| 「ん、んん・・・?」 外は明るかった。どうやら昼のようだ。時間の感覚がずれていたから、何事もやりにくいことが続いたが、ようやくそれから解放されそうだ。 「ここ、本当に対岸なんだろうな・・・。」と、飛ばされてケガを負ったグロスがフラフラしながらやってきた。みな、冷や汗でグロスを見ていた。グロスだけ怪我しているのはかなり気マズイ状況だった。ジロッとグロスが見たときはギクッとなったがそこまで突っ込まれなかった。
とりあえず、周りの風景が見たことがないという点では良かったが、果たしてこれがウェイダンへ続く道なのかが不安になっていた。「とりあえず、宿、宿・・・。」というフィアロンに、みなも続いた。 しばらく歩いていると、見慣れないモンスターに遭遇した。久々のモンスターの出現。とはいっても、ディコスの洞窟から始まったときに比べると、覇気が消えつつあるのは明らかだったが・・・。
「オニオンファイター」「ベビーマウス」「マジックマウス」の3匹があらわれた。 敵のオニオンファイターの攻撃! クリティカルヒット!! ピピルに23のダメージ! 「速い・・・。」ピピルは少しビビッていた。「これまでの敵とは一味違うぞ・・・。」 そういう間にさらにモンスターたちの反撃は続く。 敵のベビーマウスは「アイスS」を唱えた! グロスに6のダメージ! 敵のマジックマウスは「アイスW」を唱えた! 主人公に5のダメージ! グロスに5のダメージ! ピピルに7のダメージ! フィアロンには効かなかった! 「ま・・魔法を唱えてくるのか・・・。」とグロスも引き気味。とっさに突っ込んで反撃するも、与えられるダメージはグロスでさえ5〜6だった。全然歯が立たない。 「おまえ、反撃しろ!」とグロスが叫んだ。だいたいこういう場合、呼ばれるのはもちろんフィアロン。フィアロンはじーっと見ていて、ほとんど動いていない様子だったが・・・。 「え〜と・・・。アイズS!!」 フィアロンはアイズSを唱えた。何も起こらなかった・・・。
「何やってるんだ!!」とグロス。「こうなったら・・・。」と、フィアロンをギロリ。フィアロンを軽くひょいと持ち上げ、モンスターたちに投げつけようとした。が、ちょうどそのとき・・・。 「・・・?」 何かがやってくる。しかも、とてつもないスピードで。 「あれは何だ?」と言おうとしたときには、その何かはビュンとモンスターをなぎ倒し、あっという間に戦闘に勝利した。
・・・。なんじゃ、ありゃ?
「なんかよく分からなかったけど、まぁいいか。よし、向こうに見える町へ進むぞ!」グロスは勝手にとっとと歩いていた。 あの物体はなんだったんだろう。まるで、モンスターを狙って来ているみたいだったが・・・。その何かはすでに消えていて、跡形もなかった。
歩いては敵に遭遇し、かなりの重傷を負いつつ何とかピピルの回復で難を乗り越え、もう少しで町に着く・・・と思ったのだが。
「・・・にしても、何て遠回りな町なんだ。ブツブツ・・。」 といらだつグロス 「確かに、町が見えているのになかなか入り口が見えませんね・・・。」 と少々バテ気味のピピル それもそのはず、町の真ん中になぜかとてつもなくでかいだけの堀があるため、かなり回り道をしないといけなかった。歩いては敵が出現、ギリギリの戦いが続いた。
「ふあぁぁ、おなかすいた。アメちょうだい。」 と遠足気分のフィアロン 「なもんあるかっ!!」 とさらにヒートアップグロス 「町が見えてから5時間、考えられない・・・。」 とさらにバテ気味のピピル 「ん・・・。あそこが入り口じゃない?」 とフィアロン。よく見てみると・・・。 明らかに、町への橋がかかっているのはこちらではなく、反対側だった。
「???」 「!?!?!?」 「!!!!!!」
「来た方向逆じゃ〜〜〜何やってるんだ、こりゃ〜〜」 といかれるピピル。「もう嫌だ。帰りたい・・・。」 どこへ帰れと。 「ちぇっ、回り道かよ・・・。にしてもフィアロン、おまえ気づいているなら早く言えよ!」 とオーバーヒート気味のグロス。 しかし遠足気分のフィアロンはとても楽しそうだった。 そんなこと知らん、のような顔つきでゆったりとして歩いていた。魔法を使う敵が出てきたから、さてはのんびりしているな。こいつ。
「わ・・・私もおなかすいた・・・。アメちょうだい」 とピピル。おまえもかい。
でも・・・あの道を後戻りするのか・・・。めんどくさっ。 しかも、敵がわんさかと・・・。
ドカドカドカ・・・。
そしてやっぱり、 「あ、MP切れた」 とあっさり言うピピル。「マジかよ!!」と仰天のグロス。もうフィアロン以外MPが残っているやつはいなかった。 ピンチ。
「こうなったら最後の手段! 逃げまくるぞ!!」 と逃げ出したグロス。言われる前にそうしてるって。 幸い、フィアロンが「エスケープ」と言う逃げ専用の魔法を(ある意味奇跡的に)覚えていたので、周り囲まれず逃げ切ることに成功した。こういうときだけはちゃっかりフィアロンって魔法覚えてるんだよなぁ・・・。
こうして丸一日が過ぎた。足はガクガクだったが、ようやく・・・。 寝床につける・・・!と思って宿へ向かった。それにしても、この町はほんとにウェイダンなのか? そう考える余裕すらなく、すぐに寝床へつく一行だった。
第2章 終わり TO BE CONTINUED...
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