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■1  テスト
□投稿者/ tickle(管理) -(2004/09/26(Sun) 22:57:11)
    テストです。
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■4  MS2について
□投稿者/ tickle(管理) -(2004/10/02(Sat) 15:07:15)
    マックルストーリー2が一部制限つきでフリー化されました。
    やろうと思うのですが、時間がありそうでなく・・。

    Mackle Story1 Data Fileを作ったので、2も、というのはあるのですが、
    クリアどころか体験版のところまでも行ってない状況です。。

    ・・・公開間もないので、作るとしてもこっそりするのではないかと思います。
    こっそり。。
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■5  ここについて
□投稿者/ tickle(管理) -(2004/10/03(Sun) 12:06:54)
    10/3
    書き込みが特にないので、スレッド表示にしました。
    とはいえ、もともとはツリー掲示板なので、「ツリー表示」を押せば
    ツリー表示になります。

    ・・・というより、ここが別館だからあまり知られていないのが
    本当かもしれません。。^^;



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■7  続マックルストーリー 序章
□投稿者/ ぴよきち -(2004/10/06(Wed) 00:42:57)
    2004/10/23(Sat) 06:06:17 編集(投稿者)

    MS2フリー版発表を記念(実は全然関係ない・・・)して、続マックルストーリーのストーリーを考えてみました。
     
    序章: カラッカの少年と彼を支えた仲間たちによって魔王ディアーザは倒れ、マ
       ックルの世界に再び平和が訪れました。
        カラッカの王となることを固辞した勇者は新たな冒険を決意し、最初の訪
       問地にディアーザによって焼き尽くされたラントの町を選びました。
        ディアーザが倒れた後、ラントは世界中から集まった有志により再興さ 
       れ、元の活気あふれる町に生まれ変わろうとしていました。勇者もそのお手
       伝いをしようと思ったのです。そこにはマザレルナからやって来たレオン、
       ウェイダンから駆け付けたディコスの姿もありました。
        あとわずかで町の復興が終わろうかという時、大魔道師スラックがラント
       の町にやって来ました。
        勇者がスラックに話し掛けようとすると「おかしい・・・」と誰に言うともな
       くスラックがつぶやきました。「やはりおかしい・・・ ディアーザが消滅して
       しもうたのなら、とっくに妖気が消えてる筈じゃ・・・ ディアーザは逃げただ
       けじゃな・・・ 間違いあるまい、まだ生きておるわ!」
     
        ディアーザは生きていたのです。魔王城で勇者と戦ったディアーザは敗戦
       を覚悟した瞬間それまでの身体を捨て、再び世界を征服すべく更に強力な身
       体を手に入れるための策略を企んでいたのです。
     
        「お前しかおらん・・・」とスラックが勇者に言いました。「ひょっとしたら
       すでにディアーザは復活しておるかも知れん。どっちにしても、ディアーザ
       を倒せるのはお前さんしかおらんわい。ほれ、持って行け・・・」そう言ってス
       ラックは勇者に1本の剣を渡しました。
        それは、カラッカ王に返上した筈のマックルブレードでした。
        「今度ばかりは、その剣でも倒せんかも知れんのう・・・ ま、その時は何と
       かするんじゃな、ふぉっふぉっふぉっ・・・」
        「あんた、また冒険を始めるのかい?」さっきまで何やら怪しげなモノを
       売っていたディコスがいつの間にか勇者のそばに来て話し掛けてきました。
       「ひょっとしたら、またどこかであんたと出喰わすことがあるかも知れねえ
       なぁ・・・ そん時ゃぁ、よろしくな」
     
        かつてディアーザのインビンシブルを破ったその剣を手に、勇者の新たな
       冒険が始まったのです。

                                     つづく
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■11  第1章 1:「祠の跡へ」
□投稿者/ ぴよきち -(2004/10/09(Sat) 12:35:50)
    第1章 1:「祠の跡へ」
    
        勇者がラントの町を後にしようとした時、「カラッカの勇者よ・・・」急にま
       じめな口調になったスラックが言いました。「魔王城の島に祠があったじゃろ
       う、お前さんがディアーザを倒すと同時に消えてしもうた祠じゃ。おそらく、
       身体を捨てて結界を抜けられるようになったディアーザが消してしもうたんじ
       ゃろう。よほど目障りだったようじゃ・・・」ここまで喋ったところでしばらく
       考え事をしていたスラックが再び口を開きました。「しかしのう、いくらディ
       アーザとて結界のすべてを消し去ることはできなかった筈じゃ。となると、そ
       こにディアーザの行き先を示す手掛かりがあるかも知れん。いやなに、実はあ
       の祠を造った者をわしは知っとるでな・・・ あいつのことじゃ、何かしら仕掛
       けを施しとったはずじゃ。先ずは祠の跡をよーく調べて来るんじゃ。わかった
       かの・・・」
        スラックに言われ、早速ワープを唱えようとした勇者でしたが「???・・・」
        「おお、そうじゃ、お前さんワープは使えんぞ。いやワープは使えるんじゃ
       が行き先を消されとるわい。ディアーザを倒した後、カラッカ以外の場所には
       行けんかったじゃろう。そいつもディアーザの仕業じゃ、全く呪いは掛けるは
       行き先は消すは・・・よほどお前さんのワープが気に入らんと見える。カラッカ
       に戻った時点でカラッカにも行けんようになっとるはずじゃ・・・」
        スラックの言うとおり、ワープを唱えようとしてもその行き先がラント以外
       はすべて消えていました。カラッカを出てから、平和になった世界をこの目で
       確かめたくて歩いて(旅の扉経由)ラントまでやって来たものですから、勇者
       は、まさかワープが使えなくなっているとは夢にも思っていませんでした。
        「まあ、消えてしもうたモンはしょうがないのう・・・ 行き先はまた一つひと
       つ足していくしかあるまい。なに、祠の跡へは洞窟を抜ければ行けるじゃろう。
       もっとも、ディアーザが消えて洞窟の中がどうなったか分からんが・・・」
     
        とにもかくにも、かつて「魔王城への洞窟」と呼ばれたあの洞窟から祠の跡
       へ行かなくては、ディアーザの手掛かりは得られそうもありません。もっとも、
       魔王城が無くなった今は、単に「ラント東の洞窟」と呼ばれていました。
     
        「いずれにしても・・・ 油断は禁物じゃ。今も言ったとおり洞窟の中がどうな
       っとるかわしにも分からん。ディアーザが生きとる以上、またぞろ魔物も復活
       しとるやも知れん。うーむ・・・・・・」
        出発しようとした勇者を引き止めておきながら、大魔道師スラック翁は長考
       に入りました。
        「うーむ・・・」 1分経過。
        「うーむ・・・」 5分経過。
        「うーむ・・・」10分経過。
        「この爺さん、寝とるんじゃないのか。」と勇者が思ったその時・・・
        「やむを得ん・・・ おい、レオン!」とスラックが教会の修復を手伝っていた
       レオンを呼びました。「お主、祠の跡までこの少年に付いて行け!」
        「ええっ、だって俺は腕っぷしの方はからっきしダメだぜ。」レオンがとんで
       もないという風に首を横に振りましたが、スラックは聞く耳を持ちませんでした。
        「謙遜をするな。お主も一応はLv.57のキャックルナイトじゃろう。魔術
       師と精霊使いの副職まで付けとるのをわしが知らんとでも思っとるのか!」
        「げっ、知ってたのか・・・ ちぇっ、戦闘はどうも性に合わないんだよなぁ。」
        「つべこべ抜かすな!」
        「わ、わかりましたよ・・・ こうなったら仕方ねえや。あんた宜しくたのむぜ」
       と言ってレオンは勇者に右手を差し出し二人は握手をしました
    
        「祠の跡に着いたらコレを使うのじゃ」と言ってスラックは一枚の護符を差し
       出しました。「コイツを結界の一番強い場所に貼ればええ。ディアーザの行き先
       を示す何かが手に入る筈じゃ。」
        「『結界の一番強い場所』ってどうやって調べるんだよ。」当然と言えば当然
       の疑問をレオンが口にすると、「行けば判る。心配せんでもええ・・・」と吐き捨
       てるようにスラックが言いました。「大体、お主は屁理屈が多すぎるんじゃ・・・」
        「屁理屈じゃないと思うけど・・・」と勇者も思いましたが、何も言いませんでし
       た。さすがに慣れているのかレオンも黙っていました。
    
        こうして最初のダンジョンである「ラント東の洞窟」へ‘スラックの護符’を
       手にしてLv.60のマックルロード勇者(副職は今は秘密)とLv.57のキャ
       ックルナイト(魔術師→精霊使い)の2人が向かうことになりました。
    
        洞窟へと向かう2人の若者を見送りながら、スラックは深長な面持ちで呟きま
       した。「またあの少年は戦いの日々を迎えることになったのか・・・ しかしあの子
       の他にこの世界を護れる者はおらん。因果な運命を背負った子じゃ・・・」
    
                                       つづく
    
    
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■13  第1章 2:「ラント東の洞窟」
□投稿者/ ぴよきち -(2004/10/15(Fri) 14:02:04)
    2004/10/23(Sat) 05:54:27 編集(投稿者)

       「いやあ、のどかなモンだなぁ。」感心したのか、或いは退屈したのか、レオ
       ンが思わず言いたくなるほど2人は順調に「ラント東の洞窟」へ進んでいました。
        ディアーザが姿を消した後、ラント周辺の毒沼もすっかり消えてしまい、なに
       より魔物が一匹も出て来ません。大嫌いな‘戦闘’を行わずに済んでいるのはレ
       オンにとっても幸いなことに違いないのですが、覚悟を決めて勇者に同行した身
       としては幾分物足りない気持ちになって来たのでしょう。思わず「なあ、ディア
       ーザって本当に生きてんのかなぁ、 あの爺さ・・・いや、大魔道師の思い違いじゃ
       ねえのかなぁ。」と勇者に問い掛けたのも無理はありません。
        しかし、最後の祠やワープの行き先が消えてしまったのは紛れもない事実であ
       り、それがディアーザの仕業としたらやはりディアーザは生きていることになり
       ます。勇者にはどちらが正しいのかは解りませんでした。
        そうこうしている内、2人は洞窟の入り口に辿り付きました。勇者はスゥーッ
       と一息吸って、かつて強大なモンスター達と壮絶なバトルを行った洞窟内へ入っ
       て行きました。レオンも唇をぐっと横一文字にして勇者と共に入って行きました。
     
        「少なくとものこのフロアは変わっていない・・・な。」
        左右に整然とマックル像が並ぶ、最初の‘一本道のフロア’は勇者が覚えてい
       る限り、以前と寸分違わぬ姿で2人を迎えました。
        勇者とレオンは颯爽と前方の下り階段へ向かって歩き始めました。黙々と歩み
       を進める2人は階段に確実に近づいて行きます。モンスターは出て来ません。
        そしていよいよ階段まであと一歩という時・・・
     
        「!!!」
     
        突然、1人のレンクルが2人の目の前に音もなく現れました。
     
        「私の名は、サイモン・・・ 君達がスラック翁に選ばれた戦士達だね。」
     
        勇者が頷くとサイモンと名乗ったレンクルは語り始めました。
        「この洞窟は君らも知っている通り、かつて魔王城へ繋がっていた。しかし、
       魔王城が消えてしまってからは、行き場を無くしたモンスター共の巣窟と化して
       しまっている。中には姿を変えた奴や、見たことのない奴もいるが・・・ 君達は
       それでも入っていくかね?」
        レオンは「嫌だなぁ」と言いたそうな顔をしていましたが、勇者は黙って頷き
       ました。
        「そうか・・・ 断っておくが、この先は随分と様変わりしていて出口に辿り付く
       のも容易ではないぞ。頭を使わなければ進めない所もある。勇気を出さねば進め
       ない所もある。強いだけでは到底出口までは行けないぞ。それでも入るかね?」
        勇者は再び頷きました。「こいつ、わかって頷いてんのかなぁ・・・ それとも、
       ただの無鉄砲なのかな?」レオンは勇者を見ながらそう思いましたが、スラック
       に「付いて行け!」と言われている以上、付いて行くしかありません。
        「うむ・・・ スラック翁が選んだだけのことはありそうだ。では、私は出口で
       君達を待つことにしよう。 くれぐれも油断をしてはならんぞ・・・」
        そう言うとサイモンはまた音もなく2人の前から消えました。
     
        「誰なんだ? 今のおっさんは・・・ 爺さ・・・いや、大魔道師の知り合いみたい
       だったけど。まあ、あんたに訊いても分からないよなぁ・・・」
        「だったら訊くなよ」と勇者は思いましたが、意に介さず階段へと進みました。
     
        階段を下りてみると、かつて矢印の床がずらりと並んでいたはずのフロアには、
       なんと無数の花が咲いていました。赤、青、黄色、緑、紫・・・
        「何だこりゃ、何で日も差さないこんな場所にこんな沢山の花が咲いてんだよ。
       まあ、あんたに訊いても分からないよなぁ・・・」
        「だったら訊くなよ」と勇者は思いましたが、ふと前方を見ると一本の掲示板
       が立っていたので、早速近づいてみました。
     
        『赤い花は毒の花 踏んではならぬ』
        『青い花は眠りの花 踏んではならぬ』
        『黄色い花は導きの花 一輪だけ摘んでも良い』
        『緑の花は毒消しの花 踏んでも良い』
        『紫の花は精霊の花 摘んでもよいが踏んではならぬ』
        『白い花は祝福の花』
     
        レオンが書かれてる文章をスラスラと読んだあと、勇者に言いました。
        「つまり、赤い花を踏めば毒漬けになる。青い花を踏めば眠らされる。黄色い
       花を一輪摘んで持ってりゃ案内係になる。緑の花を踏めばリポイズンと同じく毒
       が消えて・・・ 精霊の花? 摘んでも良いけど踏んじゃダメ? 踏むとどうなるっ
       てんだ? 白い花は・・・どうしろってんだよ。まあ、あんたに訊いても分からない
       よなぁ・・・」
        「いい加減にしろよ」と思い、勇者はレオンを睨みつけました。
     
        ともかく、先ずは黄色い花を探さなくてはならないようです。赤・青・紫の花
       を踏まないように注意しながら・・・

                                       つづく
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■14  第1章 3:「花のパズル」
□投稿者/ ぴよきち -(2004/10/19(Tue) 02:52:54)
        「えーと、黄色い花、黄色い花・・・ あ、あった、あそこだ。おや、あそこにも
       あるぞ。あら、あっちにもあった。えーと、ひーふーみー・・・ 全部で4輪だな。
       とりあえず、一番近いヤツから摘もうぜ。」
        レオンに促され、勇者はすぐ近くにあった黄色の花を、隣に咲いている緑の花
       を踏みながら「調べて」みました。
    
        「この花を摘みますか?」「はい」 その瞬間、閃光が走り・・・
    
        「うわー、出やがった!」レオンが叫びました。ついにモンスターが現れたので
       す。「何だコイツは?」
        出現したのは『イエローモンス』というモンスターでした。
        「むん!」勇者がマックルブレードで一太刀喰らわすと、モンスターは倒れ、姿
       を消しました。
        「ということは、今摘んだ花は偽物ということか。つまり『一輪だけ摘んでも良
       い』ということは一輪だけ本物がある・・・ということなんだな。」さすがに頭の回転
       は早いレオン、注意書きの意味を理解したようです。
    
        そのあと勇者は黄色い花を2輪摘みましたが、やはり摘むと同時にイエローモン
       スが現れただけでした。
        他にも、何歩か歩くたびに『ちくぼう』『ウィルオーウィスプ』という見覚えの
       あるモンスターや、『ブルースライム』『ちびオーク』といった見たことのないモ
       ンスターが出現しましたが2人にとっては取るに足らない相手でした。
        それよりも、誤って赤い花を踏んでは緑の花を踏みなおし、青い花を踏んでは睡
       魔に襲われ、しばらくまともに動けなくなってしまったりすることのほうが2人に
       とっては障害になりました。
    
        さて、見渡すところ黄色い花は1輪しか残っていません。2人からは結構離れた
       場所に咲いていました。早速、歩き出した2人でしたが・・・
    
        「あっ!」
    
        あれほど注意していたはずだったのに、勇者はうっかり紫の花を踏んでしまった
       のです。息を呑む2人の前に閃光が走り、なんと現れたのは・・・
        「ク、クラーケンだぁ〜!」レオンが叫んだと同時に、あっと言う間もなく2人
       はクラーケンの起こした津波で押し流されてしまいました。
        気が付くと、ここは「ラント東の洞窟」の入り口でした。
        「と、とんでもねえや。精霊ってクラーケンのことだったのか・・・」レオンが目を
       パチクリしながら呟きました。
        いずれにしても、紫の花だけは何があっても踏んではいけなかったようです。
        気を取り直して2人は再び洞窟の中へ入って行き、残る一輪の黄色い花を目指し
       て進んで行きました。どうやら今度はクラーケンに押し流されることもなく、雑魚
       敵を苦もなく倒しながら、目的の場所に辿り着いたようです。
    
        「ふーっ、やっと着いたな。おい、さっさとその花を摘んでしまえよ・・・って、あ
       れれ? どうやって摘めばいいんだ?」レオンは首を傾げました。勇者も頭を抱え
       ました。最後の黄色い花は「凹」の形をした池のちょうど凹んだところに咲いてい
       て左(西)や右(東)から摘むことはできません。となれば上(北)から摘むしか
       ないのですが、北側には幅が一歩分の通路が東西に走っているだけで、そのすぐ北
       側には壁がそびえ立っていました。つまり、通路を通って花の北側(図の○の位置)
       に立ち、花を摘もうと下(南)を向くと花を踏んでしまうのです。
        花を摘むには、その花の隣に立ち、花の方を向いて「調べ」なければならないの
       です。
    
        いよいよもって、2人は頭を抱え込みました。何回やっても黄色い花を踏んでし
       まいますし、場所的にジャンプは意味が無さそうです。
    
    
                    |    壁    |
                    |_________|
                     ___ ○ ___
                    | 池 |花| 池 |
                    |〜〜〜〜〜〜〜〜〜|
                    |〜〜〜〜〜〜〜〜〜|
                    |_________|
    
    
        さて、皆さんはこのパズルが解けますか? 物語ではこのあとレオンが「マックル
       の習性を利用」してこの問題を解決します。「マックルの習性」とされているマクス
       トの「ある現象」を思い出せば解けるはずです。
    
                                         つづく
    
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■25  第1章 4:「黄色い花・紫の花・白い花」
□投稿者/ ぴよきち -(2004/10/23(Sat) 05:52:27)
        「いち、にー、いち、にー ・・・」
        先程から2人は壁と池の間の通路を何回も往復しています。「うまい具合に出てく
       りゃ良いんだけどなぁ・・・ いち、にー、いち、にー、はいターン、いち、にー、いち、
       にー ・・・」レオンの掛け声に合わせて行進している2人の前に閃光が走り、当然なが
       らモンスターが出て来ました。
        「また違う・・・」残念そうに呟いてレオンが『ちびオーク』を一撃で倒しました。
        2人は何をやっているのでしょう。そうです。これこそ最後の黄色い花を摘む唯一
       の方法なのです。
        この方法を思い付いたのはレオンでした。「つまりだなぁ、マックル族は戦いで相
       手を倒すと南を向く習性があるんだよ。そもそも昔からマックル族は争いや戦いを好
       まない種族だったんだな。んで、どうしても戦わなきゃいけなくなった時は全力で戦
       うんだけど、戦いが終わったあと勝ったほうは南を向いて『太陽神』に報告というか、
       戦ってしまったお詫びをしてたそうなんだ。まあマックルは元々北半球のカラッカ周
       辺で誕生した種族らしいから・・・ だから・・・ 早い話、花の北側でモンスターを倒せ
       ば良いってこった。そうすりゃ、花のほうを向いた状態で立てるだろ。」
        という訳で、2人は壁と池の間を何回も往復していたのでした。
        ピカッ! 「よっしゃぁ、来た!」 ようやく目的の場所でモンスターが現れたよ
       うです。現れたのは『ウィルオーウィスプ』3匹と『ブルースライム』3匹でした。
        「サンダーL!」とレオンが唱えると、凄まじい稲妻が辺り一面に降り注ぎ、6匹
       のモンスターは一瞬で消え去りました。
        「何も、あんな雑魚敵相手にそんな魔法使わなくても・・・」と勇者は思いましたが、
       ともあれ、ようやく最後の黄色い花が摘めそうです。
    
        「この花を摘みますか?」「はい」 最後の黄色い花を摘んだ瞬間・・・
    
        ゴゴゴゴゴ・・・ と2人の後ろで音がしました。慌てて振り向くと、今まで聳え立っ
       ていた壁が左右2つに開いて中央に一本の通路ができました。通路を渡るとどうやら
       このフロアを出られそうです。
        早速、通路に向かって歩き始めた勇者を、何故か、レオンが止めました。
        「ちょっと待て、何か忘れてる気がすんだよなぁ・・・」
        「はて・・・」勇者もそういえば何か忘れている気がしましたが、思い出せませんでし
       た。「あれ・・・ 何だろう・・・」
        「あっ、そうだ!」レオンが思い出したようです。「確かあの掲示板には『紫の花
       は精霊の花 摘んでもよいが踏んではならぬ』って書いてあったぞ。何故、わざわざ
       『摘んでもよい』なんて書いてあるんだ? たぶん『摘んでもよい』ってことは摘ま
       なきゃいけないってコトなんだ。」
        レオンの申し出により勇者は紫の花を摘むことにしました。「間違っても踏むんじ
       ゃねぇぞ。」レオンに言われるまでもなく、勇者は細心の注意を払って紫の花を摘ん
       でいきました。
    
        紫の花は全部で8輪ありました。その最後の8輪目を摘んだ時のことです。8輪の
       花が勇者の手を離れ、ゆっくりと空中に浮いて行ったかと思うとやがてまばゆい光を
       発し始めました。
        ぽか〜んと口を開けてその光景を見ていた2人の前で、8つの光は集まってひとつ
       になり、壁が開いてできた通路の奥にもの凄いスピードで飛んで行きました。
        「うわっ!」レオンも思わず声が出てしまいました。「な、何なんだ今のは・・・ ま
       あ、あんたに訊いても・・・ ごめん、もうやめる。」
        不思議な光景を目の当たりにして2人は暫くぼーっとしていましたが、特に被害を
       被った訳でもなく、また周りの風景も紫の花が無くなったこと以外は何も変わらなか
       ったので、すぐに落ち着いたようです。
        「何だか、摘んで良かったのか悪かったのかも判らねぇや・・・ とりあえず先に行こ
       うや・・・」レオンに促され勇者は通路へと歩き始めました。
    
        通路は、最初北へ向かっていましたが途中で西に曲がっていました。「祠の跡」へ
       近付いてはいるようです。やがて上の階への階段を見付けました。
        早速階段を上がると、然程広くないフロアが広がっていました。そしてそのフロア
       の中央に、小さな白い花が1輪咲いていました。
        「まあ、確証がある訳じゃねえんだけど、あれがさっきの光の正体なんだろうな。
       つまり、紫の花を摘み忘れてココまで来ちまったら、コイツにゃお目に掛かれなかっ
       たってこった。」
        レオンの意見に、勇者も「その通りなんだろうな」と思いました。
    
        さて、その白い花を摘むなり踏むなりしなければならないようなのですが、問題は
       その花の周りにあの「矢印の床」が並んでいることでした。
    
                      →→→→→→→→↓
                      ↑↓←←←←←←↓
                      ↑↓     ↑↓
                      ↑↓     ↑↓
                      ↑↓  花  ↑↓
                      ↑↓     ↑↓
                      ↑↓     ↑↓
                      ↑→→→→→→↑↓
                      ↑←←←←←←←←
    
        「な、何だこりゃ〜 中に入れねえじゃねえか。」レオンの言う通り、ジャンプを
       使っても矢印の床に乗ってしまい、乗ったが最後、永遠にぐるぐると廻り続けてしま
       うことになりそうです。流石のレオンも頭を抱え込んでしまいました。
        「うーん、こんなもん、どうにもならねえよ・・・ 放ったらかしとくしかねえだろ。」
        レオンは花を無視して早く先に進みたかったようですが、勇者は諦めきれませんで
       した。「何とかなる筈なんだ。何とか・・・」
        勇者は暫く目を閉じて、謎のレンクル「サイモン」の言葉を思い返しました。そし
       て、カッと目を見開き、花に向かって歩き始めました。
        「お、おい、よせよ。」レオンの忠告にも耳を貸さず、勇者は矢印の床へどんどん
       近付いて行きます。
        「おい、よせったら・・・ あー、もうダメだ〜」レオンの断末魔と共に2人は矢印の
       床に乗りました。
    
                                         つづく
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■18  掲示板の表示方法
□投稿者/ tickle(管理) -(2004/10/23(Sat) 00:51:58)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tyruster/index.html
    2004/10/23(Sat) 01:02:55 編集(投稿者)

    トップページにも書いてある通り、
    この掲示板(の始め)に表示される方法について考え中です。

    始めはツリー表示(MS1掲示板みたいな掲示板です)でしたが、
    現在はスレッド表示にしています。(中身を見ることができるため)

    ところが、最近
    「レスのつけ方がわかりにくい」
    「編集・削除の方法がわかりにくい」
    のようなことを頂きましたので、トピック表示もいいかなと思っています。
    (トピック表示がどんなものかは、上にある「トピック表示」をクリックしてください。タイトルのみが一覧で表示、レス数もかいてあります)

    まずはいろいろな意見を聞いてみたいと思います。
    こうしたらいいんじゃないかとか、些細なことで結構ですので
    よろしくお願いします。
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■28  第1章 5:「そして祝福の花が」
□投稿者/ ぴよきち -(2004/10/25(Mon) 01:05:41)
        「誰か〜、助けてくれ〜」レオンの叫びと共に2人は手前の左を向いた「矢印の床」
       に乗りました。当然の如く2人は「矢印の床」の上を強制的に左へと移動させられ、
       当然の如く上へと移動させられました。このまま永久に「矢印の床」をぐるぐると、
       時計回りに廻り続けてしまったのでしょうか。
        2人が左側に並んでいる上向きの矢印の一番上まで来た時‘ピュッ’と音がして矢
       印が右に向きを変えました。花の周りに二重に並んでいる「矢印の床」の内側の反時
       計回りの四角へ移動です。当然、今度は下、そして右へと移動させられました。
        そして一番右にある右向きの矢印に乗った瞬間、また‘ピュッ’と音がして今度は
       矢印が上を向きました。ということは・・・
        「ありゃ・・・ 入っちゃった。な、なんでえ、何も考える必要なんて無かったじゃね
       えか。でも、あんた何で判ったんだよぉ・・・ 何? 勇気? 勇気がどうした。はぁ?
       あのサイモンとやらが『勇気が必要』と言ってただと? あんた、それだけで矢印に
       乗ったのか! なんてこった。信じらんねぇよ全く・・・」
        ともあれ、怪我の功名とでも言っていいのでしょうか。勇者の「勇気」によって2
       人は白い花に手が届く所まで辿り着きました。
    
        改めて白い花を見た時、レオンが思わず呟きました。「これはまた、なんて可憐な
       花なんだ・・・」レオンの口から「可憐」などという言葉が出てきて、勇者は思わずぶっ
       と吹き出しそうになりましたが、なるほどレオンの言う通りその白い花は実に小さく、
       1本の細い茎から2枚の細長い葉が申し訳無さそうに生えていて、茎の先端に付いて
       いる花も、小さな数枚の花びらを纏って寂しそうにやや下を向いているだけでした。
        おそらく道端にこの花が咲いていたとしても、殆どの人は気が付かないでしょう。
       それほど小さく目立たない花ですが、その白い花は見た者の心を揺さぶる「何か」を
       醸し出していました。
        「おい、どうする? とてもじゃねえがこの花を踏むなんてことは俺にはできねえ
       ぞ。あんただってそうだろ。」レオンの言葉に勇者は頷き、とりあえず「調べて」み
       ました。
    
        「この花を持って行きますか?」「・・・はい」「勇者は‘祝福の花’を手に入れた」
    
        勇者が手にした‘祝福の花’を見て、レオンが言いました。
        「今、変なこと考えちゃったんだけどさぁ・・・ 例えば、今、あんたがその花の茎を
       ポキンと折っちゃおうと思ったら簡単に折れるよな。いや、あんたじゃなくったって
       誰だってできる。まぁ俺でもいいや。仮に俺がその花を折っちまったとしても、俺は
       別に罪に問われることはないし、その小さな花が恨み言を言うわけでもない。花はた
       だ黙って折られちまうだけだ。」
        「コイツ、何を言い出したんだ?」と勇者は思いましたが、レオンが話を続けたの
       でとりあえず黙って聞いていました。
        「だからって、俺もあんたもそんなことはとてもじゃないができない。何故だ?
       俺たちはさっきまで赤い花や緑の花の上を平気で歩いてた。まあ、踏んだからって、
       あいつら何も変わらなかったけど。でもその花だけは『大事にしなきゃ・・・』って気に
       させられるんだよな・・・ あんただってそうだろ。」勇者は頷きました。レオンの話は
       まだ続きそうです。
        「弱いって言えば、その花ほど弱い存在はない。どんなひどいことをされても何も
       言えず、自分を攻撃する者がいたら黙って命を落とすしかない。そう、小さな花でも
       ひとつの命がちゃんと宿っているんだ、その命を絶やしてしまうのは簡単なことだ。
       でも失くしてしまった命はもう取り戻すことはできない。その花を創りだすことは俺
       たちにはできないんだ。だからこそ俺たちはその花を『大事にしなきゃ』って思う。
       弱い存在だからこそ『守らなきゃ』って思う。それが、俺たちマックル族が持ってる
       『心』っていうモンだよな。」
        「そうだな・・・」と勇者も思いました。レオンは更に続けます。
        「でもな・・・ この世界にその花を平気で踏ん付ける奴が一人だけいるんだよ。」
        レオンの目が厳しくなって、それ以上は何も言いませんでした。
    
        とにもかくにも‘祝福の花’を手に入れて、勇者は「矢印の床」でできている四角
       から出なければいけません。
        「なあに、右か上に行きゃ良いんだよ。」レオンがもう完璧に解ったという感じで
       勇者に言いました。そこで右に並んでいる上向きの矢印に乗ると、上、そして左へと
       移動して最後の左矢印が‘ピュッ’という音と共に上向きになり、右、そして下へと
       2人は進みました。
        結局、最後の下向きの矢印が右向きに変わって、2人は「矢印の床」でできた四角
       の外へ出ることができました。
        矢印の床は、見た目と違って実際は下の図のようになっていたようです。
    
                      →→→→→→→→↓
                      →↓↑←←←←←↓
                      ↑↓     ↑↓
                      ↑↓     ↑↓
                      ↑↓  花  ↑↓
                      ↑↓     ↑↓
                      ↑↓     ↑↓
                      ↑→→→→→↑↑→
                      ↑←←←←←←←←
    
        「さあ、進もう・・・」レオンに促され、勇者は恐らく「ラント東の洞窟」の出口にな
       るであろう北に見える階段へと歩き始めました。
    
                                         つづく
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■29  訂正をお願いします。
□投稿者/ ぴよきち -(2004/10/26(Tue) 17:42:10)
     Mackle 1 Data File の「アイテム一覧」の中で、知力のもとの売値が100Gになっていますが130Gに訂正をお願いします。
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■31  第1章 6:「国王の紋章」
□投稿者/ ぴよきち -(2004/10/27(Wed) 05:32:06)
        階段を上がるとそこは「祠の跡」でした。見たところ魔王城があった頃とほとんど変
       わりがないようですが、以前あった「神秘の床」のところが真っ黒に焼かれていて、試
       しにそこに立ってみましたが「声」はどこからも聞こえてきませんでした。
        「ディアーザの野郎・・・ どうやら大魔道師の言ったことは本当らしいや。さて、結界
       の一番強い場所を探さなきゃな・・・」
        そうです。レオンが言った通り「結界の一番強い場所」に‘スラックの護符’を貼っ
       てディアーザの行き先を示す‘何か’を手に入れなければなりません。
        「『行けば判る』って爺さんは言ったよな・・・ ちぇっ、ちっとも判りゃしねえよ。」
        レオンはとうとうスラックのことを「爺さん」と言い切ってしまいました。それはと
       もかく、何とかして「結界の一番強い場所」を探さないことには、何のためにココまで
       来たのか分からなくなります。試しに、怪しそうな場所で片っ端から‘スラックの護符’
       を「使用」してみましたが何も起こりませんでした。
        「その‘スラックの護符’ってのは本当に為に成んのかな? ただの紙っ切れじゃね
       えのか。」目的がなかなか達成できず、レオンも相当イラついているようです。それに
       してもこの男、本当に大魔道師スラックを尊敬しているのでしょうか。
        スラックのことより、勇者はあのサイモンのことを考えていました。「出口で待って
       る」と言っていたはずなのに、その姿はどこにもありません。
        「ん? 出口? ということはココは出口じゃない・・・」勇者は考えました。「となる
       とどこかに出口か、出口に向かう道がある。」
        勇者は一旦‘スラックの護符’を道具袋に収め、以前「神秘の床」だった場所を「調
       べて」みました。すると・・・ 隠し階段が現れました。
        「まだ、先があったのか・・・」レオンが多少ウンザリした表情で呟きました。
    
        階段を下ると南へと向かう道がありました。「ラント東の洞窟」の‘一本道のフロア’
       と同じく左右にマックル像が整然と並んでいました。堂々と進む2人の前にモンスター
       は全く出てきませんでした。道はやがて西へと向きを変え、又、南へと向きを変えまし
       た。そしてしばらく行くと・・・ あのサイモンが立っていました。
        「よくここまで辿り着いた。思ったより早かったね。 ほう、‘祝福の花’も持って
       来たのか。さすがはスラック翁が選んだだけのことはあったようだ。」
        「ココが出口なのかい?」レオンが尋ねました。
        「この先が出口になる。さて、その護符を貼らなきゃいけないんだね。それはその椅
       子の背もたれに貼ってくれないか。」
        「何だよ、この小汚ねえ椅子は?」レオンの遠慮のない質問にもサイモンは静かに答
       えます。
        「以前、私が座っていた椅子だよ。」
        勇者はその椅子に見覚えがありました。確か、魔王城の中にあった玉座の椅子だった
       筈です。「あそこに座っていたって・・・ 一体誰なんだこの人は」 勇者の心を読んだか
       のようにサイモンが答えました。
        「元々、あの城はグランデ国王、つまり私の城だったんだよ。おっと、これは失礼し
       た。」そう言うとサイモンは体から光を発し、レンクルから元の姿であるマックルロー
       ドへと姿を変えました。
        「今、私たちがいるこの島がひとつの国、つまりグランデ王国だったんだ。グランデ
       王国は南にあるラントの町とともに世界中から人々が集まる、活気に溢れた国だったん
       だよ。元々、このグランデ大陸は気候にも恵まれ、作物も良く育つ良い土壌を持った大
       陸だったこともあるがね・・・」
        「お・・・ 王様であらせられられもうたので・・・でしゅか。」目を真ん丸くして、驚い
       たレオンが慣れない敬語など使ったものですから、変な言葉になりましたが意味は通じ
       たようです。
        「昔のことだ。そんなに恐縮しなくても良いんだよ。今はただのサイモンなんだから。
       話を続けても良いかな?」
        「は・・・はい、どうじょ・・・」
        「ありがとう。そしてある日、あのディアーザがやって来たんだ。」サイモンの顔が
       急に険しくなりました。「ディアーザは、先ずラントの町を焼き尽くしたあと、東の洞
       窟をモンスターの巣窟に変え、そしてわが国にやって来た。もちろん、グランデ王国の
       兵士たちは勇敢に戦ってくれたのだが、結局は戦いに敗れてしまった。ディアーザは清
       楚な城を一夜にして巨大な魔王城に造り替え、挙句の果てには、この大陸に一隻の船も
       着岸できぬよう海岸を岸壁と岩礁に変えてしまったんだ。」辛い思い出が甦ったのでし
       ょう、しばらくサイモンは黙っていましたが、再び重い口を開きました。
        「私は王として最後まで戦うつもりだったが、側近達に半ば無理やり城の外へ引きず
       り出されてしまった。私はそのあと側近たちを他の国の王に預け、いつかは君達のよう
       な若い勇者がディアーザを倒しに来ると信じて『最後の祠』と『ラント西の祠』を造っ
       た。ディアーザに壊されないように、どちらにも結界を張ってね。」
        「え? ということは大魔道師スラックとお知り合いなのですか。」どうやら落ち着
       きを取り戻したレオンが尋ねました。
        「私が王位に就くよりもずっと昔からの友人だよ。共に大魔道師を目指して修行を積
       んだものだ。さあ、その護符を早く・・・」
        サイモンに促され、勇者は‘スラックの護符’をグランデ国王の椅子に貼りました。
       すると、護符は椅子の背もたれに吸い込まれるように消えていきました。
        「うん、これで良い。これでディアーザの行き先はコイツが教えてくれる。」と言っ
       てサイモンは椅子に飾ってあったグランデ国王の紋章を取り外し、勇者に手渡しました。
        「そいつは、ディアーザが辿っていった跡を君たちに教えてくれる筈だ。よく見てご
       らん、真ん中がコンパスになっているだろう。君たちがディアーザの残した妖気に近付
       くと、紋章が光ってコンパスの矢印が妖気の動いた方向、つまりディアーザの向かった
       方向を教えてくれる。」
    
        勇者は「国王の紋章」を手に入れました。
    
        「あ、それから‘祝福の花’はラントの花職人に渡しなさい。その花はいつの日かき
       っと君たちの役に立ってくれると思うよ。さあ、もうココには用がない筈だ。早く行き
       なさい。」
        サイモンに促され、2人は出口へと向かいました。2、3歩歩いたところでレオンが
       振り返り、サイモンに尋ねました。「あなたはこれからどうされるのですか? またグ
       ランデ王国を築けば良いじゃないですか。」
        「王として多くの民を死なせてしまった以上、再び玉座に座るつもりはない。私は亡
       くなった人達のために、ここで静かに祈り続けることにするよ。」そう言ってサイモン
       は初めて2人に会った時と同じように音もなく消えました。
    
        「さようなら。」2人はサイモンに別れを告げ出口へと向かいました。
    
                                          つづく
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■33  第2章 1:「秘術 テレポーテーション」
□投稿者/ ぴよきち -(2004/10/29(Fri) 03:35:00)
        出口になる階段を上がるとそこはラントの町でした。2人が洞窟に行っている間に町
       の建物は殆ど完成し、ディアーザの来襲を受ける前の姿に戻りつつありました。
        「とりあえず、花職人を探そう。」レオンに促され、勇者は町の色々な人に話し掛け
       ました。何人目かのマックルが「花職人なら花畑にいると思うが・・・」と答えてくれたの
       で花畑を探しましたが、花畑どころか町には一輪の花も咲いていません。
        「ひょっとしたら、あれかなぁ。」レオンが顔を向けた先には、道具屋の横の草木一
       本生えていない土地を、じっと見つめているフィンクルがいました。早速話しかけてみ
       ると・・・
        「おや、あなたが持っているのはもしや‘祝福の花’ではありませんか? その花を
       私に育てさせて下さい。私ならこの畑いっぱいにその花を咲かせられます。」
        「そうか、ここが畑だったのか。なるほど、今から花を咲かせるのか・・・」もちろん、
       否も応もありません。勇者は‘祝福の花’を渡しました。
        「もしや、一緒にいらっしゃる方はレオンさんですか?」花を渡すと花職人はこう尋
       ねてきたので、レオンが「そうだよ。」と答えると・・・
        「スラックという方からあなた方宛の手紙を預かっています。」と言ってレオンに一
       通の封書を手渡しました。早速レオンが封を開け、読み始めました。
    
        「えー、何々? カラッカの勇者、そしてレオンよ・・・ 2人ともとっくに気付いとる
       と思うが、わしはそもそもサイモンから連絡を貰ったからラントへ来たんじゃ。護符を
       作ってな。来てみると、確かにディアーザの残した妖気が漂っとった。
        お前たちを洞窟へ行かせたのは、自分らの目でディアーザの復活を確かめさせたかっ
       たのと、レオンに成長して欲しかったからじゃ。まあ、騙すような真似をしてすまんか
       ったの。
        本来ならわしがラントでお前たちを出迎える予定じゃったが、実はディアーザが‘旅
       の扉’のワープ装置を破壊しよっての。わしとしたことが迂闊じゃった。しかしこれで
       ディアーザが、勇者よ、お前さんををマークしとることがハッキリ判ったというもんじ
       ゃ。お前さんをグランデ大陸に足止めさせておく気じゃ。しかし、お前さんには取り急
       ぎデリナダに行って貰わねばならん。そこで起こっとる問題を解決せんことにはディア
       ーザを探すどころじゃなさそうじゃ。
        レオンよ、お主はラントの町に残って‘祝福の花’を守れ。勇者と共に洞窟を抜けて、
       お主も色々学ぶことがあったじゃろう。サイモンに会って話をしたこともお主にとって
       は為になっとる筈じゃ。
        さて、勇者にデリナダに行って貰わねばならんのじゃが、ワープは使えん、船も無い。
       ‘旅の扉’も使えんとなれば残る方法はひとつしかない。 レオンよ・・・ テレポーテー
       ションで勇者をデリナダに送るのじゃ。・・・って、えーーーっ!!! そ、そんな・・・」
       レオンがとんでもないとでも言いたそうに、首を横にブルブルと振りました。「前にも
       同じようなことがあったな」と勇者は思いました。
        スラックからの手紙はまだ続いていたようで、レオンが恐る恐る続きを読み始めまし
       た。
        「えーと・・・ レオンよ、つべこべ言わず、やれと言われたら黙ってやるのじゃ・・・」
        ブッと勇者が吹き出して、レオンが勇者をひと睨みしたあと、続きを読みました。
        「えーと・・・ わしは‘旅の扉’を直すために、一旦マザレルナに戻る。勇者がデリ
       ナダに来る頃には修理も終わっとると思う。それでは、以上のこと、くれぐれも宜しく
       頼むぞ。尚、この手紙はあと10秒で爆発する・・・」 驚いて勇者が後ずさりしようと
       すると、レオンが手紙を見ながら「うっそぴょ〜ん」と言ったので、今度は勇者がレオ
       ンを睨みました。レオンは手紙を勇者に見せて「俺は読んだだけだぜ。」と言いました。
        確かにそこには「うっそぴょ〜ん」と書いてあったので、勇者は思わずコケそうにな
       りました。
    
        「うっそぴょ〜ん」はともかく、確かにスラックの手紙にあったようにレオンの力で
       送ってもらいでもしない限り、デリナダには行けそうもありません。でも「テレポーテ
       ーションって何だろう」と勇者は思いました。
        「は〜っ、テレポーテーションか・・・ 自信ねえよ。いや、物体なら何回か遊び半分
       でやったことあんだけどなぁ。生きたマックルを瞬間移動させるなんて、冗談でも考え
       たことねえよ。」頭を抱え込んでしゃがんでしまったレオンの肩を、勇者はトントンと
       叩きました。「何? それしか方法は無いんだから、思い切ってやってくれだと・・・ お
       前、分かってんのか? 失敗したらお前は死んじまうか、異次元に消えちまうんだぞ。
       何? 良いから思い切ってやってくれ? 全くお前という奴は・・・ あっ、そうだ。ち
       ょっと練習させてくれ。」そう言ってレオンは地面に○を2つ描いて、その一方に石こ
       ろをひとつ置きました。
        「今から、この石ころをそっちの○に移動させてみっから、成功したらお前をデリナ
       ダに送ってみるよ。」と言って何やら呪文を唱え始めました。
        すると、置かれた石ころがすぅーっと消えて、2人がもう一方の○を見てみると・・・
        そこには、見事に真っ二つになった石ころが転がっていました。2人の間にしばしの
       沈黙が流れました。
        「やっぱやめようぜ。えっ、何? 構わないからやってくれだと? 何言ってんだ。
       お前がこうなるかも知んねえんだぞ。」そう言うレオンに、勇者はニッコリ微笑んで頷
       きました。
        「・・・そうか、どうしてもやるってんだな。よっし、覚悟決めたぞ。俺だってこれから
       この町を守んなきゃいけねんだ。これ位でビビってたってしょうがねえや。おい、そこ
       から動くなよ。」そう言ってレオンは再び呪文を唱え始めました。すると・・・
    
        レオンの前から勇者の姿が消えました。
    
        大役を終え、暫くして落ち着いたレオンが呟きました。「デリナダか・・・ あれ、俺、
       デリナダなんて行ったこと無えぞ。デリナダって何処にあるんだ・・・」
    
                                          つづく
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■32  キリ番報告スレ
□投稿者/ tickle(管理) -(2004/10/28(Thu) 22:38:04)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tyruster/index.html
    もしキリ番を踏んだらここにカキコしていってください。
    本館(Tyruster)と同様、
    キリ番だけでなくコメントを入れてもらえるとなおうれしいです〜(。。)
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■36  画像アップテストです。
□投稿者/ tickle(管理) -(2004/10/30(Sat) 14:03:20)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tyruster/index.html
    ちょっとしたテストです。
    画像をアップできるようにしました。

    ただ、この掲示板はアップして使っているものなので、
    スレ・レス1回につき50KBまでとさせてください。
    (それ以上になる場合、ペイントソフトなどで縮小・減色してから
     添付しないと跳ね返されるハズ・・です。)

    ※画像ファイルを削除したいときは、
    「削除キー」を押して「編集」を押し、
    一番下にある画像のところをクリックすれば削除できます。
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■37  第2章 2:「金の霧と黒い霧」
□投稿者/ ぴよきち -(2004/10/31(Sun) 04:48:34)
        目の前のレオンの姿が段々と消えて行き、周りが真っ暗になったかと思うと今度は何
       も聞こえなくなりました。少し息苦しさを覚えて徐々に全身の感覚が無くなっていきま
       した。まるで今から深い眠りに入るように、意識も次第に朦朧としてきた時、目の前に
       一筋の光が見えました。光は段々と大きくなっていき、自分の身体が光に吸い込まれて
       行ったかと思うと・・・ ドーンと背中に何かがぶつかりました。
        背中に当たったのは地面でした。痛みを堪えながらゆっくりと立ち上がり、勇者は廻
       りを見渡しました。
        「ここは何処だ・・・ 僕は・・・そうだ、レオンにテレポーテーションで・・・ということは
       ここはデリナダか」段々とハッキリしてきた意識を持って、改めて廻りを見渡しました
       が、デリナダらしき町も東の祠もありませんでした。
        「とにかく町を探そう・・・」
        勇者は当ても無くとにかく歩き始めました。方角もハッキリしなかったので、とりあ
       えず山沿いを進んで行きました。
    
        一方、こちらは復興間近のラントの町。レオンは町の復興を手伝いながらも勇者のこ
       とを案じてました。「うまくいったのかな? 大魔道師も無茶言うよなぁ、俺にテレポ
       ーテーションをやらせるなんて・・・ あいつ無事だったのかなぁ、手応えは充分だったか
       ら死んじゃいない筈なんだけど。」
        テレポーテーションは大魔道師だけが覚える魔法で、レオンもスラックから学んでは
       いたのですが、とても難しい魔法で、完璧に成功させることができるのはLv.70を越
       えてからと言われている位でした。
        「まあ、調べようが無いことをいつまでも考えたって何にもならねえか・・・ あいつの
       こった、平気な顔して歩いてやがるだろ・・・」
    
        背中の痛みも殆ど消え、勇者は山沿いを何事も無かったかのように平気な顔をして歩
       いていました。もうどれだけ歩いたでしょう、さすがに少し疲れてきたかなという頃、
       遠くに村らしきものが見えてきました。「あれ、あの村は・・・」確かに一度来たことがあ
       る村でした。勇者は記憶を辿りながら村に向かって歩いて行きました。
    
        さて、‘デリナダ東の祠’でワープ装置の修復を終えたスラックは、2度とディアー
       ザに破壊されぬよう、邪悪な魂を寄せ付けない強力な結界を張り、デリナダの町へと向
       かいました。途中、出現したモンスターを‘サンダーL’‘ターン’‘ブロー’といっ
       た魔法で苦もなく倒しながら・・・
       「日に日に魔物の数が増えて来とるのう・・・ ディアーザが段々と力を付けて来とるとい
       うことか。奴が今、一番欲しいのは頑丈な身体の筈じゃ。となると、奴がどうやって身
       体を手に入れようとするのか、それを考えねばならんな。さて、そろそろあの少年もデ
       リナダに来る頃じゃと思うが・・・ 全くデリナダの連中はどうしてああも問題ばかり起こ
       すんじゃ、やっぱりオスヤコディの怨念かのう・・・ くそっ、わしがもう少し若ければ自
       分で解決するんじゃが、残念ながら、さすがにあの洞窟の奥まで行く体力はもう無いわ。
       全く悔しい話じゃ・・・」さすがにお年を召された大魔道師らしく、ぶつぶつと独り言を言
       いながらスラックはデリナダの町に入って行きました。
    
        目指す村に入った勇者は、早速、門番に話し掛けました。すると門番は・・・
        「おお、お前、この村の客! ここ、通ってよいぞ!」
        勇者はぺこっと頭を下げて、村の奥へと向かいました。そうです。勇者が辿り着いた
       のは、サザラド大陸のマックルエルフ族の村(マックルエルフの村2)だったのです。
        早速、村の奥に行って長老に挨拶をしました。
        「おお、お前、ディアーザ倒した勇者! ゆっくりしていくよい・・・ でも、その前に
       頼みある。」
        「頼み? 何だろう」勇者は首を傾げましたが、長老はお構い無しに続けました。
        「お前、ディアーザ倒した。西の聖なる樹、魔物消えた。」
        「それは良かった」と勇者が言おうとしましたが、長老は遮るように続けました。
        「三日前、金の霧と黒い霧、聖なる樹に入った。それからまた、魔物出てきた。」
        「金の霧と黒い霧?」それが何なのか勇者には判りませんでした。
        「聖なる樹、村に伝わる‘秘伝の書’ある。魔物が取るよくない。お前、取ってくる
       よい。」
        勇者はデリナダに一刻も早く行きたかったのですが、長老の頼みを無下に断る訳にも
       いきません。結局、こくんと頷いて‘西の樹’に向かって歩き始めました。
        西の樹の手前には門があり、以前はここを通ることは出来なかったのですが、今は門
       の前に一人の門番が立っていました。
        「話、長老から聞いてる。通るよい。」と言って門番は道を開けました。
    
        勇者は何の衒いも無く、堂々と西の樹の中へ入って行きました。樹の中は以前と変わ
       りないように思えましたが、ディアーザを倒したことでこの樹も幾分成長したようで、
       葉が以前より生い茂りジャンプの必要は全くありませんでした。
        長老の言った通り『オークナイト』『ゆうれいマックル』『グリーンスライム』『ち
       くぼう』というモンスターは出て来ましたが、Lv.60の勇者にとってはただの雑魚敵
       にしか過ぎませんでした。
        殆ど障害もなく最上階に辿り着いた勇者は、恐らく長老の言っていた‘秘伝の書’が
       入っているであろう宝箱を見付けました。しかし、勇者は宝箱を素通りして、その向こ
       うに居る「金の霧」の正体のほうに進みました。
       
                                          つづく
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■39  第2章 3:「♪大きな西の木の上で・・・」
□投稿者/ ぴよきち -(2004/11/01(Mon) 05:01:19)
        「マックルエルフ族の村 西の樹」に入った金の霧の正体は、勇者の目の前で、背中
       から生えている羽根を優雅に揺らしながら、宙に浮いた状態で勇者の方を見ています。
        「そうか、金の霧ってゴールデンマックルだったのか、でも異様に目付きが悪いなこ
       いつ・・・」
        魔王ディアーザが倒れた後、ゴールデンマックルに限らず、すべてのマックル族はデ
       ィアーザの呪縛から開放され、平和を愛するおとなしい元の姿に戻った筈です。
        ゴールデンマックルも小さな森の中で静かに暮らす、むしろマックル族の中でもおと
       なしい部類に入る種族の筈です。
        勇者は只ならぬものを感じて、警戒しながらゆっくり近付きました。その時、勇者の
       持つ‘国王の紋章’がピカッと光って、コンパスの針が真正面を向きました。
        「こいつがディアーザ? どういうことだ・・・」勇者は更に警戒しながら、いつでも
       マックルブレードを抜ける体勢で話し掛けてみました。すると、とてもゴールデンマッ
       クルのものとは思えぬ声で・・・
        「ん? 何故、貴様がここにいるのだ! どうやってここまで来おった・・・ くっくっ
       くっくっ・・・ まあよい、自分のほうから死にに来るとは・・・ 手間が省けたわ!」
        「なるほど、そうか、黒い霧とはディアーザだったのか・・・」
        勇者は大体事情が掴めました。丈夫な身体が欲しかったディアーザは、高い攻撃力と
       防御力を持つゴールデンマックルに目を付け、その身体を乗っ取ろうとしたのです。異
       変に気付いたゴールデンマックルは霧に姿を変え、ここまで逃げてきたところでディア
       ーザに捕まってしまったのでしょう。
        「それにしても、生きている者の身体を乗っ取ろうなどとは、どこまで残酷な真似を
       しやがるんだ。」勇者の心が戦闘態勢に入りました。
        「なにをぶつぶつほざいてやがる・・・ この俺様がコイツを操る限り、貴様など即刻
       地獄に送ってやるわ!」
        2人の間に閃光が走り、勇者対ゴールデンマックルのバトルが始まりました・・・
    
        その頃、デリナダに入ったスラックは「おや?」というような顔をして一人のミラッ
       クルに話し掛けました。
        「お前は・・・ ディコスじゃないか、こんな所で何をしとるんじゃ。」
        「ん? 何だ、スラックの爺さんじゃねえか。何って・・・ 爺さんこそ何しに来たん
       だよ。」
        「相変わらず口の利き方を知らん奴じゃ・・・ まあよい、もうすぐあの勇者がココに
       来よるんでな、先に来て待っとるんじゃよ。ほれ、今ココで起こっといる例の厄介ごと
       をアイツに解決してもらおうと思ってな・・・」
        「へーっ、アイツが来んのか・・・ そうか、ふーん・・・」ディコスは暫く考え事をして
       いたようでしたが、やがてスラックのほうを向くと「オイラはただのヤボ用で来てるだ
       けだぜ。でも、その用事も終わったしなぁ、もう帰ろうと思ってたんだ。じゃあな・・・」
       と言って、歩き始めようとした時「おっと!」ディコスがつまずいて危うくスラックに
       ぶつかりそうになりました。
        いくら年老いたとはいえ、そこは百戦錬磨の大魔道師です。素早くディコスを避け、
       ふぉっ、ふぉっ、ふぉっと笑いながらディコスに言いました。「わしから何を盗もうと
       したんじゃ・・・ お前さん、何を企んどる? ええから言うてみぃ・・・」
        ディコスは暫くスラックをじっと見ていましたが、「ふっ・・・ 全く敵わねえなぁ・・・
       実はな・・・」と言って自分が考えていることをスラックに言いました。
        「うーむ、なるほどのう・・・ よし、わかった。ほれ・・・」と言ってスラックはディコ
       スが盗もうとしたモノを差し出しました。
        「えっ、良いのかよ」ディコスが少しびっくりした様子でスラックに尋ねました。
        「まあ、お前さんに盗まれたことにしよう。どの道、あの勇者君には洞窟の奥まで行
       ってもらわねばならんしのう・・・ なあに、構わんじゃろ。あの勇者君の手間が少し増
       えるだけじゃ。しかし、あの洞窟にそんなもんがあったとはのう。なるほど・・・ 他の
       者にとっちゃ何の役にも立たん物でも、お前さんにとっちゃ大事な親父さんの形見にな
       るんじゃな・・・」
        「まあな、アレだけはこの辺の野郎に触られたくないんでな。じゃあ、オイラは洞窟
       に行ってりゃ良いんだな。じゃあな、爺さん。」と言って、ディコスは渡し舟の船頭の
       方に歩いて行きました。
        スラックはディコスの後ろ姿を眺めながら呟きました。「さて、もうぼちぼちあの勇
       者が現れても良さそうなもんじゃが・・・ 何かあったんかのう・・・」
    
        勇者はマックルブレードを上段から振り下ろしましたが、ゴールデンマックルに1の
       ダメージしか与えられませんでした。
        「くっくっくっくっ、その程度で我に立ち向かおうとは・・・ 笑わせてくれるわ。さて、
       こちらからも行かせてもらおうかな・・・」
        ゴールデンマックルが勇者を攻撃すると、勇者は相当なダメージを受けました。そこ
       で反撃に出ようとしましたが、ゴールデンマックルは立て続けに炎を吐きました。
        「えっ、2回攻撃? 何故ゴールデンマックルが・・・ ディアーザが操るとこんなこと
       までできるのか・・・」ゴールデンマックルの攻撃が終わると、マックルロードの力と‘神
       秘の鎧’の効力で勇者のキズはすっかり消えました。勇者はブレードLを使おうかとも
       思いましたが、ゴールデンマックルにはあらゆる攻撃魔法が効かないことを思い出し、
       再びマックルブレードで攻撃をしました。やはり与えたダメージは1でした。
        ゴールデンマックルは通常の攻撃と口から吐く炎で勇者を攻撃しましたが、2回攻撃
       を使っても、ターン毎に回復する量以上のダメージを勇者に与えることはできませんで
       した。このような攻撃をお互い繰り返し、勇者が「いつまで続くんだ・・・」と思った矢先
       でした。勇者が攻撃して1のダメージを与えたところ・・・ ゴールデンマックルは力なく
       倒れました。
        「な、なに、どうした・・・ 何をしている? 立ち上がれ! どうしたというのだ!」
       ゴールデンマックルを操っていたディアーザが慌てふためいて叫びました。
        そうです。ゴールデンマックルは、高い攻撃力と防御力を身に付けてはいますが、そ
       の生命力は極めて低くHPは僅か8しか持っていなかったのです。
        「なんということだ、我としたことが・・・ こいつがこんな役立たずだったとはな・・・
       ふん! もうこんな所に用はないわ。貴様、これで我に勝ったなどと思うなよ。貴様が
       いくら強くなろうと所詮マックル・・・ 我の野望は決して邪魔させぬ・・・」
        ディアーザの声が消えると同時に、倒れたゴールデンマックルの身体から黒い霧が立
       ち昇り、ひとつの塊になったかと思うと‘国王の紋章’のコンパスが指した北の方へと
       飛んで行きました。
    
                                          つづく
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■40  第2章 4:「勇者、ラントに戻る」
□投稿者/ ぴよきち -(2004/11/02(Tue) 04:29:12)
        勇者は倒れたゴールデンマックルのもとに駆け寄りました。どうやらまだ息があるよ
       うです。その姿はさっきまでとは打って変わり、元のおとなしいゴールデンマックルそ
       のものでした。いくらこうするしか方法は無かったとはいえ、自分の攻撃で付けたキズ
       を見ると、勇者は申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
        やがてゴールデンマックルが意識を取り戻しました。
        「あ、あなたは・・・」 か細い声でゴールデンマックルが訊いてきたので、勇者はこれ
       までの経緯を簡単に話しました。するとゴールデンマックルが言いました。
        「私に付けたキズのことは気にしないで下さい。私もマックル族のはしくれ、一晩休
       めばキズは治ります。よければこの村の宿屋まで連れて行って貰えますか?」
        早速、勇者はゴールデンマックルを背負って西の樹から出ようとしました。
        「おっと!」危うく長老の頼みを忘れるところでした。勇者は宝箱を開け‘エルフ族
       秘伝の書’を手に入れました。
        勇者は西の樹の最上階の枝から一気に飛び降り、宿屋へ向かいました。ゴールデンマ
       ックルを背負った勇者の姿を見て、門番はびっくりしていました。
        「ようこそ宿屋へ。一泊2G払うよい。」ゴールデンマックルを宿屋で降ろし、2G
       を払い、勇者も一晩休むことにしました。
    
        翌朝、勇者とゴールデンマックルは長老のもとへ向かいました。長老の前まで来ると、
       勇者は‘エルフ族秘伝の書’を渡そうとしましたが・・・
        「その秘伝の書、お前やる。秘伝の書書いてあること、わし読めない。この村の者誰
       も読めない。お前誰か読める者探すよい。」
        「この村に置いておくよりあなたが持っているほうが、むしろ安全かも知れませんね。」
        一晩休んで、すっかり元気になったゴールデンマックルもそう言ったので、勇者は
      ‘エルフ族秘伝の書’を道具袋に収めました。
    
        長老のもとを離れ、勇者はゴールデンマックルを伴ってマックルエルフ族の村を後に
       しました。道すがらゴールデンマックルが自分の身に起こったことを勇者に話しました。
        「4日前になります。私たちの森が突然黒い霧に覆われました。滅多なことでは私た
       ちは森の外へ出ることはありませんが、この時は違いました。私だけはでなく仲間たち
       も森から逃げ出しました。その後、黒い霧はひとつの塊になって私を追って来たのです。
       私はエルフ族の村に避難しようとしたのですが、西の樹のところで追い付かれてしまっ
       たようです。その後のことはあまり覚えていません。」
        恐らくディアーザに意識を支配されていたのでしょう。ゴールデンマックルは勇者と
       戦ったこともハッキリとは覚えていないようでした。ただ薄れ行く意識の中で、勇者が
       自分に向かって剣を振るっている姿が朧気ながら見えたと言いました。
        「もう少しあなたが来るのが遅かったら、私はディアーザに身体を奪われたまま、永
       遠に暗闇の中に閉じ込められていたでしょう。本当にあなたにはお礼の言いようもあり
       ません。」
        自分の欲望のためには他人の命や精神など平気で踏み躙ってしまう・・・ 勇者は改めて
       ディアーザに対する敵愾心を強めました。
        「そういえば・・・ あなたはこれから何処へ向かわれるのですか?」
        「あっ!」と勇者は思いました。デリナダへ行かなくてはならないのですが、そこへ
       行く手段がありません。「しょうがない、ワープでラントに戻って、またレオンに送っ
       てもらうしかないか・・・ でも、今度は何処に飛ばされるのやら・・・ とりあえず海の上
       じゃなきゃいいけど・・・」と思ってワープを使おうとしましたが、「やられた!」何と、
       ディアーザによって、又、ワープを使えなくする呪いが掛かっていたのです。
        勇者の様子を見ていたゴールデンマックルが言いました。「あの・・・ リッパー辺りま
       ででしたら、私が連れて行って差し上げますが・・・」
        「!?」勇者はキョトンとしてゴールデンマックルを見ました。
        「私には羽根があります。そんな遠くまでは無理ですがリッパーまででしたら大丈夫
       でしょう。サザラド大陸の北岸まで一緒に来て下さい。」
        とてもありがたい話に、勇者は一も二もなく頷きました。勇者と共に北岸までやって
       来たゴールデンマックルは、勇者を後ろから抱え込み「しっかり掴まってて下さい。」
       と言って羽根を羽ばたかせました。すると二人の体は宙に浮き、やがて北へと飛んで行
       きました。
    
        サザラド大陸を離れ、リッパーの村の近くまで飛んで来たゴールデンマックルはゆっ
       くりと着地して勇者を離し、「やっぱり私にはここまでが限度のようです・・・」と言って、
       相当疲れた様子で座り込んでしまいました。「暫く休んだら、私は森に帰ります。仲間
       たちも帰って来ていることでしょう。あ、そうだ。もし私たちの森に来れるようになっ
       たら、是非立ち寄って下さい。そんな大したモノではありませんが、助けて下さったお
       礼を差し上げます。ではお元気で・・・」ここまで言うとゴールデンマックルは肩で息をし
       ながら、下を向いて体を休めているようでした。
        勇者はぺこっと頭を下げて、リッパーの村に入って行きました。これでワープの行き
       先が「ラント」と「リッパー」になりました。早速、教会へ行き、呪いを解いて貰いま
       した。とりあえずワープが使えるようになりホッとした勇者でしたが、そうゆっくりも
       していられません。なにより一刻も早くデリナダへ行かなくては、スラックに言わせれ
       ば「ディアーザを探すどころではない」らしいのです。マックルエルフ族の長老から貰
       った‘エルフ族秘伝の書’のことも気になるのですが、今はデリナダ行きを優先させる
       べきだろうと考え、勇者はワープを使い、一旦ラントへ戻ることにしました。
    
        ラントに戻った勇者は早速レオンを探しました。今度こそデリナダに送ってもらおう
       と思ったのです。レオンはすぐに見付かりました。レオンも勇者を見付けると驚いた様
       子で駆け寄って来ました。「おー、生きてたのかよ、それでお前、俺のテレポーテーシ
       ョンで何処に行ったんだ?」レオンが訊いてきたので、勇者はこれまでのいきさつを話
       しました。
        「何だって! サザラド大陸? そうだったのか・・・ で、また俺にテレポーテーショ
       ンでデリナダに送って欲しくて戻って来たのか? うーん・・・ 悪いけどそいつは無理だ。
       何回やったって行き着く先は同じだよ・・・ 俺のLv.がもう少し高けりゃ何とかなるの
       かも知れねえけど、今の俺にはデリナダへお前を送る力は無いらしい。無理して別の所
       へ送ろうとしたらお前の命が危ない。サザラド大陸にだったら何回でも送ってやれるけ
       ど、他の所へ送ってくれという頼みなら、もういくら頼まれても絶対聞かないよ。」
        レオンの意志は相当固そうだったので、勇者はレオンに送って貰うことは諦めました。
        「‘旅の扉’はまだ直ってねえのかなあ・・・」とレオンが言いました。
        「そうだ」と思って、勇者は一旦ラントの町を出て‘ラント西の祠’へと向かいまし
       た。‘ラント西の祠’に到着した勇者は、早速祠の中に入ろうとしましたが・・・
        「???」 祠の入り口には見たことのない白い扉があり、中に入れませんでした。
        「ど、どうすればいいんだ・・・」勇者は途方にくれました。
    
                                          つづく
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■44  第2章 5:「ん〜、マザレルナ北の塔」
□投稿者/ ぴよきち -(2004/11/03(Wed) 04:07:21)
        デリナダへ行かんとする勇者でしたが、ワープで行けるのは「ラント」と「リッパー」
       の2ヶ所のみで‘旅の扉’にも入れず、途方にくれていました。レオンにテレポーテー
       ションで送って貰おうと思っても、レオンの能力ではサザラド大陸にしか送れないらし
       く、デリナダへ行くには新たな手段を講じなければならないようです。
        「こんな所でじっとしててもしょうがないか・・・」勇者は気を取り直し、ワープを使っ
       て新たに行けるようになったリッパーへ飛びました。
        リッパーへ到着した勇者は、村の色んな人に話し掛けてみました。
        「どうぞ、小さな村ですがゆっくりしていって下さい。」
        「ディアーザが倒れてからしばらくモンスターが出なくなったけど、最近また出てく
       るようになったんだよ。」
        「北のマザレルナの町では、また色んな魔法を開発中らしい。」
        どうも、今の勇者にとって有効な情報は得られそうもありません。更に‘聞き込み’
       を続けました。
        「この村に、新しく『道具預かり所』ができたんだよ。」
        「マックルコイン王がまたコインを集めだしたんだって。」
        「‘エルフ族の秘伝書’というものが何年か振りに発見されたらしいけど、それを読
       める人は居ないらしい。でも、魔法に詳しい人なら読めるかもね。」
    
        「魔法に詳しい人か、スラックは今頃どうしているんだろう・・・ とりあえずマザレル
       ナに行ってみるか・・・」勇者はリッパーの町を早々に退散し、マザレルナへと向かいまし
       た。途中、リッパーの住民が話していたように『ちびあくま』『ミーター』『ベビーマ
       ウス』『オニオンファイター』といったモンスターが出て来ました。
        モンスターにキズを付けられることも無くマザレルナに入った勇者は、ワープの行き
       先をひとつ増やし、モンスターが落としたアイテムを売って所持金を少し増やしました。
        さて、ここでデリナダに行く手立てを得られなければ、完全に行き詰まってしまいま
       す。勇者はマザレルナの人達に片っ端から話し掛けました。
        殆どは無駄な情報でしたが、スラックの弟子が「大魔道師は今、デリナダにいらっし
       ゃる。」と言ったことと、図書室に居たナークルが「おや、お前さん随分と古い書物を
       持ってるねえ、どれ見せてくれないか・・・ ふむふむ、全然読めないや。でも北の塔の爺
       さんなら読めるかも知れないよ。」と言ったことはどうやら役に立ちそうです。ちなみ
       に、レオンが居た部屋は当然ながら誰も居ませんでした。
        「なるほど、レオンの爺さんか・・・ 話が出来れば良いんだけど・・・」一抹の不安を抱
       きながら、勇者はマザレルナを出て、北の塔へ向かいました。
    
        Xの形をした北の塔に入った勇者は辺りを見廻しましたが、以前と変わりなく見えま
       した。とりあえず階段を探して上の階へと進まないことには、レオンの爺さんに会えま
       せん。
        「???」いきなり階段が無い! 「隠し階段か・・・ 微妙に造り替えられている・・・」
        最上階に到達するまで、3ヶ所の隠し階段が仕掛けられていました。尚且つ1ヶ所は
       隠し階段のくせにダミーでした。ただ勇者にとって、出現した『悪魔の金貨』『炎の精
       霊』『とげぼう』『マッドプラント』は、さして障害にはなりませんでした。
        どうにかこうにか最上階に到達した勇者は、壺の前で何やら呪文を唱えている老人を
       見付けました。レオンの爺さんです。「話が通じるかな・・・」と思いながらも、話し掛け
       ないことにはどうにもなりません。
        「ん〜、お主は誰じゃ・・・ 何? レオンの友達か。はて? レオンて誰じゃったかの
       う・・・ おう、そうじゃ、わしの息子じゃ・・・ ん〜、それで何の用かのう・・・」
        勇者は半分泣きたくなりながら‘エルフ族の秘伝書’を差し出しました。
        レオンの爺さんは「ん〜、これを読んで欲しいんかのう・・・ どれどれ・・・ う〜む」
       と言ったきり、刻々と時間は過ぎて行きました。勇者が様子を伺うと何やらすーすーと
       寝息らしきものが聞こえてきました。勇者は爺さんの頭を一発張って起こしたかったの
       ですが、まかり間違ってそのまま逝ってしまっては大変なので、結局、じっと待つこと
       にしました。かれこれ15分位経過したでしょうか、どうやらお目覚めになられたよう
       です。「ん〜、なんじゃ、まだおったんか?」爺さんの問い掛けに、勇者は黙って頷き
       ました。「そうか、よっしゃ分かった。」
        「???」 爺さんが「ん〜、」を付けずに話したので勇者はビックリしました。
        「そう驚かんでもええ。いやなに、ボケた振りでもしとかんと、マザレルナの連中が
       何やかやと頼みごとに来るんでのう。面倒臭うてかなわんのじゃ。」
        「今までボケた振りしてただけだったのか・・・ 頭、張らなくて良かった・・・」
        「さてと・・・ お前さん、ここに来い。」と言って、爺さんはあごで壺の前を指したの
       で、勇者は壺を挟んで爺さんと向かい合うように立ちました。
        「わしがええと言うまで動くなよ。」と言うと爺さんは聞いたことも無い呪文を唱え
       始め・・・「はーっ!!」と叫びました。
    
        その瞬間、勇者は‘ジャンプL’の魔法を覚えました。これが秘伝書の中に書かれて
       いたことだったのです。
    
        「その魔法は、まあ言わばフィールド上でも使えるジャンプじゃ。勿論、町の中でも
       今までどおりのジャンプとして使える。ただし、フィールド上で使えばMPを20消費
       するでのう。注意するんじゃな・・・」
    
        勇者は「あっ・・・」と思いました。「マザレルナ北の塔」の周りには、確か∩の形をし
       たの堀があって・・・ そこをこの魔法で飛び越せば・・・デリナダに行ける!
    
        「デリナダでスラックを待たしとるという勇者はお前さんのことか?」
        勇者は頷きました。
        「デリナダへ行く前に、もう一度マザレルナに寄ってみるがいい。あ、くれぐれもわ
       しがボケた振りをしとることは内緒にな・・・ それから、皆がわしのことをレオンの爺さ
       んと呼びよるが、わしはレオンの父親じゃ。くれぐれも間違えんで欲しい。」
        勇者はレオンの爺さ・・・父親にぺこりと頭を下げて、マザレルナ北の塔を後にしました。
    
                                          つづく
    
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■46  第2章 6:「対ディアーザ戦隊 復活」
□投稿者/ ぴよきち -(2004/11/05(Fri) 03:51:10)
        レオンの爺さ・・・父親に言われた通り、勇者はマザレルナへ一旦戻ることにしました。
        「はて? 今更戻ったところで何があると言うんだろう・・・」
            勇者はマザレルナに入り、あちこちを見て廻りました。スラックは相変わらず居ない
       ようです。で、レオンの居た部屋に行ってみると・・・ 「!!!」
        そこには3人の戦士たちが立っていました。勇者がカラッカを離れて以来の再会です。
        「これは勇者殿、お久しぶりでござる。」
        何故か、時代掛かった話し方をする、Lv.59のロックル戦士(魔術師)が居ます。
        「これは、これは、久しぶりでんな。」
        妙な関西弁を使う、Lv.59のキャックルモンク(商人)も相変わらずです。
        「お懐かしゅうございます。お元気でしたか。」
        唯一、まともな日本語・・・いや、マックル語で話す、Lv.58のフィンクル僧侶(鍛
       冶師)も元気そうです。
        4人はひとしきり再会を喜び合った後、戦士が自分たちのことを話し始めました。
        「勇者殿が町を出立されてから、拙者とモンク殿は『カラッカ』、僧侶殿は『フィン
       クルの里』で修行を致しておりました。そうしましたら、先程サイモンなる御仁が尋ね
       て参いられて、我等3人をテレポーテーションなる妖術でココへ送って下すったのでご
       ざる。あの方は何やら不思議な雰囲気をお持ちでござった。」
        「そうか・・・ サイモンは3人をずっと探してたんだ。だから、ラントには居なかった
       のか・・・」実は、リッパーからラントへワープで戻った時、勇者はレオンにもサイモンの
       ことを訊いてみたのですが、「‘祠の跡’を出てから一度も姿を現していない。」との
       ことでした。
        戦士のあとに、僧侶とモンクが続けて勇者に言いました。
        「あなたのことは、サイモンさんからお聞きしました。復活したディアーザを追って
       らっしゃるそうですね。もちろん、これから私たちも連れて行って下さるのでしょう?」
        「そら、そうや。でなかったら、ワシら何のためにこないなトコまで飛ばされたんか
       わからんようになるわ。」
        勇者は笑って、こくんと頷きました。斯くして、魔王ディアーザを打ち破った、伝説
       のパーティーが復活したのです。
    
        勇者は3人を伴って、マザレルナ北の塔を囲んでいる堀の前に立ち‘ジャンプL’を
       唱え、堀を飛び越えると一路デリナダへと進んで行きました。
        『シェード』『ジャミー』『ちび悪魔』『埴輪戦士』といったモンスターが出現しま
       したが、伝説のパーティーに立ち向かえる筈も無く・・・
        「また、つまらぬモノを斬ってしまった・・・」というロックル戦士の決めゼリフを言わ
       せただけでした。勇者も「久し振りに聞いたな・・・」と思いました。
        勇者たちがデリナダに入ると、マザレルナの弟子が言っていたようにスラックが彼等
       を出迎えました。ワープの行き先がまたひとつ増えて4ヶ所になりました。
        「随分と時間が掛かったようじゃのう・・・」だいぶ待たせてしまったスラックに、勇者
       がこれまでの経緯を話しました。「ディアーザがゴールデンマックルにのう・・・ その後、
       北へ飛んだんじゃな、いかん、それは急がねばならん。お前たち‘オスヤコディの洞窟’
       へ入って‘オスヤコディの鍵’を取って来るのじゃ。」
        「‘オスヤコディの鍵’ですか? その鍵で何を開けるのですか?」僧侶が尋ねると
       スラックは「デリナダで起きている問題」を説明しました。
        「お前たちがディアーザを倒して、洞窟からモンスターが消えよった。と同時にこの
       町の荒くれどもが一斉に洞窟に入りおったんじゃ。以前、お前達が入手した‘アサシン
       ダガー’‘いにしえの衣’‘サファイア’‘水門の鍵’以外にも、何やかやと色んなモ
       ンが出たらしい。じゃがお宝と呼べるようなモンがそう簡単に見付かるもんでもない・・・
       その内、お宝に有りつけんかった何人かが洞窟内を荒らし始めたんじゃ。」
        「そんなん、放っといてもよろしいちゃいまんの?」確かにモンクの言う通りなので
       すが・・・
        「それがの・・・ 腹立ち紛れに、よりによって‘水門’を閉めてしもうた奴がおるんじ
       ゃ。あの‘水門’は開けるのは大変じゃが、閉めるのはちょいと知恵の働く奴なら簡単
       にできるからのう・・・ 全く、お宝と‘水門’に何の関係が有るというんじゃ。」
        「愚かなことを・・・」僧侶がやれやれといった表情で呟きました。
        「では、今、『カラ』の町は孤立しておるということでござるか。」戦士が心配そう
       な表情でスラックに聞きました。‘デリナダ東の祠’の更に東にある水門を閉じると、
       水路が無くなり、水門の南にある『カラ』に行く為の唯一の移動手段である船が使えま
       せん。このままでは他の町とも交流ができなくなり、食料もカラに届かなくなってしま
       います。
        「カラだけじゃのうて、その南にある王国も影響を受けおる。」スラックの言葉に、
       思わずモンクが訊き返しました。「王国? そんなもん、おましたかいな・・・」
        「ラントと同様、ディアーザ討伐後に復興された国じゃ。どっちにしても水門を開け
       んことには行くこともできんわい。幸か不幸かディアーザが復活したおかげで、洞窟の
       中にもモンスターが出始めてのう、お宝探しの熱は一気に冷めたようじゃ。」
        「で、その‘オスヤコディの鍵’というのは洞窟のどこに・・・」僧侶の質問にスラッ
       クが答えました。
        「一番奥にあるらしいのじゃ。見付けた奴がおったらしいが、突然モンスターに出喰
       わして取らずに慌てて逃げ出したらしい・・・ 恐らく‘オスヤコディの鍵’なら水門も
       開けられるじゃろう。おお、そうじゃ洞窟内にディコスがおるぞ・・・」
        「ディコスでっか?」またモンクが訊き返しました。
        「わしから‘白い鍵’を盗んで洞窟に逃げおった。あの鍵がないと‘旅の扉’が使え
       ん。ディアーザがまた『悪さ』をせんように、あの鍵なしでは何者だろうと絶対入れん
       ようにしておいたんじゃが・・・ 勇者よ、それが逆にお前さんを困らしてしもうたのう。
       まあ、恨むんならディアーザを恨んでくれ。」
        「ともかく、‘オスヤコディの鍵’と‘白い鍵’2つの鍵を持参致せば宜しいのでご
       ざるな。しかし拙者共、船を持たぬのでござるが・・・」
        「ほれ、あそこに渡し舟の船頭がおるじゃろ。あいつに頼めばええ。」スラックの指
       した方向に「渡し舟屋」があり、船頭らしきマックルが船の横に座っていました。
        勇者たちはスラックに言われた通り、渡し舟の船頭の元へと歩き始めました。
    
        勇者はラントの町で「また、どこかで会うかも知れねえな」と言っていたディコスの
       姿を思い出していました。
    
                                          つづく
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