治療
IBSと診断された場合、下記のステップにしたがい治療が行われる。
Step1
食事や規則正しい生活などの指導、5-HT3拮抗薬、ポリカルボフィルカルシウム、乳酸菌製剤の投与。
効果が不十分な場合は抗コリン剤や消化管運動調節薬。
Step2
抗不安薬や抗うつ薬を追加。他疾患否定のため、消化管精密検査を行う。
Step3
専門的な心理療法
以上よりIBSの治療には薬物療法と心理療法に分けられる。
薬物療法 (評価は使用した効果の独断ですので個人差があります)
西洋医学
写真 | 商品名 | 一般名 | メーカー | 効能・効果 | 副作用 | コメント | 評価 | |
乳酸菌製剤 | ラックB | ラクトミンラクトミン | 日研 | 下痢、腸内細菌を整える | 特になし | 一番マイルドで使われやすいが、難知性IBSには効かない。 | ★ | |
ビオフェルミン | ビオフェルミン | |||||||
腸内細菌薬 | フェロベリンA | 塩化ベルベリン | オルガノン | 下痢 | 特になし | ゲンノショウコエキス配合 | ★★★ | |
収攣薬 | タンナルビン | タンニン酸アルブミン | ニプロ | 下痢 | 特になし | 牛乳由来。 | 使用経験無し | |
止瀉薬 | ロペミン | 塩酸ロペラミド | ヤンセン | 下痢 | 便秘、口渇など | 即効性あり。予防的投与も有効。最終手段。 | ★★★★★ | |
便通異常改善薬 | コロネル | ポリカルボフィルカルシウム | アステラス | 下痢・便秘 | 腎不全、腎結石に禁忌。 | 腸管内のアルカリ環境でのみ水分を吸着。制酸薬との併用は効果なくなる。効果が出るまで数日かかる。 | ★★★ | |
ポリフル | ポリカルボフィルカルシウム | アボット・ジャパン | ||||||
腸管運動調整薬 | セレキノン | マレイン酸トリメブチン | 田辺 | 慢性胃炎、IBS(改善率57%) | 蕁麻疹、口渇など。 | 平滑筋に直接作用し、胃排出促進と腸管運動抑制。中枢系を介さず、抗コリン作用はない。授乳は中止。 | ★★ | |
鎮痙剤 | ブスコパン | 臭化ブチルスコポラミン | 日本ベーリンガー | 消化性潰瘍、IBS、胆嚢疾患、尿路結石 | 口渇、排尿障害、眼圧上昇、頭痛、頻脈 | 口の渇き、尿が出にくい、かすみ目が出ることがある。 | ★★ | |
チアトン | 臭化チキジウム | アボット・ジャパン | 視調節障害のため運転には注意。尿が赤くなることがある。 | 使用経験無し | ||||
トランコロン(P) | 臭化メペンゾラート | アステラス | IBS | 口渇、排尿障害、眼圧上昇 | フェノバルビタール(抗てんかん薬)配合。抗コリン作用あり。 | 使用経験無し | ||
イリコロンM | 塩酸ピペタナート | 日本新薬 | IBS | 視調節障害、眠気あり車の運転には注意 | アカメガシワエキス配合。抗コリン作用あり。 | 使用経験無し | ||
自律神経剤 | グランダキシン | トフィソパム | 持田 | 自律神経失調症(有効86%) | 発疹、眠気、口渇。 | 抗不安作用軽。超短時間型。健忘の副作用はなし。 | ★★ | |
抗不安薬 | コレミナール | フルタゾラム | 沢井 | 心身症(IBS、効果65%) | 依存症、刺激興奮、錯乱、眠気 | 抗不安作用軽。短時間型。 | 使用経験無し | |
リーゼ | クロチアゼパム | 三菱ウェルファーマ | 心身症、自律神経失調症 | 依存性、眠気 | 抗不安作用軽。短時間型。筋弛緩作用は弱い。 | ★★ | ||
デパス | エチゾラム | 三菱ウェルファーマ | 神経症における不安、緊張、抑うつ、神経衰弱症状、睡眠障害 | 抗不安作用強。短時間型。筋弛緩作用あり。 | ★★★ | |||
コンスタン/ソラナックス | アルプラゾナム | 武田/ファイザー | 心身症(自律神経失調症、IBS、効果66%)同上 | 依存症、刺激興奮、錯乱、呼吸抑制、眠気同上 | 抗不安作用中。短時間型。効果は1週間で現れる。抗コリン作用は弱い。同上 | 使用経験無し | ||
メイラックス | ロフラゼプ酸エチル | 明治 | 心身症(IBS、70%)、神経症 | 依存症、刺激興奮、錯乱、呼吸抑制、眠気 | 抗不安作用中。長時間型。筋弛緩作用は弱い。活性代謝物が持続性。 | ★★★ | ||
セルシン | ジアゼパム | 武田 | 心身症(自律神経失調症、更年期障害)、うつ病 | 同上 | 抗不安作用中。長時間型。 | ★★★ | ||
レスタス | フルトプラゼパム | オルガノン | 心身症(IBS、効果56%)、神経症での不安 | 同上 | 同上 | 使用経験無し | ||
レキソタン | ブロマゼパム | ロシュ・エーザイ | 心身症(自律神経失調症など)、うつ病 | 同上 | 抗不安作用強。中時間型。 | 使用経験無し | ||
セロトニン拮抗薬 | イリボー | ラモセトロン | アステラス | 男性の下痢型過敏性腸症候群 | 便秘、腹部膨満 | 2008年秋に発売。セロトニン受容体に作用する。効果大。 | ★★★★★ | |
抗うつ薬 | トリプタノール | 塩酸アミトリプチリン | 万有 | うつ病、うつ状態 | 口渇、眠気、めまい、立ちくらみ | ノルアドレナリンやセロトニンの量を増やし、意欲を高めるとともに不安感をやわらげる。 | 使用経験無し | |
SSRI | ルボックス/デプロメール | マレイン酸フルボキサミン | アステラス/明治 | うつ病、うつ状態、パニック障害、強迫性障害 | 口渇、便秘 | セロトニンの量を増やし、不安をやわらげる。服用当初はかえって神経過敏になることもある。 | 使用経験無し | |
パキシル | 塩酸パロキセチン | GSK | 同上 | 同上 | 同上 | ★ |
東洋医学(漢方)
写真 | 商品名 | 一般名 | メーカー | 効能・効果 | 副作用 | コメント | 評価 | |
漢方製剤 | ツムラ14 | 半夏瀉心湯 | ツムラ | みぞおちがつかえ、時に悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便、下痢傾向の者。 | 特になし | 下痢型に有効。 | ★★★★ | |
ツムラ60 | 桂枝加芍薬湯 | ツムラ | 腹部膨満感のあるしぶり腹、腹痛 | 特になし | 下痢、しぶり腹に有効。 | ★★★★ | ||
ツムラ99 | 小健中湯 | ツムラ | 虚弱体質で血色が悪く、神経質な者の便通異常 | 特になし | 下痢型に有効。 | ★★★★ | ||
ツムラ100 | 大健中湯 | ツムラ | 腹が冷えて痛み、腹部膨満感のあるもの | 特になし | ガス型に有効。 | 使用経験無し |
その他、市販薬
商品名 | 一般名 | メーカー | 効能・効果 | 副作用 | コメント | 評価 | ||
ハーブ | IBX | サプリンクス | IBS | 高度の下痢や軟便、腹痛には症状悪化の可能性。 | ハーブが主成分。ハーブの中でもルバ−ブの根は主成分のレインが大腸を刺激してぜん動を推進するなどの整腸作用があるらしい。 詳しくはhttp://www.rakuten.co.jp/suplinx/292720/491719/ |
★★ | ||
乳酸菌 | ザ・ガード | コーワ | 整腸 | 特になし | 納豆菌と乳酸菌が主成分。ガスを抑える効果もある。 | ★ | ||
収攣薬 | ストッパ | ライオン | 下痢止め | 特になし | ロートエキスとタンニン酸ベルベリン。ロートエキスは自律神経を調整する。 | ★★ | ||
乳酸菌 | KE-99 | プロバイオヘルス | 整腸 | 特になし | 生存能力の弱い他の乳酸菌と違い、腸壁に定着し、増殖してその特異的な効用が発揮できるらしい。 | ★★ | ||
同上。 | ★★ | |||||||
サイリウム | イサゴール | フィブロ製薬 | 便通改善 | 腹部膨満 | プランタゴ・オバタ(インドオオバコ)の種子の皮殻から精製した食物繊維で吸水保持性にすぐれた特定保健用食品。 | ★★★★ | ||
DIGESTIVE ADVANTAGE |
Ganeden | 乳酸菌、マンニトールなどが混ざった合剤。 アメリカ製。 IBSのすべての症状に有効と書いてある。 チュアブル錠のため水無しで服用可。1日1錠。 |
★★★★ | |||||
フレックステンド・フィーカル(肛門用) | ホリスター | 皮膚かぶれ | 見つけました! ストーマ袋の肛門用です。男女兼用。装着に手間がかかりますが、これさえあればどこにでも行けます。 | 使用経験なし | ||||
サウナ | 温熱ドーム | スマーティ | フジカ | 特になし | 汗がたくさん出ますが、IBSへの効果は不明です。 | ★ | ||
岩盤浴 | 特になし | 最近はやりの岩盤浴。こちらもIBSへの効果は不明。 | ★ |
心理療法
行動認知療法:症状発現時の状況や症状認知、行動、情動、そして身体変化について、その相互関係を明らかにし、ストレス負荷時の症状改善に向けての対処法を自ら導き出す方法。良好な医師・患者関係に基づき、1回約1時間、およそ3ヶ月間行われる。
絶食療法:東北大で開発。入院して絶食により腸管を休めるとともに、自己洞察による心理療法的側面ももつ。
森田療法:神経症の治療法として森田正馬が開発。「ありのままの自分」を受け入れることが基本。