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■69 / inTopicNo.1)  第3章 3:「盗賊の行き着く先」
  
□投稿者/ ぴよきち <一般人(45回)>-(2004/11/14(Sun) 18:05:19/220.22.84.102)
        僧侶の案内でウェイダン城とその北に流れている水路との間の幅一歩分の通路を西か
       ら東へと進み、その通路の最東端を「調べ」て見ました。すると・・・ 隠し階段が現れま
       した。モンクが思わず「ビンゴ!」と叫びました。
        勇者たちが階段を下りると狭い部屋がひと部屋だけ造ってあり、そこに衛兵の格好を
       したマックルがひとり立っていました。そのマックルは勇者たちを見ると、「これ、こ
       こに入って来てはならん。ココはウェイダン王の隠し部屋である。」と言いました。
        それが本当かどうかは‘心眼ゴーグル’を装備した勇者ならすぐに判る筈なのですが、
       勇者は何も言わずに首を傾げています。やがて勇者は自ら‘心眼ゴーグル’を外し、そ
       れを戦士に渡しました。今度は戦士が‘心眼ゴーグル’を装備して、目の前の衛兵を見
       ましたが、戦士も首を傾げているだけでした。
        「何やねん、気持ち悪い。ワイに貸しいな。」と言ってモンクが装備しましたがやは
       り同じことをしました。最後に僧侶に‘心眼ゴーグル’を渡そうとしましたが僧侶はい
       らないという風に手を振ったので、結局、モンクが装備していました。
        「うーむ、こやつは以前、倒した筈でござるが・・・」
        「そうやなあ・・・ 何で、又、ココにおんのやろなあ・・・」
        戦士とモンクの会話を聞いて覚悟したのか、衛兵マックルは変装を解き「真の姿」を
       勇者たちの前に現しました。
        「うーむ、どう見ても『暗黒司祭』にしか見えんのでござるが・・・」
        「やっぱそうでっしゃろ、『暗黒司祭』にしか見えんわ・・・」
        戦士とモンクの会話を遮るように僧侶が言いました。「何にせよ、コイツを早く倒し
       て王の前に連れて行きましょう。」
        僧侶の言葉に反応するように‘真犯人’は口を開きました。
        「俺の名は『暗黒魔道』だ。『暗黒司祭』ではない。ほれ、よぉく見ろっ! 顔のコ
       コんとこに『マ』って書いてあるだろう。」と言って自分の額のあたりを指しました。
        「そんなん、誰だって書けるやん。他に何か無いんかいな。」とモンクが訊きました。
        「他にか? うーん・・・ 強さが違う。他には、うーん・・・ あっ、肌の色がビミョー
       に違う。どうだっ!」暗黒魔道は胸を張って答えました。が、
        「わかるかっ! そんなもん!」モンクに一蹴されました。
        「まあ、良いではないかモンク殿。久々に斬り応えのある相手と出会えたのでござる。
       この‘妖刀’村正も喜んでおりまする。」と言いながら戦士が村正を抜きました。
        「あなたが黙って大人しく牢に入ると言うのなら乱暴な真似は致しません。どうなさ
       いますか?」と僧侶が馬鹿丁寧に尋ねましたが、僧侶の右手は‘祝福の剣+5[炎氷雷]’
          に掛かっています。
        暗黒魔道は「わかった。大人しくお縄を頂戴する・・・ワケねえだろっ!」と言って、閃
       光が走り、バトルが始まりました。
        モンクが正拳突きを放ち、これがクリティカルヒットになり、僧侶の一撃を浴びせて
       も暗黒魔道は倒れませんでした。が、それが逆にこの人を喜ばせることになりました。
        「古来より伝わりし・・・(以下略)でぁっ!」戦士の袈裟斬りが炸裂し、暗黒魔道は力
       なく倒れました。「ふっ・・・ またつまらぬモノを斬ってしまった。」
        勇者たちの後を追って来たウェイダンの衛兵たちが、パチパチパチと手を叩きました。
        暗黒魔道にとってみたら相手が悪かったようで、結局、どこがどう強くなったのかイ
       マイチ分からずじまいでした。倒れた暗黒魔道は衛兵たちに捕らえられ、地下牢へと連
       れて行かれました。衛兵たちが地下牢に到着すると、そこに居る筈のディコスの姿はあ
       りませんでした。しかし「とっくに釈放命令が出たんだろう。」とひとりの衛兵が言っ
       た意見に皆が賛同したので、大した騒ぎにはなりませんでした。
        意見を言った衛兵は、実はディコスの変装だったのですが・・・
    
        勇者たちは王様に結果報告をするため、謁見の間にやってきました。
        「盗賊は『暗黒魔道』というモンスターでした。関所の開放と町の人たちへの告示を
       をお願い致します。」と僧侶が言いました。
        「うむ、即刻手配しよう。今回もまたお前たちの世話になったのう。預かり所も今ま
       で以上に厳重に警備するゆえ、また使ってくれ。それから、ディコスが『宜しく伝えて
       くれ』と申しておったぞ。」
        「ディコスが・・・ でござるか?」戦士の問いに王様が答えられました。
        「そうじゃ。あいつも変わった奴じゃのう、自分から『牢に入れろ』と申し出てきお
       った・・・ おっと、このことはわしとディコス以外は誰も知らんことじゃ。くれぐれも口
       外せんでくれ。」
        「分かりました。では、そろそろ失礼致します。先を急ぎますので・・・」と僧侶がウェ
       イダン王に挨拶をしてしまったので、他の3人も色々王様に訊きたかったのですが、や
       むなく僧侶と共に謁見の間をあとにしました。
    
        そのあと勇者たちは暫く話し合いをしていました。そして、囚われた暗黒魔道のいる
       地下牢へと向かいました。暗黒魔道はふて腐れた態度で牢の中に寝そべっていました。
       勇者が暗黒魔道に話し掛けました。「話? 話なんか無えよ。何? 何で盗みなんかや
       らかしただと? ふん、お前らをココから出さねえ為だよ。ディアーザ様に頼まれたん
       でなっ。」話なんか無いと言いながら、訊かれたことは一応答える暗黒魔道でした。
        「なるほど・・・ ディアーザの手先でござったか。」戦士が一人で納得しました。
        「わいら、これからディアーザを倒しに行くんやけど、お前、ディアーザがおらんよ
       うになったらどないするつもりや。」今度はモンクが訊きました。
        「ふん、ディアーザ様がお前らに負ける訳が無かろうが・・・ 俺だってもうすぐディア
       ーザ様に助けて貰えるんだ。」ディアーザに何を言われたのかは分かりませんが、暗黒
       魔道は本気で助けて貰えると思っているようでした。
        「なるほど・・・ 今からこちらの勇者がブレードLであなたを攻撃します。間に檻があ
       っても関係ありませんよ。私たちはディアーザに味方する者に容赦はしません。あなた
       がこれからもディアーザを崇拝すると言うのなら、残念ですがこの場で消えてもらうし
       かありませんね。しかしディアーザが助けに来ると言っているのなら、心配しなくても
       もうじき現れるでしょう。」と僧侶が落ち着いた口調で淡々と言いました。
        「おう、お前らも今のうちに逃げとかねえと、デイアーザ様にコテンパンにやられち
       まうぞ。へっへっへっ、いい気味だってんだ・・・」と暗黒魔道は調子良く言いましたが、
       勿論、ディアーザの現れる気配は全くありません。
        「お、おかしいな・・・ な、何でだよ・・・ 何で誰も来ねえんだよ・・・」暗黒魔道の顔色
       が明らかに悪くなってきました。
        「ディアーザなんぞ来いへんわ・・・ あんた、最初から使い捨てのつもりで利用された
       だけやで・・・ まだ判らんのかいな。」
        「勇者殿、もう時間切れでござろう。さ、早く、こ奴に引導を渡されてはいかがかな。
       いや、暗黒魔道殿、そなたは立派じゃ・・・ 騙されようと、裏切られようと、見捨てられ
       ようと、一度仕えた主君の為に、命まで潔く捧げようとは・・・」
        「せめて、捧げた相手がもう少しマトモな奴なら良かったのに。あなたのような忠誠
       心を持った人が・・・ 返す返すもつくづく残念です。」勇者たちは沈痛な面持ちで、憐れ
       むように暗黒魔道に語り掛けました。
        「あ、あのぉ・・・ 私、実は・・・ ディアーザ様・・・ あ、いや、ディアーザのことなん
       て、全然、す、崇拝・・・ 崇拝なんて・・・ してる訳、無いじゃないですか。わ、私は騙
       されただけなんです。だってアイツは『我が世界制覇を果たしたら、このウェイダンの
       王にしてやる』って言ったんです。私は、一度で良いから王様になってみたかっただけ
       なんです。ほ、本当にそ、それだけなんですから・・・」暗黒魔道は必死の形相で勇者たち
       に訴えました。
        「アホか! 王様なんかになれる訳、無いやないか。」モンクが吐き捨てるように言
       いました。「大体、あのディアーザっちゅう奴はなぁ・・・*%&#$*〜」相当興奮して
       いたらしく、あまりに早口でまくし立てたので何を言っているのか解りませんでした。
        「僧侶殿、モンク殿は何と申されたのでござるか?」戦士が僧侶に尋ねました。
        「さあ・・・ 少なくとも、褒め称えてはいなかったみたいです。」僧侶が答えました。
        「いつまでも、こないな奴に構っとってもしゃあないで・・・ 勇者はん、遠慮のうズバ
       ッとやっとくんなはれ。」モンクが今まで見せたことがない恐ろしい形相で暗黒魔道を
       睨み付けながら勇者に促しました。
        モンクの顔を見て暗黒魔道は完全に毒気を抜かれてしまったようです。「お願いしま
       す・・・ 命だけは助けて下さい。も、もう悪いことは絶対しませんから、ほ、本当です。
       や、約束します。王様になりたいなんて、もう言いません。だ、だから・・・」
        暗黒魔道の命乞いは続いていましたが、勇者は委細構わず呪文を唱えました。やがて
       無数の光が暗黒魔道に降り注ぎ・・・ 暗黒魔道は静かになり、倒れて動かなくました。
    
                                          つづく

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