サボテン 

「サボテンの花が咲いたんだ」
「サボテンって花咲くの?」
「見たことないの?」
「ない。どんな感じなの?」
「んー俺のは赤くて綺麗だよ」
「全然説明になってない〜」
「ちっこくてさ」

彼はふわりと笑った。

「見たいな、ねえ、今度見に行ってもいい?」
「え?…ああ、いいけど」

彼は、そこまで仲が良いわけでもない相手の申し出に一瞬戸惑ったようだ。

しかし、彼女は、彼を好きになると思った。

部屋のサボテンの花が咲いたことに喜んで、サボテンを思って優しい顔になった彼を、彼女は、とても好きになるだろうと思った。  


サボテン
2001/02/01
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