![](./icon/narkle.gif) | 「おい! 大丈夫か!?」グロスがフィアロンを背負いながらその老人フィンクルに近づいた。 「・・・。」どうも意識がほとんどないらしい。ピピルがすかさず、 「ヒールS!」 「・・・。」少しは回復したようだ。しかしそれでも傷口は結構なもので、反応はあまりしていないようだった。 「死んでるのか・・・こいつ」とグロスが背中を向いて言うと、 「いや、まだかろうじて生きてる」とピピル。まだ回復の余地はあるようだ。 とりあえず、一時的に安全そうなところに固まって避難した。 とは言っても、敵が周囲をはいかいしているらしいことには違いないのだが。 「グロス、敵がきたら頼む!」とピピル。少し皆あせったが、今のところは敵の様子はないみたいだ。
しばらくすると、その老人フィンクルがようやく気づいたようで、 「ん・・・?」と不思議そうに見上げた。 「ようやく気づいたみたいですね」 「おまえたちここまでどうやって・・・」 「塔の洞窟を調べてここまで来ました。それよりあなたこそどうしてここに?」とピピルが聞き返した。 「いや、まぁこの洞窟であるモノを探していたのさ」 「あるモノというと・・・」 「そりゃ、アレだ、アレ」 「アレって・・・真実のメガネとか?」 「そうそう、それそれ」 老人のその言葉を聞いたとき、一瞬しーんとなった。 「それってオレたちが探してるのと同じじゃねぇか」とグロスが割り込んできた。 「ん、ん、ん・・・ライバル出現か・・・」と老人フィンクル。 どうもこの老人フィンクルは宝としてそれを狙っているらしい。
違うようなそぶりを見せると、 「そうではないみたいだな・・・まぁいいか。とりあえず、ここは危険だ。 ワナが数多いし、敵も多い。引き返そうと思えば引き返せるかもしれないが、 この通りわしは現に1ヶ月はここをさまよっておる」 「1・・・1ヶ月も!?」とピピルが驚いた。「そんなに入り組んでいるんですか、ここ・・・?」 「何より、ワナがかなりあるから方向を失ってしまってな」 「確かに・・・」 「ここまできたら引き返すわけにもいかないし、どうせ帰れんじゃろ。おまえたちも一緒にアレを探そうじゃないか」 「どうせって・・・」
皆帰り道がわからないことに気づき始めていた。 そして何か妙に元気になっている老人フィンクル。 「何かいつの間にかかなり元気になってるな」とグロス。確かに死にかけの状況とはかなり違うみたいだが・・・。 「まぁ、こうやっていれば変わったひねくれモノでもくるかと思っての」 「まさか・・・さっきのはワザと!?」とピピル。 「確かに戦闘はきついが、死んだふりすれば敵は近寄ってこないし・・・。 あと体力には自信があるしな。まぁ、要するにアレじゃ、物乞い」 「おいおい・・・」今までのことはなんだったのかという感じのピピル。 「なかなか賢いじゃねぇか、ジジィ」グロスはかなり感心しているようだ。 「よし、今度からヤバそうになったら死んだふりをすれば食料が・・・」 そういう問題じゃないだろ。
ここで老人フィンクルがなぜか自慢話を始めようとしたので、ピピルが 「ところで、この洞窟のことなんですが・・・」と言って話を本題に戻した。 「さっきから回ってばかりなんですが、抜け道なんてあるんでしょうか」 「・・・ないことはないぞ」 「えぇ!?」抜け道らしきところは存在するらしい。 「うん、確かこの国の誰かが勝手に洞窟を荒らされないようにと、 どこかに幻の壁を数ヶ所作っているって話を聞いたことはあるな」 「幻の壁・・・」 「まぁ、それがわからないからこうしているわけだが」 結局有力な情報は得られなかったが、ちゃんと道は存在すること、幻の壁なるものがどこかにある、 ということはわかった。
「・・・とりあえず、先進みますか。この先何かありそうだし」 とピピルの誘導で、少しは何かを知っていそうな老人フィンクルとともに 洞窟の先へ向かって進みだした。
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