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■115 / inTopicNo.1)  第4章 1:「究極必殺技 新・地慈威神滅却」
  
□投稿者/ ぴよきち <マックルロード(64回)>-(2004/12/04(Sat) 14:22:44/220.22.84.102)
        北西から南東に向かって細長いその島の最南端から、北の端の近くにある「漁師のお
       っちゃんの家」を目指して進む勇者たちは、時の経過と共にディアーザ戦のショックか
       ら徐々に立ち直っているようでした。出現した『バードナイト』『リザードアーチャー』
       『デーモンヘッド』『サタンナイト』を苦もなく倒しながら、確実に島の北端へと進ん
       で行く勇者たちの前に、やがて1軒の小さな家が見えてきました。前に訪れた時、おっ
       ちゃんは不在だったのですが、今回は家の中の‘指定席’にちゃんと座っていました。
        「おっちゃん」は勇者たちを見付けると「おおーっ、久し振りじゃのう、元気でやっ
       とったか。」と声を掛けてきました。気のせいか以前よりも幾分元気が良いようです。
        早速、舟を貸してくれるように頼んでみたのですが・・・ 「舟か、まあ、貸してやって
       も良いがの・・・ タダと言う訳にはいかんのう。」と意味ありげな答えが返ってきました。
       何回話しかけても同じ返事しか返ってこなかったので、舟の側に居る「ちびマックル」
       に話し掛けると「爺ちゃんはこの間もモンスターを倒したんだって、まあ実際に見た訳
       じゃないから本当かどうか、僕には判らないけど・・・ 」と言いました。
        再び、おっちゃんの許へ戻った勇者たちが話し掛けると「おお、そうじゃ。孫の言っ
       た通りじゃ。またクリストンが迷い込んで来おってのう、そのまま逃げ去ればワシも黙
       って見逃してやるつもりじゃったが、生意気にも元専業モンクのこのワシに突っかかっ
       て来おったんじゃ。そこでワシが一撃喰らわすと、これがまたクリキントンヒットにな
       ってのう・・・ 」とおっちゃんの自慢話が始まりました。
        「何がクリキントンや、そらクリティカルやろ!」とツッコミを入れたかったモンク
       でしたが、敢えて黙っていました。おっちゃんの話はまだ続いていました。
        「ま、後から気付いたんじゃが、ワシが倒したんは実は『シルバークリストン』だっ
       たんじゃ。お陰でとんでもない経験値が入ってのう・・・ レベルがいっぺんに10も上が
       がりおった。いやあ、この歳でレベルアップするとは思わんかったぞ。」と嬉しそうに
       話しました。「シルバー1匹でレベルが10上がるて・・・ 元々のレベルが低かっただけ
       やないの。」とモンクは言いたかったのですが、やっぱり黙っていました。
        このまま自慢話を聞いていても仕方がないので、今度は海を見ている「兄マックル」
       に話を聞くことにしました。すると「やあ、あんたたちか。あ、そうだ。爺ちゃん『ま
       たあんたたちと一戦やりたい』って言ってたよ。」という答えが返ってきました。
        「うーむ、『タダという訳にはいかん』ということは、つまり、また拙者たちと戦い
       たいということらしいですな。」と戦士が困ったように言いました。どうやらあの自慢
       話も、結局は強くなった自分をアピールしたかったようです。無論、他の3人もモンス
       ターならともかく年老いたキャックル相手にバトルを行いたくはありませんでした。一
       行は「困ったなあ」という面持ちで、三たびおっちゃんの許へと向かいました。
        おっちゃんは勇者たちを見ながらニコニコして、何やら準備運動を始めていました。
       「あかん、どうしてもヤル気や・・・ 」とモンクが天を仰ぎながら言いました。
       「どうした、怖じ気づいたんかの・・・ ワシのほうはいつでも構わんぞ。」とおっちゃん
       は盛んに勇者たちを挑発してきました。「そっちが構わんでも、こっちが構うわい。」
       とモンクが呟きました。「しかし、舟を借りるには他に方法が無いようでござる。仕方
       がござらん。やるしかなかろう。」と戦士が言うと、最終決定権を持つ僧侶が「そうで
       すね。おっちゃんには気の毒ですが、ココで時間を消費する訳にもいきません。向こう
       がどうしてもやりたいと言っているのですから、相手になってやるしかないでしょう。」
       と苦渋の決断を下しました。
        勇者がおっちゃんの「やるか?」の問いに「はい」と答えると、閃光が走り、勇者た
       ちと「レベルアップした漁師のおっちゃん」とのバトルが始まりました。
        おっちゃんはすかさず‘究極必殺技 新・地慈威神滅却’で勇者を攻撃しました。目
       にも止まらぬ回し蹴りが勇者を襲いましたが、勇者に1のダメージを与えたに過ぎませ
       んでした。技の名前に‘新’が付いただけで中身はあまり変わっていないようでした。
        さて、勇者たちに攻撃の順番が廻ってきたのですが、やはり誰も攻撃しようとしませ
       んでした。いくら時間が勿体無いと思っていても、人の良い老キャックルを倒すことな
       ど、心優しき勇者たちにはとてもできませんでした。じりじりと時間だけが過ぎようと
       していました。暫くして、覚悟を決めた戦士が‘村雨’を抜くとそのままおっちゃんに
       「居抜き」を決めました。当然のようにおっちゃんは倒れてしまいました。他の3人が
       「あっ!」と思って戦士の方を向くと、戦士は落ち着き払って「ご安心召され、峰打ち
       でござる。」と答えました。「峰打ち」とは刀の背で相手を攻撃することで、当然、相
       手が斬られることはありません。
        「あいたたた・・・ 」おっちゃんは腰を押さえながら立ち上がり「いやあ、自信があっ
       たんじゃがのう、そうか、よく考えてみればレベルアップしとるのはワシだけじゃない
       のう・・・ お前さんたちも修行を積んだんじゃの。はっはっはっ」と徐々に元気を取り戻
       してきたようで、勇者たちも安心しました。折角なので僧侶が‘ヒールS’でおっちゃ
       んのHPを回復させました。
        「いやあ、年寄りの道楽に付き合わして悪かったの。舟は孫に言えば貸してくれるは
       ずじゃ。」と、おっちゃんは勇者たちに軽く詫びて、舟を貸してくれると約束してくれ
       ました。勇者たちはおっちゃんにぺこりと頭を下げて、早速、ちびマックルのいる船着
       き場に向かいました。
        ちびマックルは「爺ちゃんが舟を貸してくれるって? よかったね。オイラの後に付
       いて来な。」と言って舟に乗り込んだので、勇者たちはちびマックルに続いて船に乗り
       ました。舟がカラッカ大陸の東岸に着いたので、ちびマックルに別れを告げて、勇者た
       ちはカラッカの町へ行き、先ずは王様に話を聞いて貰うことにしました。
    
        カラッカに入り、王の部屋でカラッカ王に話し掛けると、王は「そうか、ディアーザ
       が聞いたこともない魔術を使ったというのじゃな。うーむ、やはり魔術のことはスラッ
       ク翁に訊くのが一番じゃろうな。」と答えられたので、勇者たちは王の部屋を出たあと、
       教会へ行き‘ワープに掛かっている呪い’を解いて貰い、フィンクルの里へ行くことに
       しました。早速、スラックの家へ入るとスラックは珍しく地下1階の居間の椅子に座っ
       ていました。危険な研究も一段落着いたようです。
        勇者がスラックにディアーザの唱えた‘ヘルイレイザー’‘ギガデス’のことを尋ね
       ると「無論、その2つの魔法のことは知っとる。どちらも魔界の住民しか覚えることの
       できん魔界妖術じゃ。それも、相当レベルの高い者でなくては覚えられん最強の白魔術
       と最強の黒魔術なんじゃが・・・ 遂にディアーザが覚えよったか・・・ 」
        「どうしたら、その2つの魔法を防げるのでしょう?」と僧侶が訊きました。
        「それは儂には判らん・・・ 儂が知っとるのは、そういう魔法がある、ということだけ
       じゃ。かと言って、このままお前たちを帰す訳にはいかんのう。その代わりと言っては
       なんじゃが、その2つの魔法‘ヘルイレイザー’‘ギガデス’をずっと研究しておる奴
       を教えてやる。『カラッカ東の洞窟』に行ってみろ、今なら居ると思うぞ。」とスラッ
       クは答えました。
        勇者たちはスラックの言葉に従い、フィンクルの里を後にして『カラッカ東の洞窟』
       へ向かいました。洞窟とは言っても小さな部屋が2つだけの洞窟です。洞窟へ向かう途
       中、突然、僧侶が声を上げました。「あっ、思い出しました。あの汚れたメモには‘ヘ
       ルイレイザー’と‘ギガデス’のことが書いてあったんですよ。うーん、何故ディアー
       ザと戦う前に思い出さなかったんだろう。不覚・・・ 」
        「思い出しとったところで、どうにもなりゃせんかったと思うで・・・ 洞窟には誰もお
       らなんだし、メモもあんだけ汚れとったらマトモに読めたモンでもなかったやろ。」と
       モンクがモンクらしい言い方で僧侶を慰めました。
        勇者たちは出現したモンスターを蝿でも落とすように片付けながら『カラッカ東の洞
       窟』に到着しました。「‘ヘルイレイザー’‘ギガデス’を研究している人って誰だろ
       う」と思いながら勇者は他の3人と共に洞窟に入って行きました。
    
                                          つづく

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