![](./icon/cackle.gif) | 宿に泊まりかなりの時間が経った。あの回り道に相当な疲れを感じていたのか、グロスが珍しく「グガ〜〜」と熟睡していた。ゆすっても起きず、仕方ないので外へ出てみた。
宿主は・・・思いっきり寝ていた。「あ、あの・・・。」とピピルがゆすっても起きない。棒で殴りつけても、水をあびせても起きない。でもいくらなんでもやりすぎだろ。 どうも宿主も熟睡しているようだ。横にはそれをいいことに勝手に宿に入り込んで宿のものをもらっていったり、部屋に入って寝るマックルたちがいた。「いいのか、あれで・・・。」と気にしているピピルをよそに、フィアロンまで物をあさり始めた。 「ええと、・・・あった、食べ物、食べ物・・・。」 全く気にしていない。次々に食べ物をあさり、食べていった。しかし残念ながらアメはなかったらしく、少し不満そうに、「アメ、ない・・・。」とか言っていた。宿のものあさっておきながらその口か、おい。 ピピルはひたすら宿主を起こそうとしていた。が、全然起きない。「おかしいなぁ・・・。」とひたすら一匹で頑張っていた。いや、やること違うから。 荒らしにまわったマックルたちは散々荒らしまくった末、ようやく出て行った。しかし宿主は起きない。「こうなったら、いっそのこと剣で切りつけて衝撃を与えればきっと・・・。」と、ピピルがもう狂って剣を抜こうとしたそのとき・・・。
「う〜ん、何だ、妙に騒がしいなぁ・・・。」と宿の外から誰かがやってきた。「僕の宿の中で、暴れまわっちゃ困るんだけど・・・。」
え。
一瞬冷や汗がまわりに立ち込めた。「え、コイツが宿主・・・。」とピピル。主人をコイツ呼ばわり。「ということは、今まで寝ていたこの宿主は・・・?」
「あ〜あ、こんなにしちゃって。宿番にいいと思ったのに。このぬいぐるみ。」 とさりげなく(本当の宿主が)ひょいと取り上げた。
「ぬ、ぬ、ぬいぐるみだって〜〜!?」 ピピルはすっ飛んで、 「ふぁ、だから軽いのかぁ〜〜。」 フィアロンも勝手に納得。するな。 「何で宿主がぬいぐるみなんだ〜〜。答えろ、ぬいぐるみ宿主〜〜。」 と訳のわからないことを言い出すピピル。いや、そっちじゃなくてこっちが主人だし。
とかやっていると、本当の宿主が、 「だってずっといるのめんどくさいし、暇だし、それなら似たようなもの作って放り出しといて、その間酒場で飲み明かせば、いいじゃん? 楽じゃん?」
そんな宿主のところに泊まっていたのか。それに物盗まれて、荒らされてなんとも思わない宿主。ぬいぐるみを置いて宿主代わりにしているのも謎。何でぬいぐるみだって気がつかなかったんだろう。確かに、よくできたものではあるが。 突っ込もうとした。しかし。
「ぬいぐるみ・・・。」 ピピルはまだボケている 「アメがない・・・。アメくれ、アメ」 フィアロンアメ中毒 そしてグロスは熟睡。
さらに宿主のとどめの一撃。
「ええと、宿の一部破損と窃盗、侵入で宿代100000Gね」
「高っ!」 いつの間にかボケが消えているピピル 「でも破損、窃盗、侵入・・・。そんなことしてませんよ」 「した」 「???」 「そこに食べ物食ってるやつ、そしてさっき出て行ったマックルたち・・・おまえたちの仲間だってことは分かってるんだぞ!!」 「してませんって」 「いやしてる。汗たれてるから」 「だからしてませんって言ってるでしょう!」 「留守をいいことにそんな嘘を・・・。顔からして嘘はバレバレだぞ」 「なことないですってば」
・・・。
2時間経過。話は終わらない。 「いや、だから・・・。」 「知らん。知らんぞ。100000G払うまで逃がしはしない」 「わかりましたよ・・・。要するにそうでないってことを示せばいいんでしょ・・・。」 「無論2匹はここにいてもらうぞ」 結局そうなるのか。というよりなぜ2匹。この宿主、もしかしてこういう稼ぎ方で経営してるんじゃ・・・。
足取り重く、ピピルと共にいったん宿を出ることにした。町に入っていきなりこれとは・・・。
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