上部漸深層遊泳魚
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学名では「地獄の吸血イカ」と恐ろしげに呼ばれていますがイカではありません。血も吸いません。かといって和名のタコでもありません。イカとタコが種として分岐する前から生き抜いてきていると言われている不思議な所属の生き物です。コウモリダコ目はこの一種のみですが複数種いる可能性もあるそうです。八本足の間からフィラメント(触糸)と呼ばれる糸状の器官が二本出ていてコイルバネみたいに巻いたり長く伸ばしたりする姿が観察され、これで獲物を探索しているのではと言われています。また発光器が眼とヒレの間に一対(前部発光器)、ヒレの後ろに一対(後部発光器)あってこの後部発光器はまるで本物の眼のように光ります。マントをぺろんとまくって塊り状(パイナップル)になりこの発光器で天敵のサメなどから身を守っていると考えられています。また何を好き好んでか棲息域は九百M前後の酸素極小層と言われる深さです。比較的安全なのでしょうか。このエリアは浅い所から沈む有機物がバクテリアなどによって分解される時に酸素を消費するのでその濃度が低くなります。逆にこの深さを越えると栄養豊かな深層流のおかげで酸素は増えるそうです。それにしても青く透き通った眼には吸い込まれそうですね。一方D.binoceularisはキュウリウオ目ニギス亜目デメニギス科ヒナデメニギス属に属し、デメニギス科の特徴である管状眼もちゃんと備えています。この眼の筒部分には第二の眼があると言われています。胸びれが立派で眼を引きますね。四〜五種類が知られています。英語ではなぜか幽霊とか変人を意味するspookfishと呼ばれています。 |
1.Vampyroteuthis infermalis コウモリダコ 30p 2.Dolichopteryx binoceularis デメニギス科 24p |
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コウモリダコ目 |