102. 吹雪刑事の登場、Gメンとの出会い
(注:ワンシーンずつ、ストーリーが判らないように解説していますが、ネタバレの内容は含んでいます)
1.吹雪杏子のデビュー
吹雪杏子刑事は、Gメン75で唯一 "1人だけで加入”したメンバーである。
また登場編の2部作は、前年秋に南雲・島谷が加入した時に続き、吹雪刑事が
2度目である。
彼女の登場は、1980年4月5日(昭和55年)
Gメン75の6年目 メンバー更新では第6期にあたる。
初登場シーンは非常に大事だが、幸いにも吹雪刑事にはカッコイイ登場シーンが与えられている。 射撃の名手にして実戦能力が高いとされる、SP隊員に相応しい内容になっている。
登場シーンは他のメンバーも印象に残るが、その中でも吹雪刑事のものは特筆ものだと思う。
ハードボイルドの主人公には、行動的でタフであることが求められるが、
登場編での吹雪杏子の行動は、
1)暗殺者のライフルが火を吹き始めた時、直接対決しようとした判断力
2)全速力で駆けつけ、暗殺者に一気に肉薄する行動力と、勇気
3)射程距離に入るやいなや、一瞬の"ためらい"もなく射撃する決断力
4)相手の上半身しか見えない状況で、多くの銃弾を命中させた射撃能力
吹雪刑事の動きは、どれをとっても申し分がない。非常に実戦的で圧倒的な行動力である。
2.Gメンとの出会い(1)
不敵な面がまえの吹雪杏子。
扉を開け、後ろから近づいてくるGメンたち。
杏子は、ゆっくりと振りかえる。
Gメンたちはギョッとするが、現場にいたのが女で、
それも彫り深い顔立ちの美女という事が、予想外だからだろう。
Gメンたちの方が緊張している。
相手が女1人であるのに、全員が射撃の構えをしたまま、全く油断していない。
振り返った吹雪杏子に、立花・中屋・田口の3人は射撃の構えを解こうともせず、
一分のスキも見せない。 (右の画像は、DVD第1弾-Vol.3にも使われている)
ところが、杏子は意にも介さない。
鼻先に拳銃を突きつけられても、まったく臆することなく平然と説明を始める。
これぞハードボイルド! タフで、軟弱さを拒否したような女刑事。
この2部作は、ハードボイルド、ハードアクションの傑作であり、スタッフの高い意気込みが感じられる。
KAJITA巡査さんの話によると、「当時、スタッフも『キイハンター』の全262話を超えてみせるぞ! という気迫
に満ちていました。」 との事である。
3.ミステリアスな登場
「ミステリアス」は、吹雪刑事の代名詞であるが、それはこの253話での雰囲気が大きく影響している。
前編での出演シーンは決して多くはない。しかしその印象は強烈である。
つば広の帽子で顔を隠した姿で登場し、かいま見える吹雪杏子のクールビューティな顔が、ミステリアスな雰囲気をより醸し出している。
テロリストが送りこんだ女スパイかも?と思わせる演出も行なわれている。
一方、Gメンたちは誰も彼女を知らず、島谷刑事が不審を感じて尾行するなど全く未知の女であった。
吹雪刑事は、笑顔が魅力的な女刑事でもある。
しかし、この登場編2部作においては"クール”な美しさが押し出され、
それが特に際立っていた。
吹雪刑事の登場シーンは、響圭子刑事の登場に少し似ている。
「謎の女」「帽子で顔を見せていない」「悪女かも?」等である。
吹雪刑事にはGメン75当初のイメージで、という意味込みがあったの
かも知れない。
4.Gメンとの出会い(2)
黒木ボスが、メンバーに紹介することは、かつてなかったが、今回初めて
この254話で、「SPの吹雪君」といってGメンに紹介する。
(メンバーへの紹介は、翌81年度にも行なわれた)
紹介されたときの、吹雪刑事の挨拶が印象に残っている。
黒木警視正とGメンたちに、
挨拶のために、丁寧に腰を折って頭を下げながらも、
杏子は眼光を前に残し、Gメンのメンバーたちから目を離さず、油断なく
彼らを見据えたまま挨拶している。
例え相手がGメンであっても、スキを見せない挨拶の仕方で、さすがSP隊員!
→ 後の257話 「大暴走!囚人護送車」 でも、目を離さずに挨拶している。
(目を伏せないのは、中島はるみ本人が考えたのか?誰かが指導したのか?)
そして杏子は、彼らに対し"ニコリ"ともせず、平然としているのである。
女性ならば、普通は笑顔をするだろうと思う場面である。
まさにハードボイルド! Gメン75ならではの女刑事の登場編である。