| 主人公たちはトンネルの中から出発しようとしていた。 明かりが少しついているのがまだよかった。最近のトンネル続きで、足腰が結構きていた。グロスがとっさの判断でちくぼうのマッサージ機をマッサージチェアに改良してくれた。最初はみなかなり嫌がっていたが(当たり前)、グロスの強い勧めで座らされた。 実は、かなり気持ち良いチェアだった。意外なほどに。グロスの魔術にかかっているような気がしてちょっと怖いところもあるが。フィアロンはもうすっかり気持ちよくなり、お昼寝モードに突入してしまった。 「もう仕方ないヤツだな・・・。」とグロス。疲れていて反抗する気にもならないようだ。「早くとっとと脱出したいんだがな・・・。」 「ゆっくり考えましょうよ。無理だと思ったらイブレムに戻ればいいでしょうし。ここでジタバタしていても、何の解決にもなりませんから。」ピピルもくつろいでいた。 トンネルの周りはほとんど暗かったが一本道のようだった。まぁ、後数日もすればつくだろ・・・。そんな雰囲気が周りに漂っていた。
しかしながら、グロスが何かの異変に気づいたのか、急に立ち上がった。 「何があったんですか?」 とピピルが不安そうにグロスを見上げた。 「ガビルはどこだ?」 「え〜と・・・。帰りましたよ」 「何で帰しちまうんだ、道案内役だったはずだぞ。勝手に帰られちゃ、何にもならねぇじゃねぇか。」 「そういえば・・・。」 と、逆にピピルが切り返した。 「そういえば、なんだ?」 「グロスさん私が起きたとき向こうで寝てましたよね。なにかあったんですか?」 急に周りが静まり返った。フィアロンも薄目を開けていた。
「・・・。忘れた」
「・・・。わ、忘れたんですか?」 ピピルも気にかかる。 「何かあったような気がするんだが・・・。あまり良く覚えてないな。」 グロスはとぼけたような様子もなかったが、ピピルは何かに気づいていた。 「グロスさん、あなた何か隠してますね!? 体見れば分かりますよ。傷がついてるじゃないですか。」 「何も隠しちゃぁ、いねぇよ・・・。それにこんな傷、どおってことねぇって、あ、イ、イタタタ・・・」 グロスが座り込んでしまった。他のメンバーもグロスの異変に気づいたらしく、集まってきた。 急な攻撃の要の傷に、先が真っ暗のメンバー。ほんとに、大丈夫なのか?
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