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No378 の記事


■378 / )  BM 第1章 7:カラッカ地方脱出のカギは・・・。
□投稿者/ tickle(管理) <キング・オブ・マックル(126回)>-(2005/01/10(Mon) 19:26:05/203.136.171.98)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tyruster/0-Line/
       そんなこんなでスラックの指輪を手に入れられなかった主人公一行。昨夜はいびきと寝言、愚痴の連続で、まともに眠れたのはフィアロンとグロスだけだろうか。まぁ、彼らは彼らで、それなりのことをしたつもりなんだろうが。

       翌日。空は快晴に近い天気だった。もちろん仲間の雰囲気はかなり沈んでいたが。いや、そうでもないか。ピピルだけかもしれない。フィアロンは相変わらずケーキのことで頭がいっぱいだ(癖は簡単には治らないようだ)。グロスは海を泳いでも先に行く気満々なのだが・・・。
       はっきり言って、スラック爺(もう爺と呼んでいる)の言うとおり海峡を渡っていたら丸一週間泳ぎ続けることになる。それにこの海域は波が荒く、水が一部氷を張るほど冷たいので体力があって泳げるのは喧嘩屋グロスくらいしかない。ピピルも空を飛ぶことはできても丸一日飛んでいたら限界に達するのは目に見えている。スラックはもう作らんと言って聞かないだろうし、ディコスもものの見事に指輪を壊してくれたので、このままでは先に進めない。さて、どうするか。

       「だめだこりゃあ・・・。」とピピルが珍しく弱気な発言。
       「海を渡ればいいじゃねぇか」というグロスの提案は、もうみなうんとは言えなかった。たとえ、皮を剥がされたとしても。そのくらい、海の条件はきつかったのだ。
       何とか別の方法がないか探してみるが、つながっているのは海底トンネルだけ。やはり、どうしても最初に戻るのだ。
       どうしようもなく珍しくシーンとしていると、かなり珍しく、フィアロンからこんな言葉が飛び出した。

       「ねぇ・・・。ディコスは今頃何してるのかな・・・?」と。

       「なもん知るかよ・・。」とのグロスの答えに、ピピルは「あれ・・・。」と考えるのだった。
       ディコスのことなどどうでもいいから先に進める方法を考えろ、とグロスが少し怒り気味に言うと、フィアロンはふぁぁ・・・と言って「ケーキ、アメ、クッキー・・。」と完全に食べ物の世界へ。がくっとして考えていると、
       ピピルが突然「じゃあ、ディコスはなぜスラックの指輪を盗んだんでしょう?」と聞いてきた。
       「そりゃ海峡トンネルを通って、ウェイダンへ向かうのが目的だろうさ・・。何当たり前のことほざいてやがる」とはぁ?的な言い方でグロスが反論気味に答えると、ピピルは「そうなんです」と答えた。

       みな、質問の意味がまったくわからなかったし、自身、正直ピピルが考えようとしていることがワケが分からなかった。当たり前のことじゃないか。じゃあ何のために聞いたのか。彼には、何かしらの根拠があるように思えた。
       「とすると・・・。」とピピルが答えた。「ディコスたちも、私たちと同じ状況に今いるわけです。ディコスはミラックル、どんなにうまい手口の盗賊でも、この海を越えるのはたやすい事ではありません。きっと、他の逃げ道を探しているでしょう。ずっとここにいたら、いずれはカラッカの兵士に捕まりますからね。」
       「なるほど・・・。ということは、海底トンネルのほかにうまい逃げ道があれば、ここを脱出できるわけだ。」とまた珍しくグロスがまともなことを言った。そしてグロスは質問をピピルに突き刺した。

       「でも、そんな逃げ道が簡単に見つかると思うか? あの洞窟には、それらしいところはなかったはずだが。」
       「きっと、それが彼のやり方なんでしょう」と、ピピルが言った。「私たちに鍵が壊れたと言って海底トンネルを通れなくします。でもこれで海底トンネルを堂々と通ったら警備やスラックに見つかるでしょう。そこで、回り道をしてでもトンネルを通らないルートで脱出できるとしたら・・・。」
       「なるほど、俺らはトンネルを通ることはできず、警備からも逃れることができるし、ゆうゆうウェイダンへ行けるわけだな。盗賊仕事のことは周りに知られないわけだ。しかも最近はここの海域が荒く、船もロクに出せやしない。これでめでたく脱出と言うわけか。まったく、たいした盗賊だぜ」と、ディコスにお手上げと言った様子でグロスが答えた。

       「そうと決まれば出発だ。でもそんなところがあるとするとどこなんだ?」とグロスがピピルに聞き返した。
       「まぁ、おそらくは彼のいる洞窟が一番怪しいでしょうね。もう彼のアジト同然に使われていますから。」とピピルが答えた。

       でもちょっとここで不安もあった。ところで、なんでディコスは隠し通路なんて知ってると言えるのか? 口を挟んでみた。
       ピピルは「ディコスの手下が町に現れたのがつい最近のことだとフィンクルの里で報告されてますから。まぁ確証は持てませんが、かなりの確率で存在するでしょうね」ということだった。

       問題が解決の道へ進んだのがわかると、「よし、それならディコスの住む巣穴へ突っ込むぞっっ!! お前ら、さっさと準備せい!!」といつもの調子で(特にフィアロンに対して)言い放った。
       「え〜〜っ、もう行くのぉ〜〜。ケーキをもっと食べ・・・。」"バコン!!"
       フィアロンはまたまたグロスに連行された。「ほんとに剥いでやるぞ!!」と半ば脅し文句になりつつあるグロスの言葉に、一同はただ従うしかなかった・・・。

                               第1章  終わり
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