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■13 / inTopicNo.1)  第1章 2:「ラント東の洞窟」
  
□投稿者/ ぴよきち <一般人(6回)>-(2004/10/15(Fri) 14:02:04/220.22.84.128)
    2004/10/23(Sat) 05:54:27 編集(投稿者)
       「いやあ、のどかなモンだなぁ。」感心したのか、或いは退屈したのか、レオ
       ンが思わず言いたくなるほど2人は順調に「ラント東の洞窟」へ進んでいました。
        ディアーザが姿を消した後、ラント周辺の毒沼もすっかり消えてしまい、なに
       より魔物が一匹も出て来ません。大嫌いな‘戦闘’を行わずに済んでいるのはレ
       オンにとっても幸いなことに違いないのですが、覚悟を決めて勇者に同行した身
       としては幾分物足りない気持ちになって来たのでしょう。思わず「なあ、ディア
       ーザって本当に生きてんのかなぁ、 あの爺さ・・・いや、大魔道師の思い違いじゃ
       ねえのかなぁ。」と勇者に問い掛けたのも無理はありません。
        しかし、最後の祠やワープの行き先が消えてしまったのは紛れもない事実であ
       り、それがディアーザの仕業としたらやはりディアーザは生きていることになり
       ます。勇者にはどちらが正しいのかは解りませんでした。
        そうこうしている内、2人は洞窟の入り口に辿り付きました。勇者はスゥーッ
       と一息吸って、かつて強大なモンスター達と壮絶なバトルを行った洞窟内へ入っ
       て行きました。レオンも唇をぐっと横一文字にして勇者と共に入って行きました。
     
        「少なくとものこのフロアは変わっていない・・・な。」
        左右に整然とマックル像が並ぶ、最初の‘一本道のフロア’は勇者が覚えてい
       る限り、以前と寸分違わぬ姿で2人を迎えました。
        勇者とレオンは颯爽と前方の下り階段へ向かって歩き始めました。黙々と歩み
       を進める2人は階段に確実に近づいて行きます。モンスターは出て来ません。
        そしていよいよ階段まであと一歩という時・・・
     
        「!!!」
     
        突然、1人のレンクルが2人の目の前に音もなく現れました。
     
        「私の名は、サイモン・・・ 君達がスラック翁に選ばれた戦士達だね。」
     
        勇者が頷くとサイモンと名乗ったレンクルは語り始めました。
        「この洞窟は君らも知っている通り、かつて魔王城へ繋がっていた。しかし、
       魔王城が消えてしまってからは、行き場を無くしたモンスター共の巣窟と化して
       しまっている。中には姿を変えた奴や、見たことのない奴もいるが・・・ 君達は
       それでも入っていくかね?」
        レオンは「嫌だなぁ」と言いたそうな顔をしていましたが、勇者は黙って頷き
       ました。
        「そうか・・・ 断っておくが、この先は随分と様変わりしていて出口に辿り付く
       のも容易ではないぞ。頭を使わなければ進めない所もある。勇気を出さねば進め
       ない所もある。強いだけでは到底出口までは行けないぞ。それでも入るかね?」
        勇者は再び頷きました。「こいつ、わかって頷いてんのかなぁ・・・ それとも、
       ただの無鉄砲なのかな?」レオンは勇者を見ながらそう思いましたが、スラック
       に「付いて行け!」と言われている以上、付いて行くしかありません。
        「うむ・・・ スラック翁が選んだだけのことはありそうだ。では、私は出口で
       君達を待つことにしよう。 くれぐれも油断をしてはならんぞ・・・」
        そう言うとサイモンはまた音もなく2人の前から消えました。
     
        「誰なんだ? 今のおっさんは・・・ 爺さ・・・いや、大魔道師の知り合いみたい
       だったけど。まあ、あんたに訊いても分からないよなぁ・・・」
        「だったら訊くなよ」と勇者は思いましたが、意に介さず階段へと進みました。
     
        階段を下りてみると、かつて矢印の床がずらりと並んでいたはずのフロアには、
       なんと無数の花が咲いていました。赤、青、黄色、緑、紫・・・
        「何だこりゃ、何で日も差さないこんな場所にこんな沢山の花が咲いてんだよ。
       まあ、あんたに訊いても分からないよなぁ・・・」
        「だったら訊くなよ」と勇者は思いましたが、ふと前方を見ると一本の掲示板
       が立っていたので、早速近づいてみました。
     
        『赤い花は毒の花 踏んではならぬ』
        『青い花は眠りの花 踏んではならぬ』
        『黄色い花は導きの花 一輪だけ摘んでも良い』
        『緑の花は毒消しの花 踏んでも良い』
        『紫の花は精霊の花 摘んでもよいが踏んではならぬ』
        『白い花は祝福の花』
     
        レオンが書かれてる文章をスラスラと読んだあと、勇者に言いました。
        「つまり、赤い花を踏めば毒漬けになる。青い花を踏めば眠らされる。黄色い
       花を一輪摘んで持ってりゃ案内係になる。緑の花を踏めばリポイズンと同じく毒
       が消えて・・・ 精霊の花? 摘んでも良いけど踏んじゃダメ? 踏むとどうなるっ
       てんだ? 白い花は・・・どうしろってんだよ。まあ、あんたに訊いても分からない
       よなぁ・・・」
        「いい加減にしろよ」と思い、勇者はレオンを睨みつけました。
     
        ともかく、先ずは黄色い花を探さなくてはならないようです。赤・青・紫の花
       を踏まないように注意しながら・・・
    
                                       つづく

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