痂の如く感傷は

 鈍痛が未だ自分を蝕むことに安堵しずくずくとした痛みを完治させないよう時折晒しては唯一残された繋がりを恰も暖であると喪失を恐れしがみ付く様は全く酷い感傷に違いない。永遠と思い込んだ情も触も既に消え去った。確かに存在したと信じることさえ困難でただ痛みだけがそれはもう痛みでしかないのにそれでも感触も無く穏やかに思い起こすなど想像だに恐ろしいのだ。ついには苦痛だと判る過ぎた時間は輝くそのときかそれともその後の醜い有様なのか惜しんでいるのはもう入り乱れ混ざり境界はどこからどこまで確かに感じることの出来る傷をああそれはただの痛みでしかないというのに手放すことも不可能なああそれは単の残骸でしかないと知るばかり。


2003/06/18
かさぶたのごとくかんしょうは
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