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■94 / inTopicNo.1)  第3章11:「宝玉の守護神」
  
□投稿者/ ぴよきち <マックルナイト(58回)>-(2004/11/24(Wed) 01:18:50/220.22.84.102)
        ランガート地方の山岳地帯を西へ東へと方向転換しながら、勇者たちはゆっくりと、
       しかし確実に南の洞窟へと進んで行きました。龍の国王に託された4つの宝玉入手の為、
       引いては、あの憎きディアーザをこの世界から完全に消滅させる為に絶対に避けては通
       れない場所です。勇者たちは自然と「気合い」が入っていきました。その証拠にランガ
       ートを出てから誰一人として口を利いていません。洞窟の入り口が近付いてきた所で、
       唯一、橋の架かっていない川を‘ジャンプL’で飛び越え、一行はそのままの勢いで洞
       窟に入って行きました。
        果たしてどんな仕掛けがあるのかと警戒しながら洞窟に入った勇者たちでしたが、少
       なくとも第一印象では以前と然程変わりなく、多少地形が変化していたものの、矢印の
       床や鍵が必要な扉、上り下りの階段、魔方陣といったモノもなく、ともかく最深部に向
       かって進めば良さそうでした。勇者たちは出現した『シルバークリストン』『だいまど
       う』『バンパイア』『呪いの仮面』『呪いの茸』『赤鬼』を倒しながら、洞窟の分岐点
       を一つひとつ辿って行きました。最初に見付けた宝玉は‘地平の宝玉’でした。勇者は
       龍の国王から注意されたように、手に入れた‘地平の宝玉’を8つずつ2列に並んだア
       イテム欄の右側、つまり‘宝玉の袋’側に収めました。
        更に奥まで進み、次に見つけたのは‘水平の宝玉’でした。3つ並んだ宝箱の真ん中
       に入っていました。ちなみに両側は『サプライズボックス』でした。戦士は魔術師の副
       職を持っているので‘ディテクト’を使えば良さそうなものですが、本人はバトルのほ
       うが良いらしく、この人が‘ディテクト’を使ったことは一度もありませんでした。他
       の3人も解っているらしく、誰も戦士に文句は言いませんでした。
        3つ目に入手したのは‘深層の宝玉’で、やはり3つ並んだ宝箱の真ん中に入ってい
       ました。但し、今度は両側に‘アサシンダガー’と‘魔法のくつ’が入っていました。
       早速、モンクが‘魔法のくつ’を装備しました。いよいよあとひとつで4つの宝玉が揃
       います。勇者たちは残る‘天空の宝玉’を探しに、洞窟の最深部へ入って行きました。
        勇者たちは最深部以外の場所はすべて調べました。宝箱も漏れなく見つけて来ました。
       いよいよこの洞窟を「制覇」するのも目前です。最後の宝箱は案の定、最深部の一番奥
       にありました。宝箱を見付けてモンクが「なるほど、そういうことでっか・・・」と呟きま
       した。宝箱の前に、あのデビルロードにそっくりのモンスターが居たからです。
        「楽に取れるとは思わなんだが・・・ ここに来て、斯様な邪魔が入るとはの・・・ さて、
       ‘村雨’殿はどうされますかな。」と戦士が独り言を始めました。新しい剣を手に入れ
       て、新しい前口上でも考え付いたのでしょうか。早速、新デビルロードに話し掛けてみ
       ました。すると「グゴゴゴゴ・・・」ではなく、まともな言葉が帰ってきました。
    
        「余は『宝玉の守護神』である。お前たち、宝玉を手に入れて何とする・・・ 四宝玉の
       力が解っておるのか・・・ 宝玉の力を侮る者に渡す訳にはいかぬ。」と『宝玉の守護神』
       が勇者たちに言いました。
        「侮ってなどいません。寧ろその力を借りたいからこそ、私たちはここまで来たので
       す。四宝玉の力で邪悪な魂を葬り去りたいのです。」と僧侶が答えました。
        「お前の申す‘邪悪な魂’とは、誰にとって邪悪なのだ。お前たちか、それとも他の
       者か・・・ 心して返答せよ。返答次第ではお前たちに宝玉を渡す訳にはいかぬ。」と守護
       神が言いました。僧侶が間髪いれず‘心して’答えました。
        「私たちや特定の誰かにとってではありません。強いて挙げれば『この世界』にとっ
       て邪悪な存在なのです。」他の3人もこの答えにこくんと頷きました。
        「なるほど・・・ 少なくともお前たちの‘心’は、正しき道を歩んでいるようだ。では
       お前たちの‘力’を試させて貰う。お前たちの目の前にいる魔物を倒してみよ・・・」と守
       護神は言いました。ということは今まで話をしていたのは・・・ 
        勇者たちがあっけに取られている間に閃光が走り、新デビルロード・・・ではなく『デビ
       ルカイザー』とのバトルが始まりました。『デビルカイザー』はデビルロードとは比べ
       ものにならないほどの強敵でした。攻撃力や防御力が高かっただけではなく‘ハームL’
       ‘フレイムM’‘ディスペル’という魔法を操り、勇者たちを苦しめました。しかし、
       勇者たちは平均レベル60の底力を発揮して、このモンスターを倒すことができました。
       しかし、これ程の強敵だったにも拘わらず、何故か‘経験値’も‘G’も全く与えられ
       ませんでした。『デビルカイザー』が倒れるとデビルロードに似たその姿は消え失せ、
       勇者たちに「声」だけが届きました。「お前たちの‘力’は良くわかった・・・ 宜しい、
       四宝玉をお前たちに預けよう。」
        勇者たちが「声」のしたほうに目を向けると、そこには眩いばかりの‘光の玉’が目
       の高さにゆらゆらと浮かんでいました。
        光に向かって僧侶が訊きました。「もし、先程の『誰にとって邪悪な』という質問に、
       私が『自分たちにとって』と答えていたら、どうなさるお心積もりだったのですか。」
        「お前たちを洞窟の外へ追い出し、宝玉もすべて元の場所へ戻すつもりであった。お
       前たちの‘心’が正しき道から外れぬ限り、宝玉はお前たちの力になるであろう・・・」と
       光からの答えが返ってきました。そして光は、宝箱のちょうど真上の場所ですうーっと
       消え、それ以上いくら問い掛けても、声は聞こえてきませんでした。
        勇者は最後の宝箱を開け‘天空の宝玉’を‘宝玉の袋’に収めました。その時です・・・
       何と、勇者たち4人全員のレベルが一斉にupしたのです。これは『デビルカイザー』
       を倒した‘経験値’によって・・・と言うよりも、四宝玉の力によって、もたらされた現象
       と考えたほうが良さそうでした。
        思いもよらぬ経験をした勇者たちは、暫く夢でも見ているように、ぼーっとしていま
       したが、真っ先に「正気」に戻ったモンクが「そろそろ、帰りましょか。」と言ったの
       を合図に勇者が‘リターン’を唱えて洞窟を出ました。
    
        4つの宝玉を手に入れた勇者たちは、そのまま‘ワープ’で「カラ」へ行き、船で水
       路を南下して「龍の王国」へと向かいました。龍の王国へ入った勇者たちは、ちびドラ
       ゴンと遊んでいるひとりの人物を見て「あれ?」と思いました。その人物は勇者たちの
       姿を見付けると、手を振りながら駆け寄って来ました。よほど馴付いているのか、その
       後ろをちびドラゴンも付いて来ました。何もそんなに急いで駆け寄らなくても良かった
       のに・・・ と思ってしまうほど、その人物は勇者たちの前で息をハァハァさせながら、追
       って来たちびドラゴンを抱きかかえ、勇者たちに「やぁ、ご無沙汰しています。あなた
       たちのお陰で、こうして楽しく生活できるようになりました。本当にありがとうござい
       ました。」と言って頭を下げました。ちびドラゴンも真似をして頭を下げました。
        「こんだけ子供が馴付くちゅうことは、ホンマにあんたはええ人やったんやなぁ。」
       とモンクがしみじみと言いました。
        「サイモンさんはご一緒じゃないのですか。」と僧侶がその人物に尋ねました。
        「サイモンさんはラントに帰っていらっしゃいます。ここへはたまに姿を見せられま
       すけどね。」とその人物、暗黒魔道は答えました。彼はサイモンによってこの龍の王国
       でベビーシッターの職を紹介されたとのことです。
        勇者たちは暗黒魔道と別れ、国王の許へ行くことにしました。城内に入り階段を上が
       り玉座の間に入ると、王は玉座に座っていました。衛兵は1人しか居ませんでした。勇
       者が王に4つの宝玉を差し出すと「おお、流石は伝説の勇者たち、こんなに早く持って
       来て頂けるとは・・・ いや、失礼しました。早速‘悪霊喰らいの壺’を作りましょう。」
       と言って王様は4つの宝玉を受け取り、衛兵に持って来させた壺に、何やら呪文を唱え
       ながらひとつずつ宝玉を嵌め込んでいきました。
        「うむ、これでいいでしょう。」と言って王様は勇者に‘悪霊喰らいの壺’を手渡し
       ました。「これでディアーザを葬り去って下さい。世界中の人たちの為に・・・」
        ‘悪霊喰らいの壺’と龍の国王からのメッセージを受け取って、勇者たちは龍の王国
       を後にしました。
    
                                          つづく

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