下部漸深底帯底生魚04

ガンギエイ科の中でも一風変わった種類がこのイトヒキエイでしょう。まずこのぺらぺらの薄い一反木綿みたいな体、鼻先にチョビヒゲが突き出し、尻尾も細いムチ状で背びれも尾びれもありません。ウロコもありません。そして何よりユニークなのは腹びれ(前葉部)が人間の脚の形、それもガニ股をしていることです。ひっくり返した姿は何ともユーモラスです。腹面に眼のように見えるのは鼻孔です。一方クロカサゴはその名の通り黒いカサゴなので普段見慣れている赤色系のカサゴとは違った印象を受けます。特徴は太い溝状の側線で昼夜鉛直移動をするといわれています。さて右下に見えるのは虫ではありません。タンガクウナギ科に属するれっきとしたフウセンウナギ目の魚です。世界に約14種が知られタンガク(単顎)、つまり上あごの骨がない実に中途半端な構造を持った生き物です。眼や腹びれは非常に小さく体長も人の指くらいなのでミミズかナメクジと間違えてしまいそうです。二千Mあたりの水深に棲息しています。
1.イトヒキエイ
 Anacanthobatis borneensis
 38p

2.オザワタンガクウナギ
 Monognathus ozawai
 6.5p

3.クロカサゴ
 Ectreposebastes imus
 18p













腹びれ(前葉部)