上部漸深底帯底生魚
/生物12

小判型の生き物はヒザラガイです。いわゆる軟体動物で貝やイカタコの仲間です。磯の岩によくへばりついてますよね。約八百種が知られている多板鋼というグループに属します。岩にしっかり吸着していますが無理やり剥がすとクルリと丸まるところはダンゴムシに似ています。背中の殻は八枚でヨミノウスヒザラガイはその一つ一つに同心円状の模様がついています。ウスバサメハダヒザラガイは大きくて白っぽいのが特徴。海底にゴロンと転がっているのはオウナガイ。オウナ(媼)はお婆さんのこと。殻表面の脇にある大きな溝がシワを連想するのと蝶つがいの部分に凹凸(歯)がないのが名前の由来だそうです。この辺は湧水域という、海底の奥深くに沈み込んだ有機物が分解、絞り出されてきたメタンにまみれた環境です。湧水を「わきみず」と読むと健康にいいミネラルたっぷりのきれいな水ですが、深海の「ゆうすい」は毒々しい正反対の環境。たくましく生きています。手のひらサイズで思いのほか大きく分厚いのでボリューム感があります。食えないけどね。ちなみに先のヒザラガイは熱水噴出域でも見つかっています。
1.Leptochiton tenuidontus
 ウスバサメハダヒザラガイ
 2p

2.Thermochiton undocostatus
 ヨミノウスヒザラガイ
 1p

3.Conchocele bisecta  
 オウナガイ
 10p