JIM CROCE

ジム・クロウチ
Jim Croce
1943-1973

いつ聴いても心和む歌声があります。英国のアーティストならギルバート・オサリバン、米国ならジム・クロウチがさしずめその筆頭といえるでしょう。
今回は苦労の末、72年にソロ・デビューしながら、スターへの階段を上り詰めようとした矢先の翌73年、飛行機事故により志半ばでこの世を去った悲劇のフォーク・シンガー、ジム・クロウチの作品をご紹介しましょう。

第7号 2006.1.29




Original Album
@YOU DON'T MESS AROUND WITH JIM
Lifesong JZ-34993 (1972年) LP
ALIFE AND TIMES

Lifesong JZ-35008 (1973年) LP
BI GOT A NAME

Lifesong JZ-35009 (1973年)LP
ジムに手を出すな

1: You Don't Mess Around With Jim
2: Tomorrow's Gonna Be A Brighter Day
3: New York's Not My Home
4: Hard Time Losin' Man
5: Photographs And Memmories
6: Walkin' Back to Georgia
7: Operator (That's Not The Way It Feels)
8: Time In A Bottle
9: Rapid Roy (That Stock Car Boy)
10: Box #10
11: A Long Time Ago
12: Hey Tomorrow

ライフ・アンド・タイムス

1: One Less Set Of Footsteps
2: Roller Derby Queen
3: Dreamin' Again
4: Careful Man
5: Alabama Rain
6: Good Time Man Like Me Ain't Got
No Business (Singin' The Blues)
7: Next Time, This Time
8: Bad, Bad Leroy Brown
9: These Dreams
10: Speedball Tucker
11: It Doesn't Have To Be That Way

アイ・ガッタ・ネーム

1: I Got A Name
2: Lover's Cross
3: Five Short Minutes
4: Age
5: Workin' At The Car Wash Blues
6: I'll Have To Say I Love You In A Song
7: Saloon And Saloon
8: Thursday
9: Top Hat Bar And Grille
10: Recently
11: The Hard Way Every Time


ソロ・デビューから1年、わずか30歳で帰らぬ人となってしまった(涙)ジム・クロウチの残した3枚のオリジナル・アルバムはいずれ劣らぬ傑作揃いです。

@YOU DON'T MESS AROUND WITH JIM
72年5月にリリースされた記念すべきソロ第1作。
タイトル・ナンバーとなった「You Don't Mess Around With Jim」(邦題「ジムに手を出すな」)は初の全米Top10入を記録したジム流ロックン・ロールとも言えるごきげんなナンバー。
「Hard Time Losin' Man」、「Rapid Roy (That Stock Car Boy)」もジム流ロックン・ロール・チューン。モーリー・ミューライゼンのアコースティック・リード・ギターが冴えまくります。
「Operator (That's Not The Way It Feels)」は「You Don't Mess Around With Jim」に続くセカンド・シングル。ミデアム・テンポのメロディアスなナンバーで全米17位とスマッシュ・ヒットに止まったのが不思議なほど良い曲です。
メランコリックなフォーク・チューン、「Photographs And Memmories」と「A Long Time Ago」は本作でも1,2を争う出来。ジムの優しい歌声が心に染みます。
悲劇の墜落事故後にリリースされた「Time In A Bottle」はリリカルで内省的な曲調が突然の死を悲しむファンの気持ちと重なり大ヒットを記録。「Bad Bad Leroy Brown」(邦題「ルロイ・ブラウンは悪い奴」)に続く2枚目のbPソングとなりました。
そしてアルバムの最後を飾るのは往年のフォーク・ソングをほうふつとさせるナンバー「Hey Tomorrow」。文句なしの傑作です。
全米アルバム・チャート最高位:1位 年間チャート:5位(74年) 

ALIFE AND TIMES
73年1月リリースのセカンド・アルバム。
本作からシングル第1弾としてリリースされた「One Less Set Of Footsteps」(邦題「朝の足音」)はポップ・カントリー調の軽快なナンバー。いい曲だと思うんだけどチャート的には37位と全くの不発に終わります。
続く第2弾シングル「Bad Bad Leroy Brown」(邦題「ルロイ・ブラウンは悪い奴」)は遂に念願の全米チャート1位に登り詰めます。「Roller Derby Queen」、「Speedball Tucker」などもお得意のジム流ロックン・ロール・チューンですが、やはり大ヒットしたこのナンバーが1番耳に残ります。
「These Dreams」は「Time In A Bottle」に似た雰囲気を持つ曲。心に染みます。
「Alabama Rain」、「Next Time, This Time」と言った美しいメロディを持つフォーク・チューンももちろん健在ですが何といってもアルバムの最後を飾る「It Doesn't Have To Be That Way」は名曲中の名曲。普段よりやや高めキーで歌うジムの歌声はなんとも素晴らしく、ジムのベスト・ナンバーのひとつと言えるでしょう。
全米アルバム・チャート最高位:7位 年間チャート:24位(74年)

BI GOT A NAME
ジムが絶対の信頼を寄せていたパートナー、モーリー・ミューライゼンと共に悲劇の飛行機事故で帰らぬ人となってから3ヶ月後、73年12月にリリースされた最後のオリジナル・アルバム。
前2作と基本的な路線は変わりませんが、自作曲以外のナンバーが初めて収録されていることやモーリーがエレキ・ギターを手にするなど微妙な変化が生じています。
アルバムの冒頭を飾る「I Got A Name」は映画「ラスト・アメリカン・ヒーロー」の主題歌でロバータ・フラックの大ヒット・ナンバー「やさしく歌って」の作者、C.フォックス/N.ギンブルの作品。悪い曲ではないのですが、ストリングスが入ったドラマチックな曲調はあまりジム向きとは思えず、チャート順位も10位に止まり大ヒットには至りませんでした。
「Lover's Cross」は本作品中最もリリカルなナンバー。ギターによるクラシック調のイントロに導かれ美しいメロディが紡ぎ出されます。
「Five Short Minutes、「Workin' At The Car Wash Blues」、「Top Hat Bar And Grilleはジムの作品に欠かすことのできないロックン・ロール・チューン。特にモーリーのエレキ・リードが聴ける「Top Hat Bar And Grilleは超ご機嫌な出来!
軽快なフォーク・ナンバー「Age」、「Thursday」はジムらしさが最もよく出た曲でこのアルバムのなかでも1、2を競う名曲。いつ聴いても和みます。
アルバムの最後を飾る「The Hard Way Every Time」は美しいメロディの名曲。伴奏のストリングスも「「I Got A Name」とは違い効果的に挿入され感動を呼び起こします。
全米アルバム・チャート最高位:2位 年間チャート:16位(74年)



発掘音源
@THE FACES I'VE BEEN
Lifesong LS900 (1975年) LP
AFACETS
SHOUT! 516258-2 (2004年)CD
BBOMBS OVER
PUERTO RICO

BEAR FAMILY BCD-15894-AH
(1996年) CD
CHOME RECORDINGS
SHOUT! DK-30266(2003年)CD
ザ・フェイセス・アイヴ・ビーン フェイシッツ ボムス・オーヴァー・プエルトリコ ホーム・レコーディングス

@ アナログ時代の2枚組発掘音源アルバム。後にCDに収録された音源もありますが、
  学生時代に所属したバンド「THE SPIRES」の音源や4面のトーク集は未CD化じゃな
  いかな。熱心なファンには貴重なアルバム。

A フォーク・バンド、FACETS時代の音源を元に両親からの結婚祝い500ドルをつぎ込
  んで自主制作したアルバムのCD化作品。当時プレスした枚数がわずか500枚だっ
  たことから、ファンの間では長らく幻のアルバムとされていたものです。CD化にあたっ
  てジム&イングリット時代の曲、6曲がボーナス・トラックとして追加されています。
   現在入手可能です⇒ Jim Croce/Facets

B ジム&イングリット・クロウチ名義で69年にリリースされたアルバムのCD化作品。後
  にソロ・アルバムでも再演された「Age」を含む11曲を収録。名曲揃いの良質なフォー
  ク・アルバムですが時はアート・ロック(日本だけの造語のようですけど。)全盛期。
  発売当時も全く注目されることはありませんでしたが、ぜひ一度は聴いてもらいたいア
  ルバムです。
   現在入手可能です⇒ Jim & Ingrid Croce/Bombs over Puerto Rico
  
C 「HOME RECORDINGS」というタイトルが示すとおりジムが自宅のキッチンで家庭用小
  型テープ・レコーダーに録音した正に「発掘」という言葉がふさわしい音源をCD化した
  作品。息子のA.J.と愛妻イングリットがエグゼクティブ・プロデューサーとしてクレジッ
  トされています。
  自作曲は1曲もなく、音質もチープ。間違っても初心者にはお勧めできませんが、熱心
  なファンにとってはジムの生の声を聴くことができる貴重な作品と言えるでしょう。
   現在入手可能です⇒ Jim Croce/Home Recordings



LIVE&COLLECTION
@THE FINAL TOUR

TEICHIKU TECW-18679(1992年) CD 
ATHE 50th ANNIVERSARY COLLECTION
SAJA 7-92205-2(1992年) CD
ザ・ファイナル・ツアー 50周年記念コレクション

@ 「ザ・ファイナル・ツアー」と銘打たれたライヴ・アルバム。モーリーとの息もぴったり
  で素晴らしい演奏を聴かせてくれるのですが、「お前はさだまさしかいっ!」って
  突っ込みたくなるくらいステージ・トークが長いんだよねぇ。客席もそれなりに沸いて
  いるので結構面白いこと言ってるんだろうけど…
  とは言えジムの最後の全米ツアーの模様を克明に記録した実況録音盤なので、フ
  ァンには絶対お勧めです。

A 生誕50周年を記念してリリースされた2枚組編集盤。オリジナル・アルバム3枚か
  らの音源を全て収録した上、未発表曲6曲(内1曲は後に「HOME RECORDINGS」
  に収録)、「BOMBS OVER PUERTO RICO」から3曲、そして「THEFACETS I'VE
  BEEN」から未CD化だった名曲「King's Song」、「Which Way Are YouGoin'」など6曲
  を収録しています。
   現在入手可能です⇒ Jim Croce/50th Anniversary Collection