1977年のラジオ劇場 STORY
「敦煌」
11世紀、中国・宋の国家試験に失敗、ふとしたことから西域に興味を持った青年・趙行徳の波乱の人生。
「天を突く喇叭」
明治43年、源次は軍隊に入り、ラッパ手となったが……。純朴な男が時代の流れと人間の心の移り変わりに翻弄される姿。
「ことばはからっぽだから」
世代の異なる2人の教師の会話を軸に、少女の詩を織り込みながら、愛と革命や神という言葉を弄びながら、いつも満たされない思いでいる多感な少女の姿。混沌とした現代における人間の生き方をさぐる。
「故里まとめて花1匁」
大都会・東京は、地方出身者にどんな安らぎを与えてくれるのか。非情な街に打ちのめられた人々の姿。当時、新進作家・高谷信之のオリジナル。
「山手線目赤駅」
深尾道典の第三作。新東京都。生きがいを失った人や人生に目的を持たない人々が「鳥類局」の指示で次々と鳥になっていく……。
 「われも子なれば」
山形県の立石寺の死者をなぐさめる夜行念仏講。そこで出会った中年と老年二組の夫婦の亡くした子への情愛と老いていく者の孤独感。
「風来
朝鮮戦争特需が終わろうとする、ある秋の日。東京・江戸川の河原に住んでいた掘っ立て小屋の一団が、こつ然と姿を消した。血液銀行に勤める男とこの宿無したちの奇妙な友情を軸に、人々のやさしさと強さを。
「鬼さん、こちら」
孤児だが人一倍好奇心の強い老女の生き方を喜劇タッチで描く大人の童話。喜多モモエは老人会の旅行で真面目そうな青年と知り合う。だが、この男は地獄からきた若い鬼だった……。
「もう一つの時間」
組織の中に埋没して生きてきたサラリーマンが、ある日、異次元の世界を旅し、そこで奔放に生きる。しかし、再び元の世界に戻った男は自分の人生を振り返り、虚脱感に襲われる。サラリーマンの夢と悲哀を描くSFドラマ。
「ちりりんちりりん」
北海道のある町を舞台に、家族の世話になっている老人たちの織り成す悲しく、こっけいな生活の諸相を家族や老人のいざこざを通して描く。ある日、雄作の入っている老人クラブの仲間の一人が自殺した……。自殺のまねごとをするしか存在を示すすべを持たない老人たちを描き、高齢化社会のもつ問題を考える。
「秘密」
 何年かぶりで再会した男と女。男は洋画家。女はモデル。男はスランプにあえぎ、女は素封家の妻となり、華道の家元となっていた。男が庭に植える木を手に入れるため、クルマでドライブしたとき、ふとしたはずみで、二人の関係が再燃する。しかし、それはまた、どろどろした男女の三角関係の始まりだった。気づかないふりをする妻のさりげない態度に潜む悪意に戦りつする2人。
「ヤグルマソウの青」
転形劇場の主宰者・太田省吾の初のラジオドラマ。
 幼児期に失明し、祖父と二人きりで暮らしてきた少女が偶然知り合った青年との交流によって体験する不安と混乱。
「海暮色」
海に生きる人々は自然の猛威だけでなく、制御できなくなった文明の脅威にもさらされている。変わりゆく海とともに生きてきた3人の老女が、それぞれのお国言葉で海を語る。オムニバス形式のドラマ。
「昭和20年5月5日、九州にて」
昭和20年5月5日、B29一機が阿蘇山系上空で日本軍戦闘機の銃撃を受けて墜落。米兵はパラシュートで脱出する。負傷した米兵と村人の交流をヒューマンに。
「ろう紙色のむこう
自閉症的なスロットマシン狂の青年がある日、天空に舞う”ろう紙”を見つけたことから始まる少年時代への幻想の旅。
「銀色の揺籃」 
子連れの解体屋とその仲間、そして旅先で知り合った底辺に生きる男女のやさしさに満ちた日常の暮らしを1台のトラックを舞台に、ロックミュージカルに乗せて軽快に描き出す。
「ぼくが結婚しない理由」
 飲み屋で語り合う2人のサラリーマン。「なぜ、結婚しないのか。僕には、結婚相手がある日、急にいなくなるという気がするんだ」
 彼らの妄想が産むマリコという名の女を主人公にしたオムニバス物語。