2013年ヨットレース

別府 湯けむりヨットレース2013

ブログ記事

 2013.10.12(土)

昨日まで雨を降らしていた低気圧が東へ移動し、高気圧の圏内になって来ました。
風予報では豊後水道は北西のやや強い風が吹くことが予想されています。
我が家では日曜参観日をばっくれるということになり暴風警報発令中!!

朝6時にホームポートを出港して九州の別府へ向かいます。
今回は高知のだるまさんと宇和島の番長さんが「ホワイトホーク」に乗船してくださり、回航メンバーは3人。
10m/s以上の風が吹くと思われるので、最初からカッパを着こんで完全装備です。

三浦湾の真珠筏を抜けるなり、真正面から厳しい風が吹き出しました。
さらに海況は悪くなるばかりで、スプレーの洗礼を浴びます。
メインに3ポンリーフを入れて機走しますが、風速計は25ノット。たまに20ノットぐらいまで落ちるとホッとします。
三角波でドタバタ船底をたたかれ、容赦ない海水のシャワーが降りかかり徐々に口数も少なくなっていきます。
昼前にこの航海でいちばんの難所となる速吸瀬戸に差し掛かったころは風速計も30ノットを常時超えるようになり、波高は2メートル。
滝のような波がまともに頭から降ってきて、コクピットで何度か溺れそうになりました。
「早く別府湾に入りたいよ〜」
高島のブランケットに入り込み、ようやく風も波もおさまりました。
「あ〜、しんどかった。だけど、もう大丈夫でしょ。これでやっとビールが飲めますなあ。」
しかし、それは甘い考えでした。
関埼を通過したとたん、再びドッタンバッタン。
結局、その後も風が弱まることはなく、出港してから9時間スプレーを浴び続けました。
(鬼嫁の高笑いが聞こえてきそうです・・・)

しんどい回航でした。カッパの中まで潮が入っています。
別府は近くに温泉があるから安心だと思っていたら・・・
今年はちょっと苦労しました。
でも、そこら辺にたくさん温泉施設がある別府は良い街です。

なんとか、お風呂にも入ることができ夕方5時からは恒例の「湯けむり懇親会」。
BOYCの皆さんのおもてなしには、本当に頭が下がります。
時化で食べられなかったお弁当も持ち込んでお腹も十分満たされました。

 

 

2013.10.13(日)

レース当日朝、長崎から大先輩が応援に駆け付けて来てくださりました。
今回の「ホワイトホーク」は長崎、高知、宇和島の混乗船。メンバーは4人です。
レース前日は北西の強風が吹いていましたが、当日は風が落ち、北から北東に振れる予報。4人いれば十分です。
8時半からの艇長会議を終え、9時前にヨットハーバーを出港。
風もそこそこ良い感じです。
スタートラインがかなり偏っていて、風上側の本部艇サイドは大混雑が予想されます。
今回の出艇リストを見ると、西宮の「Claris forte(クラリスフォルテ)」(YAMAHA31F)がエントリーしています。
J/24ワールドで活躍する日本を代表するセイラーの中野誠氏がチューンアップした国内最強のフェスタです。
前日の情報収集ではブームを50センチ延長しメインのセイルエリアを増している上、カーボンマストを補強してマストトップからダウンウインドセイルを展開できると聞いています。
さらに、注目は初出場の「海道」(N/M ILC30)。この船には他のレースで乗艇したことがあり、その過激な速さは体験済み。
今回の別府は初顔合わせのこの2艇が爆走することが予想されます。
他にも要注意船舶はウヨウヨ居て、昨年優勝艇の「シェンロン」(ジャノー35OD)、「ユリカゴン」(J/V9.6CR)、「悟空」(ババリア38マッチ)などに大きく引き離される訳にはいきません。
また、同型艇のYAMAHA31Sが「ホワイトホーク」の他に3隻、YAMAHA31Fが「クラリスフォルテ」を含めて3隻。
気を引き締めていきましょう。

 

      

10時、レーススタート。風は軽風。
予想通り本部艇サイドは大混雑で、大きな声が飛び交います。
「ホワイトホーク」もドツボにはまりかけましたが、無理をせずちょっと空いた隙間からクリアな空間に抜け出すことに成功。
まずまずのスタートを切ることができました。
リコール艇があったようで、気がつくと「海道」がスタートラインに戻って行くのが見えました。
強敵「ユリカゴン」も少しスタートで出遅れた模様。
スタート後間もなく落ち着きを取り戻し、冷静になることを心掛けましたが、風が安定しません。
振れ回る風に翻弄されながらも振れタックを繰り返し風上の第一マークを目指します。


            

「クラリスフォルテ」が予想通りの走りで第一マークをトップ回航。
続いて新しいジェノアを装備した「シェンロン」と遅れを取り戻した「ユリカゴン」が激しく争いながら2番手グループ。
若干遅れて「ホワイトホーク」が4番手で回航し、すぐさまスピンアップといきたいところだったのだけど、風はクローズリーチで躊躇しました。
しばらく、ジェノアで走っていましたがアビーム近くまで風が後ろに回ってきたため、スピンを揚げた。しかし、風はまた前に回りジェノアに切り替え。
スピンをたたみ終えたかと思ったら、再び風はアビームとなり、このレグ2度目のスピンアップ。
先頭の「クラリスフォルテ」はおそらくジェネカーなのでしょう。余裕の走りで後ろを置き去りにしています。
我々の後ろから「海道」が猛スピードで追撃してきます。
長いガンポールから展開した巨大なジェネカーで、いとも簡単にパスされてしまいました。
さらに、巨大な赤いスピンの「悟空」も追って来ています。

第二マークで「ホワイトホーク」はちょっとジャイブに失敗。
全く練習などせずに突然乗り合わせたメンバーだから仕方ないですね。
バタバタしていて気付かなかったけど、その間に「悟空」に先行されてしまったのかな?
次のレグもまたアビームです。
絶対ジェネカーを持っている船が有利になります。
またもやレグ中盤でスピンでは限界になりジェノアに切り替えました。おそらくジェネカー艇なら第三マークまでそのまま行けたでしょう。

第三マークも圧倒的な速さで「クラリスフォルテ」がトップ。
「シェンロン」と「ユリカゴン」は接戦。
ものすごい追い上げで「海道」もその2隻に迫る勢いです。
「ホワイトホーク」は「悟空」と同時に第三マークを回航。
大型の「悟空」がすぐ隣でかぶせているので非常に良くない。
先にタックして逃げようかと思っていたら「悟空」が先行艇を追って、すぐにタックして北の左海面に進んだ。
我々はタックせずにしばらく東の右海面を進むことにした。
5分ほど遅れて来た「パル」(YAMAHA31F)も、皆さんと同様に即タックで左海面へ。
この判断が順位を大きく左右することになったのかもしれません。
なんと、見えなくなるほど先行していた「クラリスフォルテ」が止まっているではありませんか。
沖出しした「ホワイトホーク」が走る海面は風が安定しています。
それに気付いた2番手グループはタックして沖出しを開始。
完全に「クラリスフォルテ」は取り残されています。

最後のソーセージラウンドとなる最終マーク(元の第一マーク)をシェンロンがトップ回航。ついに先頭が入れ替わりました。
続いて「ユリカゴン」。僅差で「海道」。
「ホワイトホーク」も先行艇との差を縮めました。
なんと、「クラリスフォルテ」を抜いて4番手に浮上。
最終マークを回航して、スピンアップしますが、またアビーム・・・
「嘘でしょ!!」
スピンで上れる一杯のところで必死にスピントリムしますが、後方からマストトップジェネカーを揚げた「クラリスフォルテ」がジワッジワッと近づいてきます。
前方でも動きがあり、ついに「海道」が「シェンロン」「ユリカゴン」に並ぼうとしています。
ファーストフィニッシュを賭けた凄いデッドヒートを展開しているようですが、我々には関係ありません。
こちらは「クラリスフォルテ」が迫ってくる恐怖と闘いながら早くフィニッシュラインを通過したい一心なのですが、ちょっと微妙な感じです。
「クラリスフォルテ」のスピードは明らかに普通のボートと違いすぎる。
「神様お願い!!先に行かせて!!」
と頼みたい気持ちでしたが、無情にもフィニッシュラインのほんの少し手前で捕まってしまい、半艇身のリードを許したままレースは終了。

「惜しかった・・・、もう少し逃げ足が速ければ・・・。残念!!」

 


第一マークで競り合うシェンロン(左)とユリカゴン(右)


最終レグ、海道(右)がユリカゴン(左)に迫る


マストヘッドジェネカーで快走、クラリスフォルテ

 

帰港後、片付けを終え温泉で汗を流します。
アビームのスピントリムで腕がパンパン。力が入りません。
膝やすねにも擦り傷ができて、湯が傷に沁みます。
「あ〜、久しぶりにレースしたなあ〜」という充実感はあるものの、最後に逃げ切れなかった悔しさと、前にフィニッシュした3艇との時間差が気になります。

夕方からいつものヒットパレードクラブでの表彰式兼アフターパーティーが開催されました。
レースの順位は昇順で発表されていき、5位で呼ばれることはなかった。
4位・・・、3位・・・。

もし、レーティング表どおりなら次は・・・

2位 「ホワイトホーク」

「あ〜、やっぱりかぁ〜」

絶対スピードのある艇がリコールしたり、無風地帯に突っ込んで失速したりというラッキーで転がり込んできたような勝機でしたが、これもまたヨットレース。
レース委員会が決定したレーティングには少々疑問がありましたが、準優勝という結果には満足です。

「ホワイトホーク」に乗ってくださった皆さん、本当にお疲れさまでした。
次回はがんばりましょう!!

 

順位 着順 船名 艇種 船籍 TCF 所要時間 修正時間
1 4 クラリスフォルテ YAMAHA31F 西宮

0.76

2h54m49s 7971.64
2 5 ホワイトホーク YAMAHA31S 宇和島 0.76 2h54m56s 7976.96
3 2 シェンロン ジャノー35OD 長崎 0.80 2h47m16s 8028.8
4 3 ユリカゴン J/V9.6CR 北九州 0.80 2h48m01s 8064.8
5 1 海道 ネルソンマレックILC30 福岡芦屋 0.81 2h46m18s 8082.18
6 7 パル YAMAHA31F 高知 0.77 3h03m14s 8465.38
7 8 Daisy YAMAHA31S 大分 0.76 3h06m37s 8509.72
8 9 SUNSHINE V ブリアン32 倉敷 0.74 3h11m43s 8512.22
9 10 Satindoll OKAZAKI32 別府 0.74 3h12m27s 8544.78
10 6 悟空 ババリア38マッチ 室津 0.82 2h56m21s 8676.42
公式成績表 参加46艇