回転サーチライトは広告になるのか?

 ちょっと出張で関東まででかけて帰ってきたのですが、久々に大宮の駅前でサーチライトを空にぶっ放している店をみかけました。

 まだ居たんですね、サーチライトが広告になると思っている経営者。

 他の店と似たような看板を出しても注目度はイマイチ。もっと奇抜な広告の方が注目度はUPします。そこで、何を考えてか、サーチライトを使うらしいんですね。

 でも、サーチライトは、何の宣伝にもなりませんよ。

USJのサーチライト。入り口以外の場所から見ると意味不明。



2008/11/18
●話題になる?

 サーチライトの光は「あっ、あの光何だろう?」という注目度は、確かに抜群でしょう。しかし、光のスジが空を照らしている、それだけです。

 そこから何を読み取れというのでしょう?

 客の身にもなって考えてみてください。そのサーチライトがどの店から放たれているかを自力で探すのは、実は非常に面倒で手間のかかる作業です。そもそも元々店の正体がわからないのに、わざわざ探す手間をかける人はいません

 広告っていうのは、商品や店を宣伝するためのものです。サーチライトの光だけでは「何のサービスをやっているどんな店なのか」が伝わりません。

 話題になる事は確かです。しかし、それだけです。サーチライトには広告や宣伝の効果は全くないのです。


2007/03/28
●売り上げが上がる?

 業種によっては店の雰囲気が良くなったと感じる客もいるかもしれませんが、冷静に考えて本当にそうでしょうか?

 サーチライトの光からは何の情報も読み取れませんから、普通、その光を見ても何も理解できません。理解できるのは、元々その店を知っている人だけです。
 だから、売り上げが上がったとしても、それはリピート率が上がった事によるだけで、新規の顧客を誘う効果はありません

 理由はどうあれ客の延べ人数が上がることは店にとって良い事ですが、期待したような効果は、ほとんどあがっていない事を理解すべきです。


2007/03/28
●店の場所がわかりやすい?

 ちょっと考えると、サーチライトが店の位置を知らせる役目になるように思えます。
 しかし、サーチライトの光を頼りに来店してくれる可能性は、かなり低いです。そもそもサーチライトだけでは道順も伝わりませんから、店を指し示す目印になりません。単に空間に対する目印に過ぎないのです。
 困ったことに空に照らし出されたサーチライトの光が認識される範囲は、半径30kmとも半径50kmとも言われます。そんな遠距離から見えたって、店を特定できません。
 実質的に探せる距離としては5〜10kmの範囲に限られます。昼に探そうにもサーチライトは見えませんから、夜しか探せません。店が郊外にある場合、道路はサーチライトのある場所まで一直線ではないのですから、道順案内の役目にもなりません。他の建物の邪魔になって見えない事もあり、その光を見ながらクルマの運転なんて、危なくてできません。
 もし、その店が繁華街にあると、サーチライトの光は淡く認識しにくいので、近づくほど店の場所がわからなくなります。

 いや、そもそも何の店なのかわからない人が、サーチライト目当てに来る訳がありません


2007/03/27
●普通、照らす先しか見ない

 サーチライトは、元々、何かを照らすためのもの(そもそも空襲に備えて敵機を照らすためのもの)ですね。日本語では探照灯です。照らした先に興味があるのであって、誰が照らしているのかは関係ありません。だから、サーチライトで空を照らすと、その照らした先に何があるかを一生懸命観察しようとします。雲に当たると、丸く明るいのが照らされるのでUFOが出現したんじゃないかと大騒ぎになります。


2007/03/27
●空は個人の所有物ではない

 ところで、我が物顔でサーチライトで空を照らす様子は、客観的に見てどうでしょうか?

 既に検証したように、目立つだけで何の宣伝効果にもなっていないのですから、暴走族が騒音を立てて走る事と何ら変わりません。


2007/03/27
●行政や団体とのトラブルの火種になる

 丸い光が空を右往左往するのは不気味に思う人の方が多いんじゃないでしょうか。空襲経験者はもとより、戦後の人なら宇宙人が攻めてきたんじゃないかと思ったり。
 たった1つの店の売り上げアップのために、顧客数の何倍、何十倍もの人が迷惑を受けます。ということで、そのうち、行政から指導が入ったり、団体から陳情があったりして、業者と団体がトラブルを起こすことになります。
 沈静化するにはサーチライトを消すしかありません。結局「設置しただけ費用の無駄」という事になってしまいます。


2007/03/27
●資源の無駄

 サーチライトが放つ光のうち、99%以上は宇宙空間に放出されます。言い方を変えれば、宇宙にエネルギーを捨てている訳で、空気中のチリに反射したわずかな光が見えるだけという、極めてエネルギー効率の悪い広告方法です。
 人工衛星で夜の地球を撮ると、日本はくっきりと形が浮かび上がるそうですが、それだけ無駄な光(エネルギー)を宇宙に捨てているという証拠です。たとえば街灯に傘をつけて光を反射させ、折り返す事ができれば、照明のために使うエネルギーはずっと減ります。(電力会社にしてみれば、昼間のピークに合わせて発電所を作っている関係で、需要の少ない夜間にじゃんじゃん使って欲しいんだそうですが…。)


 サーチライトで空を照らすのはエネルギーの無駄以外の何者でもありません。宣伝にも広告にもなりません。店の目印にもなりません。どうせ照らすなら看板や店自体を(無駄なく的確に)照らした方が何倍も効率的なんですよね。


2007/03/27

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