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望遠鏡の性能の1つ、極限等級は、1.77 + 5 log D で求めます。 (D=口径のミリ数) logの底がわからないのですが、計算してみると常用対数らしいです。 さて、なぜそんな式になるのでしょうか。 2005/05/02
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望遠鏡の性能の1つ、集光力というのがあります。 肉眼に対してどれだけ光を集められるかを示す指標で、 集光力=主鏡の面積÷肉眼の面積 で求めます。 主鏡の口径をD、肉眼の瞳孔径を7mmとすると 集光力=D2/72 と、書き表すことができます。 2005/05/02
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普通、集光力の式で出てくる数字は、肉眼に対して何倍光を集められるか、という倍率ですが、この「倍率」を「等級」で表してみます。 つまり、何等級分、暗い星が見えるようになるのか? というのを直接求める式にします。 等級とは、5ランクで100倍の対数になっています。いちばん明るい恒星を1等星(もちろん、太陽を除く)、ギリギリ見える、一番暗い星を6等星としたので、1等星と6等星の5ランクで100倍明るさが違うことになります。 そこで、100の1/5乗(5乗根ルート100)≒2.511886432… を対数の底として、集光力の対数をとることで、等級に変換できます。その式は、 集光力[等級]=log100(1/5)(集光力[倍]) となります。 見づらいですが「100の1/5乗を底とする対数」、つまり、2.511886…を底とする対数です。 集光力[等級]=log2.511886…集光力[倍] ですね。
2005/05/02
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集光力[等級]=log100(1/5)(集光力[倍]) というのは、肉眼よりさらに何等級暗くまで見えるようになるか、つまり口径による利得を示す式です。 肉眼では6等星までは見えるので、そこからさらにどのぐらい見えるかが上記の式になります。 よって、極限等級の式は、6等級に集光力を等級で表したものを加算すれば良く、 極限等級[等級]=6[等級] + 集光力[等級] となります。 2005/05/02
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極限等級[等級]=6[等級] + 集光力[等級] は、 極限等級[等級]=6[等級] + log100(1/5)(集光力[倍]) となり、 極限等級[等級]=6[等級] + log100(1/5)(D2/72) となります。今は、文明の利器「コンピュータ」があるので、このままの式で、極限等級を一瞬で出すことができます。 古典BASICなら、極限等級Tは、変数Dに口径をmmで設定してあるとして、 T=6+LOG(D*D/49)/LOG(100^(1/5)) で求められます。49は7の2乗、Dの2乗をD*Dとしているのは、その方が精度良く計算できるからです。 さて、このページの本題は、この式から1.77 + 5 log Dを導き出すことでした。 といっても、この式を、ひたすら展開するだけです。 底を分離するため、対数のわり算にすると、 = 6 + log(D2/72)÷log(100(1/5)) 分母の対数部分は、1/5乗しているので、外に出して、 = 6 + log(D2/72)÷(1/5 * log(100)) 外に出した分数を分子に持っていきます。 = 6 + 5×log(D2/72)÷log(100) ここでのlogの底は任意に決めて良いのですが、分母にある「log100」を払うために、底を10とするのが都合が良いので、底に10を使ったものに書き換えます。 = 6 + 5×log10(D2/72)÷log10(100) = 6 + 5×log10(D2/72)÷2 = 6 + 2.5×log10(D2/72) 次に、残ったlogの中身を、展開します。わり算をlogの引き算になおして = 6 + 2.5×(log10(D2)-log10(72)) それぞれ2.5をかける形式に直して = 6 + 2.5×log10(D2)-2.5×log10(72)) 二乗をlogの外に出して整理すると = 6 + 2.5×2 log10(D)-2.5×2×log10(7) = 6 + 5 log10(D)-5 log10(7) さて、-5×log10(7)は、定数のみの項なので、数値に変換してしまいます。関数電卓をたたいて計算すると、-4.22549020007128と出ました。よって、 極限等級 = 6 + 5×log10(D)-4.22549020007128 = 1.77450979992872 + 5×log10(D) となります。なるほど〜。 (有効桁数は、3〜4桁あれば充分なので、普通は、1.77 + 5 log10(D)とか、1.775 + 5 log10(D)です。) 2005/05/02
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