Drip Circle
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No727 の記事


■727 / )  BM 第3章 7:歌唱詠唱
□投稿者/ viper(ヴァイパー) <マックル(18回)>-(2005/06/11(Sat) 22:58:19/218.119.157.149)
    「良いかー、これが俺の考えた作戦だ」
    主人公・グロス・フィアロン・ピピル・そして何故かこのメンバーを取り仕切ってるディコス 5人はテーブルを囲んで作戦会議を始めていた
    テーブルには宿の見取り図が広げられている
    「犯人はマジックルに関する本を狙っている。犯人をおびき寄せるには本が必要だ」
    ピピルがそれにうなずく
    「でも本はあらかた盗まれちゃったみたいでもう残ってない。と言う訳で偽物を作ったよ」
    ピピルの手には「マジックルの秘密」と言うタイトルの本が握られていた
    タイトルを見れば如何にもという感じがするが、実は「簡単お料理ブック」と言う本に偽のカバーを付けただけの物だ
    (ちなみに簡単お料理ブックは宿主の蔵書だが無許可で持ってきた)

    それを鞄にいれて客室に放置しておき、宿泊客が持ってきたかの様に見せかける
    5人はそれぞれの持ち場でそれを監視し、怪しい奴がいたら捕らえる・・・と言う算段になっている
    「俺は屋根裏、お前は右隣の部屋、そっちのレンクルは向かいの部屋」
    ディコスは各自何処で隠れるかを指示する
    「んで凶暴ロックルと寝ぼけミラックルは外だ」
    「ちょっと待て今なんつった?聞き違いだと良いんだが…もう一度言って見やがれ!」
    「格好いいロックルと寝ぼけミラックルは外だ」
    「明らかに台詞変わってんじゃねーか!」
    グロスは特製トゲトゲソードを取り出してディコスを睨みつけた しかも刀身にはまだ血がついている
    …グロスの怒りが治まるまでしばしお待ちください…

    「別に凶暴だから外に追いやったと言う訳じゃない」
    額の大きな傷の他にあちこち生傷が増えたディコス
    「外とか面倒くせえし、よりによって何でフィアロンと一緒なんだよ」
    トゲトゲソードに新たな血の跡を増やして尚表情を変えないグロス
    「つまり、もしも犯人がイブレムの奴ならお前たちは顔が知られている訳だろ?知ってる奴らがうろうろしてたら絶対警戒される」
    「俺らなら良いのかよ?」
    「こっちのマックルやレンクルが外にいれば相手は慎重になるだろうが、如何にも頭悪そうな奴なら配置しといても『あ、こいつ等なら良いか』と思うだろ?」
    「今何つったぁぁぁぁ!」
    フィアロンはそれに対してこくこくとうなずいた
    「うわ〜それ良い作戦〜ディコス頭良い〜」
    「何でお前が感心してんだよ!ってかこんな奴と俺を同列に見るんじゃねぇぇ!」
    グロスは再びトゲトゲソードを持ち出した
    「ちょっと!仲間割れしてる場合じゃ…」
    ピピルはすかさず止めに入った
    「仲間割れも何もディコスは仲間じゃないだろ!」
    「それはそうだけど…一応協力して貰っているんだし…」
    ディコスは黙って見取り図を片付けた
    「…と言う訳だ、俺もう行くから後は頼むぞ」
    そして器用に本棚を上り、天井の板の一部分をさっと外しそのまま4人の前から姿を消した

    ピピルは指示通りに本を置いた部屋の向かいの部屋で待機していた
    ドアにこっそり覗き穴を開けたので向かいの部屋に入る人物がいれば丸見えである
    もちろん見えるのは後姿だが、記憶力が高ければそれをはっきりと覚え、分析力があれば犯人を割り出す事も可能だ
    ディコスはそれを見越した上でピピルの配置を決めたらしい
    「流石と言うか、戦術に関しては盗賊の方が上みたいだね」
    ボソッとそんな事を呟いてみた
    盗賊である彼を追う者は多いだろう 捕まるか逃げ切るかと言う逃走劇を何度繰り広げたか知れない
    「ずっと逃げ続けてきたんだものね」

    ふと思う、逃げ続け身を潜め続けなければならない彼にとって心を開ける相手とは誰だろうかと
    変装で作り上げた姿で無ければ人と接する事は出来ない でなければたちまち目撃情報が広まって捕まってしまう
    「ディコス、聞こえるかい?」
    ピピルは天井に向かって喋った
    「グロスの言った事は気にしないでよ、グロスは頭に血が上ると・…ほら、凶暴な奴だし」

    『ディコスは仲間じゃないだろ!』
    その言葉に傷ついていたのかもしれない

    「僕は君を仲間だと思っているよ…少なくとも今はね」
    天井からの返事は聞こえなかった


    その頃外ではグロスとフィアロンが待機していた
    「あー畜生。つまんねー」
    フィアロンはもともとやる気が無い その上グロスまでやる気をなくしかけている
    「あー面倒くせえよ。よし、俺は寝る!」
    「良いのお?僕も寝たいよー」
    「駄目だ、お前は起きて見張ってろ、何かあったら俺を起こせ」
    そもそもフィアロンに見張りが務まる筈無いと判った上で無茶な頼みをしている
    「あい〜わかったよお」

    グロスが壁にもたれかかって目を閉じた時、奇妙な音が聞こえてきた
    「ねむれぇ〜ねむれぇ〜そのままねむれぇ〜♪」
    どうやらグロスの為に子守り歌を歌い始めたらしい が、はっきり言ってありがた迷惑である
    「ほ〜らだんだん眠くなる〜♪」
    脱力系の声ならば子守唄は最適…かと思いきやお世辞にも歌唱力があるとはいえない うるさいだけである
    「いっそ目を閉じぃ〜そのまま〜開く事が無ければいいのにぃ〜♪」
    しかも歌詞が気になってますます眠れなくなる
    「夢の中はいつでもぉ〜お花畑ぇ〜川の向こうでぇ〜手を振るお爺ちゃ〜ん(故)♪」
    もはや子守唄とは思えない程怖い歌詞が耳に入ってくる
    「あああ〜ねむれぇ〜ねむれぇ〜そのままねむれぇ〜♪」
    (…これって呪いかける時に使う歌なんじゃねーのか?)
    「われらのぉ〜学び舎に〜輝く未来と駆ける青春〜教えを胸に〜巣立ち行く♪」
    (どっかの学校の校歌みたいなの歌い始めやがった!)
    「るるるるるーららららーサンダーS!」
    「えっ?」

    フィアロンが適当に歌った歌詞によって魔法が発動してしまった グロスの目の前に稲妻が光った
    「待て待て!お前もう歌わなくて…」
    「イエーイ!チェケラッチョ!YO!YO!クラップユアハンズ!」
    「しかも今度はかなりノリノリだぁぁぁ!」
    「HEY YO!カモンッ!サンダーYO!」
    「『よ』!?」

    そして謎の呪文「サンダーYO!」が発動した
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