を人生と考え、一生を旅の中で過ごした。 ※ 俳文(はいぶん)…俳諧(はいかい)の心を文章にしたもの |
【備 考】 ● 蕉風俳諧(しょうふうはいかい) 松尾芭蕉(まつおばしょう)が中心になって完成させた俳風(はいふう) こっけいで遊び的な俳諧連歌(はいかいれんが)を自然詩で芸術的で 文学的な国民詩にまで地位を高めた。以後、俳句(はいく)へとつなが る。自然の中に深く入り込み、人生の真実を追求した。 俳風は「さび」である。…閑寂枯淡(かんじゃくこたん)な味わいのこと ※閑寂枯淡(かんじゃくこたん)…ひっそりとさびしく、あっさりしている中に 深い味わいがあること ●松尾芭蕉(まつおばしょう)の作品はこの他に、「野ざらし紀行」「笈の小文 (おいのこぶみ)」「更級紀行(さらしなきこう)」「猿蓑(さるみの)」などがある。 〈 奥の細道の書き出し 〉 月日は百代(はくたい)の過客(くわかく)にして、行きかふ年もまた 旅人なり。舟の上に生涯(しゃうがい)を浮かべ、馬の口とらへて老い を迎ふる者は、日々旅にして旅を栖(すみか)とす。古人も多く旅に死 せるあり。予もいづれの年よりか、片雲(へんうん)の風にさそはれて、 漂白(へうはく)の思ひやまず。 [意 味] 月日は永遠の旅人のようなものであり、来ては去る年もまた旅人に 似ている。舟の上で一生をくらす船頭(せんどう)や馬のくつわをとって 老年をむかえる馬子(まご)などは毎日が旅で、旅そのものをすみか としている。昔の人も旅の途中で死んだ人が多い。私もいつのころ からか、ちぎれ雲のように風にさそわれて、さすらいの旅に出たいと いうの思いがやまない。 【奥の細道で松尾芭蕉(まつおばしょう)が旅した道】 |