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■1491  Re[13]: BM 第6章 13:甘くない
□投稿者/ viper(ヴァイパー) -(2005/09/14(Wed) 15:27:41)
    そろそろ頂上に近づいただろうか。5人は迫り来るモンスター達を蹴散らしながら進んだ。
    「ねぇ〜ねぇ〜まだあ?」
    フィアロンが眠たそうな声で話し掛けてきた。
    「うーんそろそろ着いても良い頃だけどな」
    ピピルは鉱山内部の様子と外から見た山の形から計算してここは頂上に近いだろうと言う事を割り出していた。
    「ねぇねぇ〜まだあ?」
    「いい加減にしろよお前、つか俺に寄りかかんな!」
    フィアロンは眠気の所為で足がふらつき、グロスに寄りかかり始めた。倒れると毒ガスを吸ってしまう事は一応学習済みなので何とか体を起こしたまま寝ようとしている。
    「あれ?お前さっきケーキ食べたのにまだ眠いのか?」
    「だってあのケーキ甘くなかったもん、しょっぱかったもん」
    「…え?」
    全員の視線が主人公に集まった。

    「いや…わざとじゃないよ、多分失敗したんだよ」
    開発したての魔法故に完全に使いこなせなかったようである。
    「何だよそれは!もう一度やって見せろコラ!」
    「判ったよグロス、だからそのトゲトゲソードは下ろして…」
    主人公は地面に手をかざすともう一度「ケーキS!」と唱えた。だが今度はぽひゅっと言う音がしただけで何も出なかった。
    「だからグロスわざとじゃないって!止めて止めて!」
    グロスはあからさまに嫌そうな顔を浮かべ、トゲトゲソードで主人公を突っついた。
    「…おいお前、もしかしてMP切れか?」
    ディコスの言葉で主人公はやっと気付いた。ケーキSは実は大量のMPを消費する魔法だったのだ。
    「大丈夫だよ、僕達もいるからさ。それにあなたは元々魔法より武器攻撃の方が向いているし」
    ピピルは主人公の肩をぽんぽんと叩いた。魔法が失敗した上にMP切れと言う失態を演じ、主人公はちょっと凹んでいた。
    「…おい、そんな事してる場合じゃねえみてえだ」
    フィアロンを担ぎながらグロスが呟いた。何処からともなく金属の高く澄んだカキーンと言う音と、化け物の鳴き声と思しき奇声が聞こえてくる。5人は急いでそこへ向かった。
    音に近づいて行くにつれて毒ガスが濃くなっていく。マスクをしている筈なのにむせそうにもなった。頂上が近い証拠である。


    「このっ、こいつめ!」
    頂上では一人のキャックルが剣を片手に化け物と戦っている。化け物の背後には黒い箱が見える。
    「…くそっ、なかなか倒れぬ。一体どうすれば…」
    キャックルが疲労を感じ、わずかに諦めを感じた。その時だった。
    「どおりゃあぁぁぁ!」
    突然叫び声が聞こえてきた。一人のロックルが変わった形をした剣を握って化け物を飛び掛っていったのだ。
    「おっさん平気か?」
    気が着けば隣には額に傷のあるミラックルがいる。さらにレンクルとそれに担がれているミラックル。最後にマックルの少年も現れた。
    「君たちは…誰だ?」
    「僕達は町の人から話を聞いてあなたを探しにきたんです」
    ピピルがその質問に答えた。今度はピピルからの質問になった。
    「一週間前からずっとここにいらっしゃるそうですが、何をしていたんですか?」
    「見ての通り…毒ガス発生装置を壊しに来たんだが、あいつに邪魔されている」
    黒い箱からはシューシューと言う音が鳴り、今まさにそこから毒ガスが漏れ出している。
    「僕たちに任せてください」
    「まーたきつい戦いになるぞこれ」
    「世の中そんなに甘くないって事だよ」
    既に化け物と戦っているグロスの元へ、4人は飛び込んでいった。
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