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■113 / inTopicNo.1)  第3章13:「トロン北の魔王城への洞窟」
  
□投稿者/ ぴよきち <マックルロード(62回)>-(2004/12/03(Fri) 11:18:36/220.22.84.102)
        「とりあえず、闇雲に東に進んでもダメだということは解りましたから、少しずつ考
       えながら進んでいきましょう。」と僧侶が言いました。勿論、他の3人に拒否権はあり
       ません。ただ黙って頷くだけでした。改めて階段からスタートした一行は最初の分岐点
       を北へ進みました。その道はすぐに東へ曲がり、また同じ分岐点が現れました。僧侶は
       この時点で引き返し、最初の分岐点まで戻るように指示しました。今度は最初の分岐点
       を最初と同じくそのまま東へ進みました。やはり同じように同じ分岐点が現れました。
       また引き返します。そして3度目は最初の分岐点を南へ進みました。その道もすぐに東
       へ曲がり、また同じ分岐点が現れました。僧侶はそのまま東へ進むように指示しました。
       暫く行くとまた同じ分岐点が現れました。僧侶は今度は北へ進むように指示しました。
       僧侶以外の3人はもうすでに完全に訳が分からなくなっていましたが、僧侶は分岐点ご
       とに違う‘何か’を見付けたようで、何回目かの分岐点を南へ曲がるとやがて一本道に
       なり、前方に下り階段が見えてきました。
        「さすが僧侶はんや・・・ 何で解ったんでっか。」とモンクが訊きました。
        「あまり目立ちませんでしたが、壁に小さな瑕(きず)があったんですよ。分岐点ご
       とに微妙に違いましたね。最初、一直線に東へ進んでいた時から‘あれ?’と思ってい
       たんで、引き返して目印に使おうと思ったんです。確証は無かったんですけどね。」と
       僧侶はさらりと答えました。
        さて、見えた階段が下り階段だったので、勇者たちは更に地下深く地下4階へと下り
       ていくことになりました。階段を下りた勇者たちは、魔方陣がひとつとその先に上り階
       段があるだけの小さな部屋に着きました。怖いもの知らずの勇者は何の躊躇もなく魔方
       陣に入りました。すると勇者たちのHP・MPが全復活しました。「ラッキー!」とモ
       ンクが言いましたが、考えもせずにすぐに飛び込んだ勇者を僧侶は不安そうな眼差しで
       見ていました。目の前にある階段が上り階段ということはココが最深部のようです。
        勇者たちが階段を上がり、入った地下3階のフロアは一口で言えば‘回転扉’のフロ
       アでした。普通の回転扉はタイミングを見計らって好きな時に入れば先に進めるのです
       が、一行の前で回っている2連の回転扉はそれぞれ違う速さで回っていて、尚且つひと
       つの扉に入れる‘孔’は1つずつしかありません。先へ進むには2つの扉のタイミング
       を読んで最初の扉に飛び込まないと・・・ 何も考えずに最初の扉に入った勇者は次の扉に
       入れず、他の3人を道連れにして横の道に弾き飛ばされました。一旦、回転扉に入ると
       扉を出るまで全く自由は効かなくなるようで、自動的に次の扉に移動させられるか、為
       す術も無く弾き飛ばされるかしかないようです。横の道に出された勇者たちは延々と曲
       がりくねった道を歩かされて、やっと元の位置に帰って来ました。さすがに反省した勇
       者は扉に入るタイミングを僧侶に任せ、僧侶に言われるまでジッとしていることにしま
       した。戦士とモンクは最初から僧侶に任せるつもりだったようで、さっきから軽口ひと
       つ叩かずに僧侶の方ばかり見ていました。
        「今です!」という僧侶の掛け声と共に勇者は扉に向かって猛ダッシュを掛けました。
       あまりに勢いよく飛び込んだものですから、勇者は危うく‘孔’の奥に激突しそうにな
       りました。ともあれ、最初の2連扉を通過した勇者たちは、モンスターを倒しながら、
       この後‘2連’の回転扉を2つ、‘3連’の回転扉を1つクリアして、次の‘ジャンプ
       を使う小さな迷路’を通過し、地下2階へと上がる階段を見付けました。
        勇者たちが地下2階へ上がった時、僧侶が「このフロアを抜ければトロン北の地下道
       に抜けられる筈ですよ。」と言ったので、他の3人にも少し元気が出てきました。
        さて、「トロン北の洞窟」の最後の試練は‘橋のパズル’でした。地下2階のそのフ
       ロアにはジャンプで飛び越せない‘幅2歩分’の川が何本も流れていて、とりあえず、
       橋が一本も架かっていない今の状態で唯一踏めるスイッチに乗ると、一番手前の川を越
       せる橋と遥か先の川に橋が架かりました。試しに同じスイッチをもう一度踏むと、今、
       架かった2つの橋が消え、全く別の場所に1本の橋が架かりました。「えっ?」と思っ
       て三たび同じスイッチを踏むと橋は0本、つまり最初の状態に戻り、もう一度踏むと最
       初に架かった2本の橋が架かりました。要するに、このスイッチを踏むたびに架かる橋
       の数と場所が変わる仕掛けになっていました。改めてフロア全体を見渡すと、スイッチ
       は全部で6つあり、最初のスイッチ以外は橋を架けてからじゃないと踏めない場所にあ
       りました。この時点で僧侶以外の3人はギブアップしたようで、僧侶と共に歩きながら
       もスイッチや橋を見ることもなく、一様に自分が装備している武器や防具の手入れを始
       めました。今しがた少し出た元気も一瞬で消え去ったかのようでした。そんな3人をよ
       そに、流石は修行を積んだ僧侶です。そんな他の3人を構うことも無く、黙々と橋を架
       けてはスイッチを踏み、橋とスイッチの因果関係を着々と頭にインプットして行きまし
       た。しかしまあ、他の3人も僧侶に気を使っていたようで、出現したモンスターを僧侶
       の手を煩わせることなく粛々と倒していました。戦士も決めゼリフを言いませんでした。
       勇者は僧侶に攻撃の機会が廻らぬように、必要も無いのにブレードLを連発し、そのせ
       いで勇者のMPがガンガン減りました。
        3人の‘思いやり’が効いたのかどうかは分かりませんが、どうやら僧侶がこの‘橋
       のパズル’を解いたようで、一行は僧侶の指示の元、無事にすべての川を渡ることがで
       きました。「いやはや、僧侶殿に解けぬ謎はありませんな・・・ 」と戦士が久々に口を開
       きました。「ホンマや・・・ 僧侶はんがおらなんだら、ワイら今頃どのあたりでストップ
       しとるか・・・ 今も『オスヤコディの洞窟』でウロウロしとるかも知れへんわ。」とモン
       クが冗談とも本気ともとれるような発言をしました。
        勇者たちはそのフロアの東の端から更に東へと伸びている一本の道を進み、やがて上
       り階段を見付けました。
    
        階段を上がるとそこはトロン北の地下道でした。早速、勇者が赤いスイッチを踏んで、
       トロンと魔王城の間に立ち塞がっていた‘岩の壁’を開けようとしましたが、いざスイ
       ッチに乗ろうとした時、モンクが勇者の肩をぽんぽんと叩いて「そのスイッチを踏む資
       格があるんはアンタやない・・・ 下がっとき。」と諭すように言って勇者を後ろに下げ、
       僧侶にスイッチを踏むよう促しました。戦士も黙ってウンウンと頷いていました。
        僧侶がスイッチを踏むとスイッチの南北2箇所にあった岩の壁が同時に開き、これで
       トロンからいつでも魔王城へ行けるようになりました。
        勇者たちは一旦トロンに戻り、一泊してHP・MPを全復活させた後、いよいよ長か
       った冒険の最終決戦地「魔王城」へ向かうことにしました。
        トロン北の地下道を抜け魔王城の島へ出て、魔王城の正面から堂々と城内に入った勇
       者たちは、前回の冒険でこのトロン北の魔王城に入った時とほぼ同じく、さほど複雑な
       見取りになっていない城の内部に、多少拍子抜けしました。
        どうやら正面の広い階段を上がるとその先にディアーザが居るようです。念の為、勇
       者が‘国王の紋章’を使ってみると、間違いなくコンパスは北を指していました。
        階段を上がり、やけに長い玉座の間を北へ進んでいくと、そこには紛れも無く、以前
       勇者たちに倒された姿のままのディアーザが玉座にふんぞり返っていました。
    
        玉座のディアーザは勇者たちの姿を見付けると、これまでとは違った静かな口調で話
       し始めました。
        「やっと来おったか・・・ この我をここまで待たせるのは世界広しといえども貴様達位
       のもんだな。ともかく、まあ、貴様達には礼を言わねばならん・・・ 貴様達のお陰で我は
       我に相応しい身体を手にすることができたのだからな。貴様達に浴びた屈辱がすべて我
       のエネルギーとなり、眠っていた我の真の力を呼び覚ましてくれたのだから・・・ そうだ
       な、お礼にその真の力をお見せすることにしよう・・・ 自分達の身体でたっぷりと味わう
       がよい!!」
        閃光が走り、勇者たちとディアーザのバトルが始まりました。
    
                                          つづく

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