アニメ「夏目友人帳」舞台探訪

−熊本編−



舞台探訪者の心得
 ・探訪先では、地元の人の迷惑にならないように行動する。
 ・観光地でない場所や公共施設でない場所への探訪,撮影には十分注意する。
 ・探訪者の多い場所での行動は控えめに。
 →協賛サイト:舞台探訪まとめSite

 アニメ「夏目友人帳」は、月刊LaLa連載中の緑川ゆき先生原作のアニメ作品で、今年7月には第3期が放送予定となっています。
 独特の繊細な世界観と切ないストーリーが魅力の原作を、持ち味を損なわずにアニメ化され、根強いファンの人気に応えた作品に仕上がっています。

 管理人もアニメ版の舞台が熊本県内にある事は聞いていたのですが、なにぶんにも長野県からは遠いため二の足を踏んでました。
 しかし、ここへ来てアニメ第三期の決定と、最近の探訪で大きな進展があった事(最後に紹介)、そして九州新幹線の開通により、ついに遠征してみる事にしました。
 以下、その舞台探訪記です。

−アニメ「夏目友人帳」舞台探訪(熊本県内編) 地図−

 「夏目友人帳」舞台探訪のスタートは、人吉市の玄関とも言える人吉駅から。くま川鉄道だと「人吉温泉駅」となるようです。

第二期第8話人吉駅

 人魚の妖が登場する、第二期第8話「不死の想い」。その作中での、民宿のおばあさん(千津さん)の通う駅のモデルがここです。城の町、人吉らしいデザインの駅ですね。
 [地図で見てみる]

第二期第8話人吉駅

第二期第8話人吉駅

 Bパート冒頭、民宿から戻る途中の夏目が、駅で千津さんの姿を見かけます。


第二期第8話人吉駅前

第二期第8話人吉駅前

 千津さんから、人魚にまつわる過去のいきさつを聞く夏目。


第二期第8話人吉駅

 千津さんの話を聞いて、夏目は長命な妖であるニャンコ先生との別れ日がやって来る事に思いを馳せるのでした。


第二期第8話人吉駅

第二期第8話人吉駅

 駅で啓一さんに似た姿の人を見かけて、くずれ落ちる千津さん。


第二期第8話人吉駅

 啓一さんに似た人の姿を探す夏目。この夏目の活躍で、啓一さんの不老不死の疑惑は晴れることになります。

 そして、第一期第9話の「あやかし祓い」で名取を見送る駅ですが、駅の外観は↓で紹介する八代駅がモデルですが、窓口だけはこの人吉駅が似ているようです。

第一期第9話人吉駅


 偶然のきっかけから、第二期OP.で名取が座っている神社を見つけることが出来ました。
 (経緯は、ブログの方で)

第二期OP.天満宮

 場所は、人吉市内の田町にある天満宮。
 コレは見つからないと思っていたので、発見出来た時は嬉しかったですね〜。
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第二期第8話胸川

 そして、第二期第8話で夏目達を乗せたバスが通る橋は、この近くから胸川を上流方向に見た構図になります。
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 夏目達の通学路としてたびたび登場する赤い橋は、西人吉の球磨川にかかる天狗橋。
 ここでは、ニャンコ先生がユーモラスな、第一期第3話の構図をチョイス。

第一期第3話天狗橋付近

 作中の一方通行の標識は、不自然な位置(ここで指示されても車が困る)なので、ニャンコ先生を置くために描き足したものかも?
 [地図で見てみる]

 この天狗橋は、アニメ・オリジナルの話である第二期第5話「約束の樹」でも登場しています。

第二期第5話天狗橋

第二期第5話天狗橋付近

第二期第5話天狗橋

第二期第5話天狗橋付近

第二期第5話天狗橋付近


 第二期第9話「桜並木の彼」の中で、夏目が妖・巳弥と話すシーンに登場する川縁ですが、

第二期第9話球磨川第三橋梁

 球磨川下りの発船場付近から球磨川第三橋梁を見た構図が一番似ています。
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第二期第9話球磨川下り発船場周辺

第一期第7話球磨川第三橋梁

 第一期第7話「子狐のぼうし」に登場する合宿所周辺の川も、ここで良いようです。


 第一期第5話、最初のアニメ・オリジナルの回となった「心色の切符」の舞台は、人吉市内の大畑駅(おこばえき)にあります。


 事前情報で知ってはいたものの、駅までの道は細くて曲がりくねった山道で、行く途中では「本当にこんなところが舞台なの? スタッフはこんな所まで取材に来ないんじゃないの?」と半信半疑だったのですが…、

第一期第5話大畑駅

 駅の時刻表を見ると、たしかに大畑駅そっくりです。
 ここを最初に特定した人はスゴイ!
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第一期第5話大畑駅

 作中の線路の1カットもありました。
 信号機の横のハシゴの形や、右側の線路の補助レールの形など、たしかに一致する点が多いです。


 大畑駅は日本で唯一ループ線の中にスイッチバックある事で鉄道ファンには有名な駅だそうで、壁の至る所に全国からの切符が貼られていました。
 この駅や、後から紹介する瀬戸石駅が舞台に選ばれた事といい、タイトルが「心色の切符」だった事といい、鉄道ファンのスタッフのイメージから生まれた、「森の中の駅」をめぐるオリジナル・シナリオなのかもしれないなぁ〜、などと想像をめぐらせると面白いですね。


 これも事前情報で知っておきながら、行く途中で「こんな遠い舞台はありえないよ!」と思っていた物件ですが…、

第一期第6話市房ダム

 行ってみてビックリ、まちがいなく第一期第6話「水底の燕」のダムのモデルです。
 一見、背後の山の形が違うように見えますが、よく見ると、作品の山の形は実在の尾根筋にそって切り抜いて使われているんですね。
 [地図で見てみる]

 ここは他の舞台から一つだけ遠く離れているのですが、「水底の燕」は第一期中で「儚い光」と1,2を争う好きな話だったので、実物を確認出来て良かったです。


 今回の取材にあたっては色々な方の情報に助けられたのですが、その中でもゆっきーさんから旅行中にいただいた情報で撮影出来たのがこちら↓

第二期OP.相良村

 第二期OP.の通学路です。場所は人吉市からだいぶ山間に入った相良村の真ん中あたり。
 こんな離れた場所で一体どうして見つけられるの!?、と不思議でならないです。ゆっきーさん、どうもありがとうございました!
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熊本県相良村 −雨宮神社−
 ↑のOP.の舞台から人吉市方面に下って来たところに、雨宮(あめみや)神社があります。


 神社の入り口には、当時の城主が雨乞いに訪れた帰りに雨になったという言い伝えが書かれた案内板が立っています。
 第一期第2話の「露神の祠」のイメージモデルでしょうか?


 急な石段を登ると、小山の頂上に小さな社が鎮座しています。
 境内を見渡して、司馬遼太郎先生の本で読んだ神奈備山とは、こんな所を指して言うのだろうな〜、などと思い出していました。


第一期第2話雨宮神社

 神社の近くでは、作中と似たようなあぜ道を見ることが出来ます。
 [地図で見てみる]



 第一期第7話「子狐のぼうし」の中に、途中ちらっと登場する棚田。こんなもの見つかるわけない…、と思っていたら、特定情報がありましたので、行って来ました。
 場所は球磨村の松谷(まつたに)地区。「日本の棚田百選」にも選ばれているそうです。

第一期第7話球磨村 松谷棚田

 現地に行ってみて、「正直、これはどうかな〜?」と思ったのですが、よくよく見るとS字型の道や全体的な地形が似ていて、ここがモデルと言って良いのではないかと思います。
 こんな所まで特定するとは、いやはや何とも、脱帽です(笑)
 [地図で見てみる]


 アニメ「夏目友人帳」は現地取材の上で作られていますが、現地の風景はロケハンしたというよりもイメージボード的に使われており、そのものズバリ一致するものは少ないと言えます。それは、原作の淡くて儚い雰囲気には、あまりソリッドな背景は合わないという事情も一因でしょう。
 そんな中での数少ない例外が、第一期第5話「心色の切符」の舞台です。アニメオリジナルストーリーのせいもあってか、現地のローカル駅の風景が良く再現されています。

第一期第5話瀬戸石駅

第一期第5話瀬戸石駅

 「心色の切符」に登場する「森口駅」の、↑上で紹介した大畑駅の他のもう一つのモデルが、ここ瀬戸石駅。
 人吉市から球磨川をずっと下って、八代市に入ったあたりにあります。
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第一期第5話瀬戸石駅

 ↑は駅の表示板を入れてみましたが、むしろ表示板を入れないで待合室に寄って撮るのが正解かも?


第一期第5話瀬戸石駅

第一期第5話瀬戸石駅

第一期第5話瀬戸石駅

第一期第5話瀬戸石駅

第一期第5話瀬戸石駅

第一期第5話瀬戸石駅

 ふと気がついてみると、現地取材されたカット数は、駅物件が妙に多いような気がします(笑)


 またしても駅物件ですが(笑)、

第一期第9話八代駅

 第一期第9話「あやかし祓い」で名取を見送る「何樫駅」の外観のモデルは、八代駅です。
 「何樫駅」の切符売り場は人吉駅に似てるのですが、他の構内の様子は、立ち寄った駅の中では一致するものが見あたりませんでした。
 [地図で見てみる]


第二期OP.八代市東陽町 笠松橋

 第二期OP.に登場する印象的な石積みの橋は、八代市東陽町にある笠松橋です。
 [地図で見てみる]

笠松橋

 遠くから見ても近寄って見ても、ほれぼれするような美しい橋です。橋のたもとのイチョウが紅葉する季節は、きっと素晴らしいことでしょう。
 戻ってから調べてみると、橋本勘五郎(Wikipedia)氏による明治2年(1869年)の建築とされており、後に上京して、万世橋,浅草橋,江戸橋,京橋も手がけた方といいますから、まさに異才ですね。出来映えにも納得です。
 ↑上で、「なぜこんな離れた場所に舞台が?」と書こうと思いましたが、由来を調べて納得。背景美術を手がけているような方なら、きっと最初からこの橋の由来を知った上で、ここを訪れたという事でしょう。

 本探訪記内のアニメ「夏目友人帳」の画像の著作権は「夏目友人帳」製作委員会 様にあり、ここでは当該作品の比較研究を目的として引用しています。


 最後になりましたが、今回の探訪で参考にさせていただいたサイト様です。
 どうもありがとうございました!

人は島嶼にあらず夏目友人帳@熊本県人吉市&球磨村
 事前の調査、そして旅行中にずっとスマフォで地図を参考にさせていただきました。
 この取材力には脱帽です。
ゆっきーの散歩Blog夏目友人帳
 旅行中に第二期OP.の通学路の場所を教えていただきました。
ジゼルの旅日記夏目友人帳聖地巡礼
 何樫駅のモデル、八代駅について参考にさせていただきました。