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■1266  Re[9]: BM 第6章 9:炎上円陣
□投稿者/ viper(ヴァイパー) -(2005/09/03(Sat) 15:56:13)
    ピピルはそれから急いでみんなに指示を出した。
    「何か火に耐性のあるものはない?身を守れるようなものがあると良いんだけど…」
    「それからグロス、ちくぼうの刺が余っているならそれに穴をあけて欲しいんだ。ストローみたいにして」
    「ディコス、壁に穴をあけてくれないかい?あの刺と同じくらいの大きさの穴を四つ」

    ピピルが何を考えているかは判らないが、とにかく今は言う通りにした方が良さそうである。
    「ったく、折角の鍛冶の材料を何に使う気だ…」
    グロスはちくぼうの刺を削って穴をあけ始めた。文句を言いながらもしっかり作業はしている。
    「穴あけろって言っても、こんな所にあけられるか?」
    ディコス試しに壁にナイフを突き刺した。か、なかなか硬くて掘る事が出来ない。
    「無茶だ、ナイフの方が壊れるぞ」
    「そうか…やっぱり無理かな…」
    しかし何度か刺している内に壁の一部がポロっと崩れて穴があいた。
    「わっ!あいた!」
    壁は確かに硬いが割と薄いようだ。そのまま何度もナイフを刺しつづけた。

    やがて壁には四つの穴があいた。ピピルに協力してディコスも壁を叩き始め、少しずつヒビが広がっていった。
    「良しっ、これで良いか!?」
    グロスはちくぼうの刺をピピルに見せた。内側がそっくり削られていて先端には穴があき、じょうごの様になっている。
    「うん良いよ、有難う。でも…」
    グロスは余った刺全てに穴をあけていた為、辺りにはトゲトゲと削りかすがが散乱していた。
    「…こんなにはいらないから」
    「そりゃどういう事だよ、言われた通りにしたってのに!ああ刺が無駄になっちまった…」
    「刺がどうとか別にいいだろ、それより身を守るものは?」
    ディコスは辺りをきょろきょろと見回したが、刺が転がっているだけで役に立ちそうなものは何処にも無かった。
    「…ってその辺にごろごろ役に立つものが転がってる訳無いよな。あるとしたら鉱石くらいか」
    ディコスの呟きを聞いて主人公はある事を思い出した。
    「ねえグロス、これ使えない?」
    主人公は炎霊石を取り出した。知識の塔で炎の精霊を倒した時に拾ったものである。刺の無駄遣いで凹んでいたグロスはそれを見て目を輝かせた。
    「うおう!良くこんなものがあったな!えーと何か使えそうなものは…」
    ピピルが来ていたマントを見つけるとそれを無理やり引っぺがした。
    「あ、駄目!それはさっきフィアロンに借りてきた魔術師のマント…」
    実はピピルは鉱山に向かう前に装備を増やしたいと思い、毒ガスにやられたフィアロンの魔術師のマントを持ってきていたのである。

    止める暇も無く、グロスは鍛冶を始めた。カンカンと言う音が響く
    「…ヨッシャー出来た!名付けて耐火の衣だ!これがあれば炎はどうにかなる!」
    グロスはマントを大きく広げて四人をすっぽりと覆った。
    「って言うか何でマントの面積増えてるの!?」
    思わず主人公が入れてしまった突込みを無視し、ピピルは作戦を続けた。穴の空いた刺を壁の穴にぴったりとはめ込んだ。
    「みんな刺の端っこをくわえて外の空気を吸って」
    その時後ろの方で怪鳥の唸り声が聞こえた。どうやらこちらに迫ってくるようである。四人とも刺をくわえてじっとしていた。
    「そっちの壁を壊して!」
    そっちの壁と言うのは先程叩き続けてヒビを入れていた壁の事らしい。一番ヒビの壁に近かった主人公はありったけの力でメタルソードを突き立てた。その瞬間怪鳥が炎の息を吐き出した。

    メタルソードで壁が崩れて大きな穴があいた。と同時にとてつもなく凄まじい爆発が起こった。


    辺りの土が吹き飛ばされて砂埃が立ち、暫くの間は刺のストローから口を離せなかった。
    「…鎌鼬で壁に穴があいたのを見て、ここの壁が以外に薄いって判ったんだ」
    埃が落ち着いた頃に耐火の衣を取り、ピピルが説明を始めた。
    「いくら炎に耐性のあるモンスターでも、大爆発が起きれば爆風で倒せると思って、それでやってみたんだ」
    「…で、よくもこんな爆発を起こしたよな…」
    怪鳥は爆発のショックで倒れて動かなくなっている。それどころか他にも色々いたであろうモンスターの死骸も転がっている。炎はすっかり消えている。
    「バックドラフトって知ってる?火が燃えている所に一度に大量の酸素が流れ込む事で燃焼が激しくなって、大爆発を起こす現象の事なんだ」
    壁を叩いて穴をあける準備を進め、別の壁には空気穴をあけておく。耐火の衣で身を守り、そこで壁に大きな穴をあける。壁の穴から一気に酸素が流れ込んで大爆発が起こる。
    爆発の瞬間は酸素が燃焼によって殆ど無くなってしまい、呼吸困難なってしまう可能性がある。その為に空気穴をあけさせていたのだ。

    「流石ピピルだね、こんな作戦を思い付くなんて…」
    「まあ今回はお前のお手柄だな」
    主人公とグロスの誉め言葉を聞いてピピルは照れて顔が赤くなった。
    「そんなんじゃ無いよ…みんなが頑張ってくれたからだよ」
    ピピルの知恵、グロスの刺と鍛冶、ディコスの協力、主人公の剣…どれか一つ欠けても上手くはいかなかった。
    四人は輪になってお互いの顔を見合い、くすりと笑った。

    四人は頂上を目指して再び歩き始めた。
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