2005年7月2〜4日  いつもお世話になっているワイバードの北方四島クルーズ 。去年の偵察クルーズでエトピリカが多く見られた歯舞・色丹島の太平洋側に的を絞った1泊2日の海鳥オタク御用達鳥見行ツアーに懲りずに参加。

 今回のツアーでは、オプションでユルリ・モユルリ島の周りの海鳥を小型船で観察しちゃおうという垂涎欲張りミニ・クルーズも 企画されていて楽しみにしていたのですが、いらぬ横槍が入ってあえなく頓挫 (この件に関しては、色々なHPに議論伯仲というか、かなり一方的とも思われる(?)意見がたくさん掲載されていたのでご覧になった方も多いと思います。ちょっとばかり云いたいこともあるのですがここでは封印)。そういえば、昨年の偵察ツアーでもロシア側との折衝過程で航路予定がコロコロ変わりました。北の海はなにかと難しいことが多いようです。 

 

7月2日(土)いつものように大荷物を車に放り込んで5時少し前に自宅を出発。羽田 のカウンターで手荷物を預けたあとユックリと朝食(遊び旅の前のビールが旨い)。

 7時50分発のJALで一路釧路へ。10分ほど遅れて到着した釧路空港は生憎の雨模様。同行講師の宮島仁さんが機内でアテンダントに何気なく聞いた「釧路の天気はどうですか?」の返事が、「霧で着陸できない場合は羽田に引き返します」というお言葉だったそうで、10分遅れでも着いただけで も上等であったようだ。空港 からバスで根室港に直行。途中の車窓からクマゲラが見られたらしい。 タンチョウのペアもそこここで見られる。

 3時間ほどかかって根室港に到着 。上手いことに天気は高曇りまで回復している。早速、去年のままのハデハデ衣装で我々を待っていたロサ・ルゴサに乗船し、ドラの音も勇ましく出航 。実際にはドラの音などなく、去年の初クルーズと違ってテレビカメラの見送りなどもない静かな出港だったのだけど、心の中ではドラの音と軍艦マーチ が高らかに鳴り響いました。

 船は根室海峡を出て歯舞諸島の沖をひたすら東北東に向かう。 出向時から、ダウン・ジャケットとオーバーズボンを着込んで上部甲板にスタンバイ。ところが今日は鳥の姿がどうも少ない去年は根室港を出たあたりからヒレアシシギの群れが飛び回っていたのだけれど…3時過ぎ頃からフルマカモメやコアホウドリが出始めるが、まずいことに霧が濃くなってきた。気温も グングン下がり息が白く見えてくる。5時であきらめて海水風呂に入り、7時半には寝てしまう。

 

 

ロサ・ルゴサ:480トン、 このハデハデ・ラインはロシア側に認知させるためかも知れない。   フルマカモメ:暗色型。   コアホウドリ:近いんだけど、霧 の中ではどうしようもない。

 

7月3日(日)深夜2時 、色丹島沖に停船した音で目が覚める。ベット脇の小窓から外をのぞくと、船のライトに照らされてコシジロウミツバメが飛び廻っている。聞けば、昨夜11時頃からこの状態が続いているそ うで、船の中に飛び込んできた個体を何羽も海に帰したとのこと。3時には装備を整えてデッキにスタンバイ。依然としてコシジロウミツバメが飛び回っているが、まだ撮影できるほどの光がない。1時間ほど待ち、ISOを1600にあげて400mmで撮影。シャッタースピードは1/100前後だが、スタビライザーのおかげで数カット止まっていた。

 4時30分、待望の初エトピリカが目の前の至近距離を横切る。見つけざまに400mmで連写。宮島さんの「バンザイ」がスピーカーを通じて船内に轟く。

 この後、数10分鳥が出ないかと思えば、出るところでは立て続けに出るという、航路おなじみの間歇泉状態で1日を過ごす。海上のゴミの塊に降りているクロトウゾクカモメ、タラの死体に群がるコアホウドリの群れ、目の前を悠然と泳ぐエトピリカの番などなど。 瞬く間に、撮影数は1000カットを超える。

 一息ついたころ、前方右手(つまりロシア領)からフルマカモメの大群を引き連れたトロール船がやってくる。その数、数万羽。すれ違い様、フルマカモメ達はわが船に乗り換え ることにしたようで、次から次へと追い越してゆく。レンズを17-35mmに付替えたが、ファインダーから覗いていても、ヒッチコックの「鳥」状態。これだけ数が多いと恐怖心すら覚える。

 そんなこんなで、船は5時少し前に根室港に帰港。こうして、アッという間の、そして、夢のような1日半が終わってしまった。今夜のお宿の根室グランドホテル にチェクインし、6時半から花崎蟹をつまみに生ビールで乾杯!!

 

 

コシジロウミツバメ:朝4時前。 ISOを1600にあげて、無理やり撮影。   ウトウ:まだ、光が足りない。   この旅の初エトピリカ:4時30分、目の前を横切る。

 

 

クロアシアホウドリ:コアホウドリに比べて個体数は少なかったが、それでも10数回出現した。   クロトウゾクカモメ:海に浮かぶゴミの上で休息していた。右が幼鳥、左に成鳥が座っている。   ハイイロウミツバメ:去年と比べて数が少なく、近づき度合いもイマイチ だった。

 

 

コアホウドリ:ピューイ、ピューイと鳴きながら、海上に浮き上がったタラの死体に群らがっていた。

 

エトピリカ:船のすぐ横で 大サービスする番。このくらい近いとウトウは直ぐに潜ってしまうのだが、10分ほど大サービスしてくれた。

 

フルマカモメ:後から、後から湧いてくる数万羽 の群れ。これだけいても白色型は数羽程度。


 

7月4日(月)昨日までの興奮が残っていて、2時過ぎには目が覚めてしまう 。夜明けの早い北海道とはいえ、あたりはまだ暗い。仕方がないので、ストレージに貯めた画像データをチェックしながら明るくなるのを待 って、ホテルから歩いて15分ほどの明治公園へ。カッコウやツツドリの声が聞こえてくる。例年に比べてやや鳥の影が薄いようだ が、ノゴマ、ベニマシコ、シマセンニュウ、アリスイ、オオジシギなどが見られたらしい。

 朝食後、バスで釧路空港へ向かう。途中で、春国岱、霧多布湿原、釧路湿原 などの鳥見ポイントに寄り道。春国岱ではコヨシキリと、至近距離で若葉を食むエゾジカの若い 個体とも遊んでもらう。 霧多布湿原ではノビタキ、マキノセンニュウが姿を見せるが、ノビタキ以外は遊んでくれない。そして最後は、釧路湿原の中にある温根内ビジターセンター周辺で2時間ほど すごす。付近の林の中ではセンダイムシクイがさえずり、エゾセンニュウの声も聞こえるが姿を見られるわけはない。 その代わりといっては、彼らに失礼だけど、近くに出てくるシマリス君とヤチネズミ君()と遊んでもらっ ったところでタイム・アップ。今日はさながら哺乳類デーだった。20時30分のJALで帰京。来年も行くゾ!! 

 

 

エゾジカ:春国岱のネーチャーセンター脇の林の中で、盛んに若葉を食べながら、「食事中を写すんじゃねえヨ」と文句を云っていた(ような気がする)。   シマリス:釧路湿原の温根内ビジターセンター でチョッとおすまし。   ヤチネズミ(?):同じく温根内ビジターセンター での撮影だが、識別には自信がない。もしかしたら尾っぽの毛が抜けたリスだったかも…。