TV版「AIR」舞台探訪

〜和歌山県美浜町編〜



舞台探訪者の心得
 ・探訪先では、地元の人の迷惑にならないように行動する。
 ・観光地でない場所や公共施設でない場所への探訪,撮影には十分注意する。
 ・探訪者の多い場所での行動は控えめに。


 あの、えいえんの名作「AIR」発売から約5年。期待と不安が混じる中、発表されたTVアニメ版「AIR」は、期待に違わぬ出来映えでした。
 原作に忠実でいて見事に凝縮されたストーリー、丁寧で美しい背景美術、そしてあの“夏”が鮮やかに蘇る演出センスなど、「AIR」の映像化に関しては「もうゴールしてもいい」ぐらいの決定版と言えます。

 さて、そんな中、ネットでTV版「AIR」の舞台が和歌山県日高郡美浜町にあるとの情報を目にしました。
 すぐに行ってみたい衝動に駆られながらも、あれやこれやで予定が立たずに、結局行けたのは既に梅雨入りした7月の連休になってから。
 そんなわけで、夏の「AIR」ツアーならぬ、梅雨の「AIR」ツアーとなったのでした。

 「AIR」の風景-その1- −和歌山県御坊市 紀州鉄道西御坊駅付近−
 梅雨の鉛色の雲の下、京都駅に集合。
 今回集まったのは、いつものQLAND氏、SUGI氏に加えて、QLAND氏の友人KIMU氏、それに私の4人。
 道中の車の中では、

QLAND「鉄塔キターッ!」
KIMU「“キハ”ーッ! “モハ”ーッ!」

 さすが、鉄オタのKIMU氏はひと味違うキレを見せるのだった。

 さて、そんなこんなで、和歌山県御坊市に到着。
 雨が降ったりやんだりのあいにくの天気の中、やって来たのは紀州鉄道西御坊駅。
 ここから先の紀州鉄道西御坊駅〜日高川駅区間は、1989年に廃線になっている。

紀州鉄道の終点

 アニメ中に列車止めのある柵が登場するのでここじゃなかろうかと思ったのだが、微妙に違う。廃線沿いを歩いたけれども見あたらなかったので、オリジナルだろうか?

 この西御坊駅の横にあるのが、アニメ中で往人が川の上の線路を歩くシーンで使われた場所。

美凪「ここが往人さんが渡った線路ですね」

 KIMU氏によると、少なくとも2001年11月までは川の上の線路が残っていたそうなので、スタッフが取材した時にはまだ残っていたのかも?

 廃線沿いを歩いていたら、同じ舞台探訪者らしい人とすれ違った。

SUGI「明らかに舞台探訪ですね」
QLAND「向こうも観鈴ちん持ってたりして」
「ああっ、観鈴ちんが共鳴してるっ! 誰か近くに観鈴ちんを使う奴がいるっ!(w」

 ちなみに、紀伊御坊駅構内に廃車となった列車が止まっているので、DVD3巻のパッケージにある車輌かと思って行ってみたのだけど違った。パッケージの車輌はいくら何でも古すぎ。あれは一体何を元に描いたのだろう?
 ('05.07.27 追記)
 士幌線糠平駅跡の車掌車がモデルのようです。参照:「役目を終えた鉄道・列車・廃線」→「北海道糠平湖畔」 GINさん、掲示板での情報提供ありがとうございました。

 「AIR」の風景-その2- −和歌山県日高郡美浜町 濱ノ瀬付近−
 紀州鉄道の廃線跡をたどるようにして日高港方面へ。
 橋を渡ってやって来たのが美浜町濱ノ瀬地区。ここらへんは一度事前偵察に来たQLAND氏の土地勘が頼り。

QLAND「ああ、またこっちの港の方に来ちゃった。こっちまで来ると行き止まりなんだよ。舞台探訪に来た人は絶対みんな間違えるって」

 と言いつつ車を戻した所で、舞台発見!

観鈴「第1話で往人さんと歩いた道だねっ」

 この道を奥に進むと…、

観鈴「この前を通ったよ」

 バッチリ。まごうことなく、アニメに登場した背景に間違いない。
 とは言え、あまりに周囲の風景に埋もれていて、事前のネットでの情報が無かったらここまでたどり着くことは出来なかったでしょう。
 先駆者の皆さんに感謝です。

観鈴「ここも第1話で歩いたねっ」

 上の写真もネットの情報を頼りに再度出かけて見つけたもの。先の場所から上流へ向かって2つ目の橋の近く。
 見つけてみると、実はこの場所は前回に一度通っていたのだ。その時は逆方向に通っていたので判らなかった次第。舞台探訪って奥が深いですね〜。

 「AIR」の風景-その3- −和歌山県日高郡美浜町 海猫島付近−
煙樹ヶ浜

 煙樹ヶ浜という、美浜町の海岸に出てみるとこの通り。
 雨なのと、たまたまこの付近の浜辺が砂利なせいもあってあまり「AIR」の雰囲気は無い。
 遠く美浜町の北の岬のあたりが、アニメに出てきた岬(灯台あり)に似ているような気がするのは贔屓目だろうか?

 ここから、煙樹ヶ浜ぞいを西へと移動する。
 アメリカ村を越えて、着いたのは先の濱ノ瀬地区から5kmほど離れた、美浜町も西の外れの方、海猫島と書かれたバス停の周辺。

佳乃「第5話でお姉ちゃんと往人さんが話してた場所なのだ」

 ここもアニメそのまま。

観鈴「第5話でお母さんと往人さんが歩いてた場所だね」

 上の写真は、夜のシーンで使われていたもの。
 夜のシーンならいくらでもごまかしが効くのに、しっかりと元の背景資料に忠実に再現しているのには脱帽です。

みちる「ちょっと違うね」

 ここの堤防の切れ目は、みちるが宝物を探した堤防に似てるけど、微妙に違う。

 ここで同行のKIMU氏が時間切れということでお別れ。
 KIMU氏は満足げな表情で紀州鉄道に乗って去って行ったのだった。

 おまけ −和歌山県日高郡川辺町 道成寺−
 さて、ここまでは他のサイトさんの情報にもあったもの。
 これだけ背景の元ネタがあるなら、きっと他の元ネタもあるに違いない、と考えるのが自然な流れというもの。
 そんなわけで、主に佳乃のストーリーに出てきた田園風景を探そうと、美浜町周辺をあちこち探索したのだが…。

 …しかし、いくら探せども、これが、無いのだ。
 雰囲気は似ていて、「ここを撮っておいてくれたら何の問題も無いのになぁ…」という所がいくつもあるのに、TV版の背景は、やっぱり、無い。

 もう暗くなりはじめて、撮影の時間切れ寸前という時になって、地図上に「道成寺」の表示を発見。
 「道成寺」と言えば、「舞-HiME」の静留さんのチャイルド“静姫”の元ネタとなった安珍・清姫の伝説の発祥の寺。
 そんなわけで、「AIR」舞台探訪の目的を離れて、寄ってみる事に。

御坊ICから市街へ行く途中の橋

 途中の橋には、清姫が蛇に化身して日高川を渡ったという伝説にちなんだ像が。


道成寺 仁王門

道成寺 本堂

「鐘巻之跡」

 上の写真が、安珍が隠れた鐘を蛇に化身した清姫が巻きついて焼き殺した、まさにその場所らしい「鐘巻之跡」と書かれた石碑の場所。
 「舞-HiME」第25話で、教会の廃墟に踏み込んだなつきの頭上から鐘が落ちてきて、鐘の中に閉じこめられたなつきを、静留が大蛇のようなエレメントで鐘を巻き取って壊すシーンがあるのだが、その元ネタが、ここというわけ。

 というわけで、結局、新しい舞台は見つからず、回れたのはネットで既出の場所だけでした。
 おまけに上の道成寺の写真を撮ったところでデジカメの電池が切れてしまい、充電器を忘れた上に専用電池なのでこの後は同行者の写真だけが頼りということに…。
 雨が降ったりやんだりの天気とも相まって、「苦戦の末引き分け」という結果の舞台探訪でした。

 さて、夏はどこまでも続いていく。
 この翌日、さらにTV版「AIR」舞台探訪〜香美町,宮津市編〜へと続きます。

 最後になりましたが、今回の舞台探訪で参考にさせていただいたサイトさんです。感謝m(__)m

風車の不夜城AIR背景探しの旅、美浜町レポート
 美浜町の探索での先駆者さんです。
HI-TECH CARROTにっぽんヲタ街道
 香美町、由良川橋りょうの探索での先駆者さんです。
UME_BLACKのモバイルイズム 
 TV版「AIR」の情報が総合的にまとめられています。
alternative-livethe 1000th summer
 美浜町を歩く観鈴ちんがかわいいです。


  終わり。