143. 吹雪刑事とGメンの走り


1.Gメンたちの走り


Gメン75は走るシーンが実に多い。 他の刑事ドラマの「太陽にほえろ」などでも多いがGメンほどではないだろう。
それもGメン75では全力疾走が多いので、初めのうちは全速力での走りでしごかれて、失神寸前になるとか。

だから、吹雪刑事を演じた中島はるみは、「台本に走るシーンがなかったら、
ホッとする。」 と言っていた。

メンバーとしては、関屋警部補、草野刑事、津坂刑事、響刑事、中屋警部補、速水刑事、島谷刑事、田口刑事、吹雪刑事、 らが良く走った。

                                                          疾走する吹雪刑事

関屋警部補 (左の画像の右側) を演じた、原田大二郎さんが語ったところでは、
 「Gメンでは主役の時だけでなく、お手伝いのときでも走らされた。朝から晩まで走っている状態で、お手伝いの時くらい、走らないで済むようにして欲しいなぁと思った。」 という。
足の付け根のところが腱鞘炎になり、太腿が両方ともに痛くなったという。
それが原因で 「降ろしてほしい。」 と言って降板したというから、余程ハードだったのだろう。             (注: DVDコレクションUの解説書より抜粋)

山田八兵衛刑事を演じた、藤木悠さんも、Gメンの走りで苦しんだ一人。
若い草野刑事や関屋警部補と一緒に走るとき、彼らが全速力で走ると、山田刑事はついて行けない。 やはり若さは良いものだ。
「お〜い。少しスピードを落としてくれ。」 と言ったこともあったという。
それでも、山田刑事も前作の 「アイフル大作戦」 に出演している時は、良く走っている。

立花警部は、黒谷町シリーズで、"天狗坂" や "地獄谷" などの雪の山道を、走っている姿が強く印象に残っている。

島谷刑事は、295話 「午前6時の通り魔」 でのラストの全力疾走は、まるで宙を飛ぶようで素晴らしかった。
         また、306話 「サヨナラGメンの若き獅子たち!」 では、中屋警部補とともに疾風のように速かった。

田口刑事は、258話 「大空港の逃亡者」 で、容疑者を追いかけるシーンは、凄絶だった。


2.女刑事の走り

女刑事たちも、良く走る場面があった。
特に、響刑事から吹雪刑事までは良く走った。

ところが、81年度には3人の女刑事が登場するが、彼女らは3人とも走ることが極端に少なくなった。 こんなところにも、"81年度のGメンは変化した" 、と言われる現象が出ているのかも知れない。
とにかく4代目の吹雪刑事までは、走る場面が多かった。

そんな中で走るスピードを見ると、計7人の女刑事の中で速水刑事と吹雪刑事の2人が速い。 また走る時のフォームも、この2人がカッコイイ。
他の女刑事たちも、普通の女性よりは速いと思うが、この2人に比べると落ちる。

響刑事・津川警部補は、ピッチを速くして懸命に走る姿は頼もしいが、ストライドが小さい為に、速さを感じるほどのシーンはなかった。


<響刑事>
沖縄シリーズ Part3 ラストでの、執念の長い走りが印象的だった。(右上の画像)
この時には小田切警視、山田刑事、津坂刑事らも懸命の走りを見せている。
また第1話のラストでは、初回から関屋・草野・響らが全力疾走している。
この響刑事を演じた藤田美保子さんは、「良く走って、お腹がすいたことばかり記憶にあります。」 との事である。


<津川警部補>
「178-3.津川警部補」 のページでも記載したが、演じた夏木マリさんが容疑者を "追跡する" 幾つかのシーンは印象的だった。
例えば、207話 「婦人警官連続射殺事件」(右の画像) や、216話 「口裂け女殺人事件」 等での、果敢な追跡シーンはカッコ良かった。



3.速水涼子刑事の走り


Gメン75の女刑事で "最速" の走りを見せたのは、速水涼子刑事だろう。
ストライドが大きく軽快でカッコよく、スピード感豊かに走るシーンが一番記憶に
残ったのが速水刑事である。この走りを見せ場として描いたシーンも幾つかあった。

このHPのテーマである吹雪刑事も速いが、彼女以上に速水刑事は速いと思う。

しかし、「106話 女刑事殺人一課」 では、捜査中に草野刑事についていけず、足を引きずるシーンもあった。
彼女の成長過程を描くのが、速水刑事の描き方だったようなので、このような場面も作ったのだろう。


1) 先輩HP管理人である速水涼子刑事さんによると、速水刑事を演じた森マリア (マリア・エリザベス) さんは、
  学生時代はスプリンターだったとの事である。 だから走るフォームもカッコよく、スピードも速水涼子刑事が
  おそらくトップだろう。



2) 速水刑事の印象的な走るシーン

  次のシーン等が、印象的なシーンである。
  彼女の走るシーンは、その走りが印象強くなるように、丁寧に描かれている
  ように感じている。

  106話 「女刑事殺人第一課」 −−− 怪しい男を追って香港の街を走る。
  129話 「警察犬と女刑事」 −−−− 犬の訓練で、犬とともに疾走する。
  279話 「FBIから来た女刑事」 −− 狙撃者を探して、草むらを疾走する姿は
                          特に印象的。



4.吹雪杏子刑事の走り

走りについては、 速水刑事の方が上だと思うが、 吹雪刑事も速くてカッコ良い。
登板編の、最初の見せ場が "全力疾走" の場面で、彼女の速い走りがポイントになっており、躍動感あふれる素晴らしいシーンになっている。
この場面は、「Gメン75最終回特報」 のメンバー紹介の場面にも使われた。

女の走るスピードは男の90%以下と言われるが、吹雪杏子の走るスピードは
若い男に決して負けていない。


ストライドの伸びも充分で、杏子は走りで遅れをとった事がない。
但し男を凌ぐという程ではないので、抜群という訳ではないが、この走る能力は女性としては相当に高い。                                       暗殺者へ肉薄するため全力疾走


1) ハイヒール

速水刑事はパンプスで走るのが多かったというが、吹雪刑事はハイヒールで全力疾走する場面が多かったという。
登場編で暗殺者に一気に迫るシーンも、彼女はハイヒールで全力疾走している。
左の画像は、杏子が階段を駆け上がるシーンだが、間違いなくハイヒールである。
ハイヒールなのに、良くぞあれほどの猛スピードで走れたものだと思ってしまう。

とはいえ、中島はるみはモデル出身だから、ハイヒールでカッコよく歩くのは自信があったとのことだが、ハイヒールで全力疾走するのはきつかったという。
足はつるし、 スソは乱れるし、、と。

2) 得意なのは水泳

吹雪杏子を演じた中島はるみは水泳が得意で、 妹の中島めぐみさんは陸上の選手だったとのこと。
ただし、中島はるみは 「走るのでも、妹には負けないわ。」 と言っているから、 走るのも得意だったのかも知れない。

水泳が得意だったという話は、彼女の話に何度でも出てくるから、よほど得意だったのだろうが、走りはよくわからないが、 テニスも好きだったという事でもあり、トレーニングで走りも相当に鍛えていたことは間違いないだろうと思う。
                                                    草むらを全速力で走る杏子


3) 吹雪刑事の印象的な走るシーン

彼女は走りを前面に押し出した作品は少なく、 さりげないシーンで走りを披露することが多いが、 印象的なものとして次のようなシーンがある。

 253話 「白バイに乗った暗殺者たち」
            − 暗殺者と対決の為、全速力で駆けつける
 256話 「死体に呼ばれた女刑事」 −−(右上の画像)
            − 凹凸の多い草むらを全力疾走で、犯人を追跡
 261話 「初夏の夜 女の部屋に忍ぶこそ泥」
            − 泥棒を追跡、坂を駆け降りる
 272話 「東京−神戸 電話殺人」
            − ラストで、発砲した男を追跡
 294話 「香港の女カラテ対GメンPart3」
            − 香港コネクションのアジトの中を疾走 (右上の画像)
              走りが速い、杏子ならではの囮作戦。
 297話 「ラッシュアワーに動く指」
            − ラストでスリを追跡。 追い越して前に出る



4) 転倒

吹雪刑事は全力疾走するシーンで、ハイヒールが抜けかかった途端に
転んだ事があったという。 その時の記事によると、
「それもひねった左足に、もろに自分の体重をのせた感じで倒れちゃった。
 もう痛くて痛くて、すぐに腫れ上がってくるし。」
ただ丁度、八王子にある外科医院の前でロケしていたので、そのまま運び込まれたという。

しかし、病院の医者は治療に関係のないことばかりを言ったという。
   「これ、いつの放送ですか?」
   「いつも見てるんですよ。頑張ってくださいね。」 等々。
中島はるみの方から、スタッフを待たせて悪いので、「早くして下さい。」と言ったという。
それからは、走るときは運動靴に履き替えるか、ハイヒールだと靴と足をガムテープでグルグル巻いて固定したという。

やはり、Gメンでの全力疾走は大変だったようだ。



 "雪"の地獄谷を走る 立花警部     速い! 島谷刑事と中屋警部補      犯人を追跡する田口刑事

 "夏"の沖縄を走る 小田切警視    上を見ながら疾走する吹雪刑事     草野刑事と関屋警部補


トップへ戻る