「3月のライオン」舞台探訪

−東京編−



舞台探訪者の心得
 ・探訪先では、地元の人の迷惑にならないように行動する。
 ・観光地でない場所や公共施設でない場所への探訪,撮影には十分注意する。
 ・探訪者の多い場所での行動は控えめに。
 →協賛サイト:舞台探訪まとめSite

 ヤングアニマルで連載中の「3月のライオン」。その舞台紹介の東京編です。
 青年棋士・桐山零くんをとりまく人間模様が緻密に描かれる本作ですが、その背景もまた、現地取材にもとづいて丁寧に描かれています。
 ここでは、それら舞台のうち、川本家の三姉妹が住む『三月町』と零くんが住む『六月町』のモデルとなった、東京の月島一帯を中心にご紹介します。

 「3月のライオン」には、多数の背景が登場しますが、整理してみると、比較的限られた場所が角度,構図違いで繰り返し登場している事が分かります。
 それらの細かい違いを追って行くのもアリですが、撮影の手間のわりには達成感が微妙になってしまいます。
 そこで筆者としては、これから現地を訪れるファンの皆様には、大ゴマに使われている背景(扉絵とか各回の最後に多い)を中心に事前資料を作り、後は現地で作品の雰囲気を楽しむ事に集中する方法をオススメします。
 このページでも、細かな角度,構図違いのものは掲載せず、印象的なシーンで使われた背景を中心に紹介することにします。



第1巻 P21

 ここは月島の玄関、営団地下鉄有楽町線月島駅の6番出口。
 第1話で養父と対戦した零くん、行きは東京駅まで歩きでしたが、帰りは地下鉄で帰って来ます。
 他のシーンだと、帰りも東京駅から歩いているため、この時はよほど心痛が大きかった、という描写かも?
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第1巻 P22

 対戦から帰って来た零くんがたたずむのは、佃の高速横の公園。
 奥に佃小橋が見えてます。

第1巻 P22

 黄昏れてる零くんに、ヒナちゃんからの夕食のお誘いメール。
 断ろうとしているところに…、

第1巻 P23

 あかりさんから、お買い物のお願いメールが。これって、絶対にわざとだよね?
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  (以下、'11.03.21 追加)
あかり「いいお天気…」(第5巻 P9)

零「ここで食べてっちゃおう」(第5巻 P143)

  (以下、'11.02.13分)

第1巻 P24

 あかりさんからメールを受け取った零くん、福神漬けを買って、3月町内の川本家に向かいます。
 この時通るのが、↑で見えた佃小橋。

第2巻 表紙

 第2巻の表紙で使われているのもココ。第11話の扉絵でも使われてます。
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  (以下、'12.04.15 追加)

零「いただきます」(第6巻 P117)

  (以下、'11.02.13分)


零「新しい年がやって来ようとしていた」(第3巻 P24)

 色々なシーンに登場する鳥居は、住吉神社の鳥居。
 ここでは第22話ラストのモノローグの構図をチョイス。
 住吉神社は、かつて安土桃山時代末期に今の大阪市西淀川区佃からこの佃島に住民が移住した際に、元の住吉社を分社したのが始まりとのこと(住吉神社(Wikipedia))で、佃島・月島の鎮守杜なのです。
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第1巻 P109

 ヒナちゃんが夜に抜け出すシーンは、住吉神社の参道から。

第1巻 P109

第1巻 P109

 そして、隅田川の川辺で人知れず涙を流すヒナちゃん。
 ここが、何かつらい事があった時のヒナちゃんの定番のコースなんですね。

Chapter.8 扉絵(第1巻 P224)

 そして、住吉神社入り口すぐ横にあるのが、住吉水門。
 ここから、連作扉絵シリーズ(?)第2期「アヒルさん大航海編」が始まります。
 通りがかった零くん、ヒナちゃんとモモちゃんが何か指さしてます。

Chapter.9 扉絵(第1巻 P238)

 指さす先をみると、モモちゃんのアヒルのおもちゃが浮いてますね。

Chapter.10 扉絵(第1巻 P256)

 「アヒルを追いかけるよ! 急いで!」

Chapter.12 扉絵(第2巻 P23)

 「川まで出て来たっ!」

Chapter.13 扉絵(第2巻 P41)

 アヒルさん、ゆうゆうと船の横を漂流中。
 ここで、構成の都合上、連作扉絵シリーズは、↓下に飛びます。

Chapter.31 扉絵(第3巻 P155)

 これも色々なシーンに登場する住吉神社近くの階段ですが、ここは第31話扉絵の構図で。
 作中でヒナちゃんが、「れいちゃんありがと…」と言ってますが、これは連作扉絵シリーズ第3期「もんじゃ次郎編」中で、零くんがヒナの思い人の高橋君を誘ってくれた事にお礼を言っているのですね。コミックでないと見落としてしまいそうな、小粋でハートフルな演出です。

  (以下、'12.04.15 追加)
 連作扉絵シリーズ第5期「リスさん捜索編」の中から、C58扉絵。

Chapter.58 扉絵(第6巻 P75)

 民家なので場所は明示しませんが、この付近を探せばすぐに見つけられるでしょう。


ひな「う〜〜〜」(第6巻 P76)

零「京都へ2泊3日…」(第6巻 P145)


 隅田川ぞいに北上して…、

第1巻 カバー絵

 第1巻のカバー絵は、石川島側から見る中央大橋です。
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 (以下、'11.03.21 追加)
 中央大橋をくぐって…、

零「河が好きだ」(第1巻 P54)

 ここまで来ると、石川島の北端になります。
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零「ただただ 沈んで行くような夜だった……」(第4巻 P70)


零「何も変わらないまま 変えられないまま」(第4巻 P71)

 行き止まりの地形が、まるで行き場のない零くんの気持ちを表しているようですね。


 (以下、'11.02.13分)
 中央大橋で隅田川を渡って、新川地区へ。

零「ん? 何だろ…」第1巻 P73

零「盤上でまで、ただ殴られてる訳にはいかないんだよ」(第3巻 P76)

 このカットは印象に残っている方も多いことでしょう。
 零くんには珍しく、激しい内面を表に出したひとコマです。
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零「まるで、小さな生き物のようにあったかかった……」(第1巻 P84)

 こうしてシーンを抜き出してみると、このハープ橋は、物理的にも心理的にも、零くんと川本家のかけ橋であることが良くわかりますね。

  (以下、'12.04.15 追加)
 ひなちゃんの件で心を痛める零くん。将棋一筋、そして一方通行の関係しか知らなかった零くんが、この橋を渡っての川本家との触れ合ううちに、いつしか他人に対する自分の意味について考え始めるようになります。

あかり「ほんとに頼っちゃうんだからね?」(第6巻 P92)

零「やきついて離れない」(第6巻 P92)

 零くんが三月町から六月町へ中央大橋を渡って帰る時、目に浮かぶのは川本家の人々の顔。
 初めて人に必要とされる体験が、零くんを一歩ずつ成長させていることを確信させてくれるシーンです。


 中央大橋を渡ると、そこは作中の「六月町」。
 中央区の新川地区になります。かつては霊岸島と呼ばれた場所のようです。

Chapter.5 扉絵(第1巻 P85)

 連作扉絵シリーズ第1期「モモのアイス編」最後の1枚がここです。
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 そして、連作扉絵シリーズ第1期を逆にたどって行くと…、

Chapter.3 扉絵(第1巻 P53)

  (以下、'11.03.21 更新)

Chapter.2 扉絵(第1巻 P37)


零「頭では、わかっているのに−」(第2巻 P34)

 目の前に現れる謎のオブジェ。
 これは、霊岸島水位観測所という海面の水位を測る観測所で、かつては日本の海抜はここを基準としていた時があったそうです。
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 ちなみに、↑の構図を実際にカメラで撮ってみると分かりますが、ものすごい超広角構図です。

零「いっそ、本当に鳥だったらと−」(第1巻 P269-270)


零「僕はまだ知らない」(第2巻 P55)

 ↑は、35mm換算で12mm相当(APS-Cで8mm)の超々広角レンズでギリギリ収まりました。
 パノラマ合成してるのか、本当に超々広角レンズを使っているのかは不明ですが、異例の構図である事は間違いないでしょう。

 (以下、'11.02.13分)

「C級1組 五段17歳 −−職業 プロ棋士」(第1巻 P35)

 ↑の構図は、零くんの自宅から見える風景として良く登場します。
 そう、この付近が零くんの自宅という設定なのですね。
 ここを起点に、零くんになったつもりで、月島(三月町)や東京駅まで歩いてみると、さらに面白さが増すことでしょう。

 (以下、'11.03.21 追加)
 零くんが歩いて東京駅に行くシーンに登場した橋は「高橋」。奥の隅田川方向に見えているアーチ橋は、南高橋です。

第1巻 P11

零「−−色んな橋を渡りながら……」(第1巻 P54)

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 隅田川沿いに下って、佃大橋へ。

「島田開八段 獅子王戦 七番勝負−」(第4巻 P47)

 姉・香子との諍いのシーンで使われた舞台です。
 頭上を威圧するかのような巨大な橋梁が、まるで、零くんの抑圧された過去と現在の心情を暗示するかのようです。
 ヤングアニマルの宣伝ポスターにも使われており、屈指の名カットと言って良いでしょう。
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あかり「ちょーっと取り込み中だったみたいね」(第4巻 P50)


香子「誰よ。あの人達」(第4巻 P51)


  ('11.03.21 追加)
零「ひなちゃん」(第5巻 P68)


ヒナ「うわああ〜〜〜ん」(第5巻 P68)

 (以下、'11.02.13分)
 鬱シーンに気が重くなったところで、気を取り直して連作扉絵シリーズ第2期「アヒルさん大航海編」を再開しましょう。

Chapter.16 扉絵(第2巻 P89)

 第16話扉絵は、佃大橋の下から。
 香子のシーンと同じ場所なのに、モモちゃんとヒナちゃんと一緒だと、ほのぼの感が漂いますね(笑)

Chapter.15 扉絵(第2巻 P74)

 実は、第15話と第16話の扉絵は、アヒルの流される方向からすると順番が逆。まぁ、細かい部分なのでスルーで。
 後ろの連結されたビルは『聖路加タワー』。絵になる建築物ですね。
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Chapter.18 扉絵(第2巻 P123)

 聖路加タワーを右手に見ながら隅田川にそって南下。
 ここまでは、モモちゃんも「るんるん」気分で歩いてますが…、
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Chapter.19 扉絵(第2巻 P139)

 思わぬ難関が。そう、隅田川の遊歩道はここで終わりなのです。
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 ショックを受けるモモちゃん…、
 と思いきや、この後、零くんから予想外のプレゼント、というハッピーエンドで連作扉絵シリーズ第2期は幕を閉じます。良かった!

 そして話は前後して、連作扉絵シリーズ第4期「月島三丁目児童遊園編」。

Chapter.33 扉絵(第4巻 P7)

 まるで「見つけてくれ」と言わんばかりに、扉絵に描いてあるその名前の通り、そこにあります(笑)
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 しかし…、

Chapter.34 扉絵(第4巻 P75)

 肝心のすべり台が無くなってる!
 ↑の地図を航空写真モードにすると、かすかにすべり台らしき物が見えるので、以前はあったのでしょう。

  (以下、'11.03.21 追加)

Chapter.44 扉絵(第5巻 P27)

Chapter.46 扉絵(第5巻 P57)

Chapter.47 扉絵(第5巻 P71)


 (以下、'11.02.13分)
 そして、最後に紹介するのが、連作扉絵シリーズ第3期「もんじゃ次郎編」。

Chapter.23 扉絵(第3巻 P25)

 これは、月島一丁目の「もんじゃ太郎」さんがモデルです。
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Chapter.29 扉絵(第3巻 P123)


Chapter.30 扉絵(第3巻 P137)


Chapter.25 扉絵(の真似)(第3巻 P61)

 ごらんの通り、作品中そのまんまの店内!
 店内には、なんと「3月のライオン」のポスターまで貼ってありました!
 これは、ファンには見逃せない聖地ですね。(詳しい様子は→ブログの方でどうぞ)
 ※ちなみに、第24話の扉絵を持って行くと、おかみさんを拝見して「あっ!?」とビックリ出来るはず(笑)

  (以下、'12.04.15 追加)
 連作扉絵シリーズ第5期「リスさん捜索編」の中から、C68扉絵。

Chapter.68 扉絵(第7巻 P73)

 月島1丁目にある交番です。
 住吉神社からここに来る途中でC55〜C68に出て来る扉絵を探したのだけど見つからず。う〜ん、一体どこにあるんだろうなぁ? 「3月のライオン」の特徴として民家はアレンジされてる事が多いので、そっくりな場所は無いのかもしれません。
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Chapter.69 扉絵(第7巻 P91)

 C69扉絵の「フミパン」こと「フジパン」の看板がある「ゑちぜんや」さん。駄菓子屋さんのようです。
 これを見つけた時は「やったー! 本当にあったー!」という感じでした。いかにも下町の生活感が感じられる風景ですね。
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 本探訪記内の登場人物のセリフの著作権は羽海野チカ先生 にあり、ここでは当該作品の副次的な視点提供を目的として引用しています。


 最後になりましたが、取材当日ご一緒&ご案内いただきました、しらさんMiyaさん、どうもありがとうございました!