■752 / ) |
BM 第3章 10:追いかける緑色
|
□投稿者/ viper(ヴァイパー) <マックル(20回)>-(2005/07/08(Fri) 15:15:11/218.119.157.149)
![](./icon/dicos.gif) | 「みんな!しっかりして!」 主人公はピピルの声を聞いて目を覚ました。目を開けると綺麗なレンガの壁が見えた。起き上がって辺りを見るとフィアロンも寝転がっていて、一人のフィンクルが十字架の前に立っていた。どうやらあの後教会に運ばれたらしい。 「良かった、もう大丈夫?」 「うん…フィアロンは?」 「軽く頭ぶつけただけだから平気だよ、僕のヒールSで治ったし」 しかしフィアロンはまだ眠っている。実はサンダーYOを使った反動でかなり体力を消耗していたのだ。 「ディコスは?」 主人公の問いにピピルはちょっと困った顔をしていた。 「それが…」 同じ攻撃魔法を喰らっても体力の低い方がより影響を受ける。ディコスはまだ気絶したままだと言う。 「一応ヒールSをかけておいたんだけど…まだ危なくて」 「ならディコスも教会につれてくれば良かったじゃ無いか」 「そんな事したら逮捕されてしまうよ」 そうだった、盗賊が変装もなしに公共の場へ赴くなんて自殺行為である。
「グロスは?」 今度のピピルはちょっと苦い顔をしていた。 「…ごめん、判らない」 グロスはブラーにかかったままだと言うのにトゲトゲソード片手に犯人を追いかけていったのだ。 「本当!?早く追いかけよう!」 主人公は立ち上がった。 「でも病み上がりでそんな…僕が行くから休んでいて」 ピピルはそれを止めようとした。 「そんな事言っても、グロス一人じゃ犯人と戦っても勝てっこない。早く行かないとグロスも…」 主人公は自分で魔法を喰らったからこそ、相手の強さをはっきりと判っている。何よりグロスを一人にしたら何するか判ったもんじゃ無い。ピピルはその決意の強さを知ると軽くうなずいた。 「神父様、フィアロンを頼みます」 主人公は神父に一言そう告げた。 「待ってください、あなた達は何処へ行くのですか?」 「何処かは判りません…フィアロンが起きたら「犯人を追いかけに行った」と伝えてください」 「…ふむ、良くは判りませんが危険な所へ行こうと言うのですね」 すると神父は主人公に短剣を手渡した。刃渡りが短めでナイフの様にも見える。 「丸腰では危険でしょうからこれをお持ちください。大ぶりダガーと言う武器です」 主人公は神父に一礼し、教会を出て行った。ピピルもその後に続いた。
「それはそうとしてピピル、なんで急にでっちあげとか言ったの?」 「…こんな事になるなんて思ってなかったんだよ」 でっちあげ作戦はディコスの作戦に反対してピピルが考えた勝手な作戦だった。 ディコスの策を否定しはしないが、この方法では確実に犯人が引っかかるとは限らなかった。そこでピピルは待ち伏せするのではなくこっちから犯人を動かすように積極的に行動したらと思ったのだ。
事件の犯人をでっち上げ(でっち上げられた人には申し訳ないが)それをたくさんの人に知らしめる。 それを見た真犯人は「これで自分には疑いがかからなくて済む」と考えるだろう。何せ自分が何をやろうとそれを関係ない人の所為にする事が出来るのだから。 そうすれば真犯人の行動に油断が生じ、その隙を付いて捕まえられるかもしれないと思ったのだ。 …まさか本当に真犯人を捕まえてしまうとは知らず。
町のいたる所に壊れた道や壁がある。おそらくグロスがトゲトゲソードを振り回して破壊してしまったのだろう。主人公とピピルは破壊の後を追いかけていった。 その様は傍から見ると緑色の球体が勢いよく転がっている様に見えたと言う。
|
|