夏祭り 恋祭り 夏だ。 なんだか・・・。気分は開放的になる。 ・・・それは恋愛でもそうで・・・。 「ね。今度の日曜、昔よく行った神社で夏祭りあるんだって。 一緒に行こう!」 あの神社か・・・。 よく兄さんと一緒に遊んだ神社だ。 思い出が沢山詰ってる。 オレは神社の鳥居の前で先輩を待っていた。 先輩・・・。浴衣とか着てくるのかな・・・。 オレは想像しながら待っていると・・・。 「・・・譲君!」 「せんぱ・・・」 ・・・。 ・・・浴衣姿の先輩・・・ 紺色の浴衣で朝顔が描かれてる・・・ 俺の想像を遥かに超えて・・・ ・・・か、可愛すぎるんですけど・・・ 「譲君・・・?どうしたの。ぼうっとして」 「え、あ、い、いや・・・」 「・・・あ、もしかして。私の浴衣姿に見惚れちゃってた? ふふ」 「///」 「え、や、やだ・・・。な、なんで赤くなるの・・・。 じょ、冗談だったのに・・・」 冗談? 先輩・・・オレが冗談で照れるわけがないでしょう・・・? 嗚呼もう。 オレは照れくさくてどうしたらいいんだ・・・? 少しずれたメガネをすっと人差し指であげた。 「・・・。せ、先輩、い、行きましょうか・・・」 「う、うん・・・」 俺と先輩は境内へつづく階段を上がっていく。 幼い頃は ”譲君転ばないようにね” 先輩が年下の俺の手を引いてくれてた。 でも今は・・・。 「先輩。階段。気をつけてくださいね」 「え、あ、ありがとう・・・」 今は・・・。オレが先輩の手をとり しっかりと守る・・・。 先輩の白い手を・・・。 「・・・どうかした・・・?」 「いえ・・・。先輩の手って・・・綺麗だなって・・・」 「や、やだ・・・。譲君たら・・・」 頬を染める先輩を今は独り占めだ・・・。 手をつないだまま・・・ 境内へ上がる。 屋台や金魚すくい、御馴染みの夜店が連なっていて・・・。 「わぁ!楽しそう!」 先輩は目を輝かせて 「ねぇねぇ。譲君、金魚すくしよーよ」 「はいはい」 あっちこっち俺のTシャツを引っ張って連れて行く。 「ねぇねぇ綿菓子おいしーね♪」 「先輩、あわてないで食べてくださいね」 先輩は少女時代にもどったようにはしゃぐ。 俺の手を握り締めながら・・・。 昔は・・・ オレはただ先輩の後をくっついてまわっていただけなのに 今はこうして先輩の笑顔を独り占めしている・・・ 夢・・・みたいだ・・・ 何度もそう思う・・・。 「・・・ねぇ譲君・・・。花火、しよか」 「いいですね。じゃあ、境内裏に行きましょう」 な、なんか境内裏って・・・。 人気がないよな。 ・・・って何意識してんだ俺は・・・。 思ったとおり、境内裏は人気がなく、薄暗い だが近くに水道があったのでその側で花火をすることにした。 「じゃあ・・・。私、つけるね」 え?先輩が火をつける? 「駄目です。先輩。危ないです。オレがつけます。 先輩は離れててください」 オレはライターを先輩から受け取って 花火の芯に火をつける・・・ 先輩のあの綺麗な肌が火傷でもしようものなら・・・。 心配性の俺の性格が出たみたいだ。 「はい。つきましたよ」 「ありがとう・・・」 小さな箱から黄色、赤、緑のシャワーが 吹き上がる・・・ 「・・・譲君。頼もしくなったね・・・本当に・・・」 「え?」 「・・・譲君の仕草一つ一つに・・・。私、ドキドキしちゃって 困っちゃう・・・」 ・・・っ。 せ、先輩・・・。困っちゃうのは僕のほうですよ・・・? そんな可愛い台詞言われたら・・・。 オレ・・・。 「きゃッ」 「せ、先輩!!」 突然花火が暴発して火の粉が先輩の右足に飛び散った。 「先輩!!大丈夫ですか!!?すぐに冷やさないと・・・!」 オレはすぐさま先輩を抱き上げて 水道へつれていく。 「先輩、足、だしてください」 「え、ちょ・・・っ///」 オレは無我夢中で浴衣をめくり、先輩の右足から膝まで 水道の水で冷やす・・・ 強引に浴衣を捲るなんて正気なら絶対にしないが 先輩が火傷してないかと思ったらもう俺は・・・ 「・・・先輩、痛くありませんか?」 「うん・・・」 「先輩、念のためもう少し冷やしていましょう・・・」 先輩の綺麗な・・・綺麗な素足・・・。 小さな傷でもつけたくはない。 「・・・も、もういいよ」 「そうですか・・・?よかった・・・」 オレはハンカチを取り出して先輩の濡れた足を そっと吹く・・・。 先輩の白い足・・・ 俺の大切な・・・。大切な人の足だ・・・。 俺が・・・ 何度もベットの中で触れた・・・ 口付けた・・・ 「・・・っ。あ、あの・・・譲君・・・。く、くすぐったい・・・」 「えっ!??」 「なんか・・・。撫で方が・・・え、エッチ・・・」 「・・・あ、す、す、すみませんッ」 オレは慌てて先輩の浴衣を調えて下駄をはかせた。 ・・・妄想の世界に行っていた間・・・俺の手は 先輩に一体何を・・・(汗) 「・・・す、すいませんッ。先輩お、オレ・・・」 「ふふ。ふふふ・・・」 「わ、笑わないでください・・・。オレにとっては・・・。 先輩の体は何処もかしこも全部・・・大切なんです・・・」 「譲君・・・」 ・・・先輩が・・・俺を見てる・・・ 俺だけを・・・ 伝わってくる・・・。 先輩の・・・ 気持ち・・・ 俺の手は・・・ 静かに浴衣の裾に手を入れて・・・ 「・・・っ」 ビクっと肩を震わせた先輩にゴクリと息を呑み・・・ だんだんと奥へ・・・ 奥へと・・・ 進めていく・・・ 快楽への入り口へ進むように・・・ 滑らかな先輩の肌の感触・・・ ・・・って駄目だ!!オレッ!! オレはすっと手を抜いた 「・・・譲君・・・?」 「・・・オレは先輩が大切なんです・・・。男の欲望だけで 先輩に・・・触れちゃいけない・・・」 「え、あ、あの譲君・・・?」 オレは先輩をおぶった。 「・・・妙な男が先輩にちょっかい出さないように・・・。 こうして帰りましょう」 「え、あ、譲君!」 オレは先輩を負ぶったまま階段を下りる。 「お、降ろして・・・な、なんか恥ずかしいよ」 「・・・もっと恥ずかしいこと・・・。俺達したじゃないですか。 昨日」 「・・・(照)も、もう〜!!譲君のばか!」 照れる先輩。 このまま先輩をおぶったまま 俺の家につれて帰りたい。 連れて帰って・・・。 ずっと俺の腕の中に閉じ込めておきたい。 それくらいに・・・ 好きなんです・・・。 「譲君」 「はい」 「・・・。好きだよ」 「なあんだ・・・俺なんか・・・。大、好きです」 先輩は嬉しそうに笑ってぎゅっと俺の首に手を回した。 ・・・嗚呼いい匂いだな・・・。 先輩をおんぶして 夜道を帰っていく・・・ 夏祭り。 ちょっと刺激的なこともあったけど・・・ 先輩をもっと好きなれた夏の夜だった・・・。