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■33 / inTopicNo.1)  第2章 1:「秘術 テレポーテーション」
  
□投稿者/ ぴよきち <一般人(21回)>-(2004/10/29(Fri) 03:35:00/220.22.84.91)
        出口になる階段を上がるとそこはラントの町でした。2人が洞窟に行っている間に町
       の建物は殆ど完成し、ディアーザの来襲を受ける前の姿に戻りつつありました。
        「とりあえず、花職人を探そう。」レオンに促され、勇者は町の色々な人に話し掛け
       ました。何人目かのマックルが「花職人なら花畑にいると思うが・・・」と答えてくれたの
       で花畑を探しましたが、花畑どころか町には一輪の花も咲いていません。
        「ひょっとしたら、あれかなぁ。」レオンが顔を向けた先には、道具屋の横の草木一
       本生えていない土地を、じっと見つめているフィンクルがいました。早速話しかけてみ
       ると・・・
        「おや、あなたが持っているのはもしや‘祝福の花’ではありませんか? その花を
       私に育てさせて下さい。私ならこの畑いっぱいにその花を咲かせられます。」
        「そうか、ここが畑だったのか。なるほど、今から花を咲かせるのか・・・」もちろん、
       否も応もありません。勇者は‘祝福の花’を渡しました。
        「もしや、一緒にいらっしゃる方はレオンさんですか?」花を渡すと花職人はこう尋
       ねてきたので、レオンが「そうだよ。」と答えると・・・
        「スラックという方からあなた方宛の手紙を預かっています。」と言ってレオンに一
       通の封書を手渡しました。早速レオンが封を開け、読み始めました。
    
        「えー、何々? カラッカの勇者、そしてレオンよ・・・ 2人ともとっくに気付いとる
       と思うが、わしはそもそもサイモンから連絡を貰ったからラントへ来たんじゃ。護符を
       作ってな。来てみると、確かにディアーザの残した妖気が漂っとった。
        お前たちを洞窟へ行かせたのは、自分らの目でディアーザの復活を確かめさせたかっ
       たのと、レオンに成長して欲しかったからじゃ。まあ、騙すような真似をしてすまんか
       ったの。
        本来ならわしがラントでお前たちを出迎える予定じゃったが、実はディアーザが‘旅
       の扉’のワープ装置を破壊しよっての。わしとしたことが迂闊じゃった。しかしこれで
       ディアーザが、勇者よ、お前さんををマークしとることがハッキリ判ったというもんじ
       ゃ。お前さんをグランデ大陸に足止めさせておく気じゃ。しかし、お前さんには取り急
       ぎデリナダに行って貰わねばならん。そこで起こっとる問題を解決せんことにはディア
       ーザを探すどころじゃなさそうじゃ。
        レオンよ、お主はラントの町に残って‘祝福の花’を守れ。勇者と共に洞窟を抜けて、
       お主も色々学ぶことがあったじゃろう。サイモンに会って話をしたこともお主にとって
       は為になっとる筈じゃ。
        さて、勇者にデリナダに行って貰わねばならんのじゃが、ワープは使えん、船も無い。
       ‘旅の扉’も使えんとなれば残る方法はひとつしかない。 レオンよ・・・ テレポーテー
       ションで勇者をデリナダに送るのじゃ。・・・って、えーーーっ!!! そ、そんな・・・」
       レオンがとんでもないとでも言いたそうに、首を横にブルブルと振りました。「前にも
       同じようなことがあったな」と勇者は思いました。
        スラックからの手紙はまだ続いていたようで、レオンが恐る恐る続きを読み始めまし
       た。
        「えーと・・・ レオンよ、つべこべ言わず、やれと言われたら黙ってやるのじゃ・・・」
        ブッと勇者が吹き出して、レオンが勇者をひと睨みしたあと、続きを読みました。
        「えーと・・・ わしは‘旅の扉’を直すために、一旦マザレルナに戻る。勇者がデリ
       ナダに来る頃には修理も終わっとると思う。それでは、以上のこと、くれぐれも宜しく
       頼むぞ。尚、この手紙はあと10秒で爆発する・・・」 驚いて勇者が後ずさりしようと
       すると、レオンが手紙を見ながら「うっそぴょ〜ん」と言ったので、今度は勇者がレオ
       ンを睨みました。レオンは手紙を勇者に見せて「俺は読んだだけだぜ。」と言いました。
        確かにそこには「うっそぴょ〜ん」と書いてあったので、勇者は思わずコケそうにな
       りました。
    
        「うっそぴょ〜ん」はともかく、確かにスラックの手紙にあったようにレオンの力で
       送ってもらいでもしない限り、デリナダには行けそうもありません。でも「テレポーテ
       ーションって何だろう」と勇者は思いました。
        「は〜っ、テレポーテーションか・・・ 自信ねえよ。いや、物体なら何回か遊び半分
       でやったことあんだけどなぁ。生きたマックルを瞬間移動させるなんて、冗談でも考え
       たことねえよ。」頭を抱え込んでしゃがんでしまったレオンの肩を、勇者はトントンと
       叩きました。「何? それしか方法は無いんだから、思い切ってやってくれだと・・・ お
       前、分かってんのか? 失敗したらお前は死んじまうか、異次元に消えちまうんだぞ。
       何? 良いから思い切ってやってくれ? 全くお前という奴は・・・ あっ、そうだ。ち
       ょっと練習させてくれ。」そう言ってレオンは地面に○を2つ描いて、その一方に石こ
       ろをひとつ置きました。
        「今から、この石ころをそっちの○に移動させてみっから、成功したらお前をデリナ
       ダに送ってみるよ。」と言って何やら呪文を唱え始めました。
        すると、置かれた石ころがすぅーっと消えて、2人がもう一方の○を見てみると・・・
        そこには、見事に真っ二つになった石ころが転がっていました。2人の間にしばしの
       沈黙が流れました。
        「やっぱやめようぜ。えっ、何? 構わないからやってくれだと? 何言ってんだ。
       お前がこうなるかも知んねえんだぞ。」そう言うレオンに、勇者はニッコリ微笑んで頷
       きました。
        「・・・そうか、どうしてもやるってんだな。よっし、覚悟決めたぞ。俺だってこれから
       この町を守んなきゃいけねんだ。これ位でビビってたってしょうがねえや。おい、そこ
       から動くなよ。」そう言ってレオンは再び呪文を唱え始めました。すると・・・
    
        レオンの前から勇者の姿が消えました。
    
        大役を終え、暫くして落ち着いたレオンが呟きました。「デリナダか・・・ あれ、俺、
       デリナダなんて行ったこと無えぞ。デリナダって何処にあるんだ・・・」
    
                                          つづく

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