児童福祉論問題
問題101 我が国の少子高齢社会の動向に関する次の記述のうち,適切なものに○,適切でないものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 小さな変動はあるものの,ここ20年間,合計特殊出生率はほぼ低下傾向にあり,平成16年には1.29となっている。
B 第二次世界大戦以後の年間出生数は,第一次ベビーブームのころが270万人程度,第二次ベビーブームのころが210万人程度であったが,平成12年前後には100万人程度で横ばいとなり,平成16年にはついに100万人を下回った。
C 昭和25年時点における年少人口(0〜14歳)は,老年人口(65歳以上)の7倍以上であった。
D 最近の日本の合計特殊出生率は,韓国,ドイツ,イタリア,フランスなどと同水準であり,先進諸国の中でも最も低い水準にある。
1 ○ × ○ ×
2 ○ × × ○
3 × ○ ○ ×
4 × ○ × ×
5 × × ○ ○
問題102 児童の権利に関する条約に見られる児童観として,適切なものに○,適切でないものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 児童の最善の利益という考え方は,児童の権利に関する条約で初めて明らかにされた。
B 児童の権利に関する条約は,児童の受動的な権利のみならず,能動的な権利も保障しようとしたところに特徴がある。
C 児童の権利に関する条約では,パターナリズムの考え方に基づき,国や保護者の養育にかかわる権利や義務が強調されている。
D 我が国では,児童の権利に関する条約の批准にあたり,児童福祉法の理念をこの条約を尊重した内容に大幅に修正している。
1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ○
3 ○ × × ○
4 × ○ ○ ×
5 × ○ × ×
問題103 次の文章の空欄A,B,C に該当する語句の組み合わせとして,適切なものを一つ選びなさい。
昭和初期には,世界大恐慌,東北,北海道の大凶作の後を受けて多くの社会問題が発生した。親子心中だけでも,大正14年から昭和2年まで311件もあり,実子殺し,貰い子殺し,農村子女の身売り等の悲惨な状況の中で欠食児童は20万を超えていた。こういった状況に対処すべく,昭和4年【
A 】が制定され,生活扶助,……(中略)……助産等が実施され,貧児の施設収容も行われた。昭和8 年には児童虐待防止法,【 B 】が制定され,幼少年の虐待防止を図るとともに,多年の懸案であった要教護児の早期発見に資することとなった。また母子心中,欠食児童の増加等にかんがみ,昭和12年には12歳未満の子を有する貧困母子家庭救済のために,【
C 】が生まれた。
(厚生省児童家庭局編『児童福祉三十年の歩み(抜粋)』昭和53年)
1 恤救規則―感化法―母子保護法
2 救護法―少年教護法―母子保護法
3 救護法―感化法―母子保護法
4 救護法―少年教護法―母子福祉法
5 恤救規則―少年教護法―母子福祉法
問題104 平成16年の児童福祉法の改正(平成16年12月3日法律第153号)により新たに制度化された次の事項のうち,正しいものに○,誤っているものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 家庭裁判所の承認に基づく施設入所措置の場合,家庭裁判所は,当該児童の保護者に対し指導措置を採るように,都道府県へ勧告することができるようになった。
B 児童相談に関し市町村が行う業務を法律上明確化した。
C 家庭裁判所の承認に基づく施設入所等の措置の期限を1 年以内とした。
D 退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことが,児童養護施設の目的として加えられた。
1 ○ ○ × ○
2 ○ × ○ ○
3 ○ × × ×
4 × ○ ○ ×
5 × ○ × ○
問題105 次の記述のうち,正しいものに○,誤っているものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 児童福祉法第48条は,児童養護施設の長に対して,入所中の児童を就学させなければならないと規定している。しかし,児童自立支援施設の長に対しては,入所中の児童を就学させてはならないと規定している。
B 都道府県は,少年法第24条第1項第2号の保護処分の決定を受けた児童については,当該決定に従って児童自立支援施設に入所させる措置(保護者の下から通わせて行うものは除く。)又は児童養護施設に入所させる措置を採らなければならない。
C 罪を犯した満14歳以上の児童を発見した者は,これを家庭裁判所に通告しなければならない。
D 児童福祉法でいう「少年」とは,「小学校就学の始期から,満18歳に達するまでの者」をいうのに対し,少年法でいう「少年」とは,「18歳に満たない者」として定義されている。
1 ○ ○ × ×
2 ○ × ○ ×
3 × ○ ○ ×
4 × ○ × ○
5 × × ○ ○
問題106 児童福祉施設最低基準に関する次の記述のうち,正しいものに○,誤っているものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 保育所には,児童指導員を置かなければならない。
B 児童自立支援施設には,児童生活支援員を置かなければならない。
C 母子生活支援施設には,母子指導員を置かなければならない。
D 乳児院には,児童指導員を置かなければならない。
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ × ○ ×
3 ○ × × ○
4 × ○ ○ ×
5 × ○ × ○
問題107 放課後児童健全育成事業に関する次の記述のうち,正しいものに○,誤っているものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 実施主体は社会福祉法人,市町村に限定されている。
B 授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて,その健全な育成を図る事業である。
C 児童福祉法では,対象は小学生及び中学生であって,その保護者が労働等により昼間家庭にいないものとされている。
D 社会福祉法において,第2種社会福祉事業に規定されている。
1 ○ ○ × ○
2 ○ × ○ ×
3 × ○ ○ ×
4 × ○ × ○
5 × × ○ ○
(児童福祉論 ・事例問題)
虐待を受けた子どもの援助に関する次の事例を読んで,問題108から問題110までについて答えなさい。
〔事例〕
「父親から身体的虐待を繰り返し受けているために,家に帰りたくないとA子(中学1年生,父子家庭)が言っている」との通告が,学校から児童相談所にあった。A子については,以前から,身体的な虐待が疑われるとともに,家に帰らず万引きを頻繁に行っているという情報があり,地区担当のB児童福祉司も何度か面接していた。しかし,虐待を受けていることをA
子自身が認めないため,地元C市役所に事務局がある要保護児童対策地域協議会で,B児童福祉司を含む関係者による協議を行っていた。その結果,児童委員や学校が中心となって,継続的に情報を集めるとともに,A子が虐待を受けていることを認めた場合には,児童福祉法第33条第1項に基づく一時保護を即座に行うという判断をしていた。その後,A子本人が身体的虐待を繰り返し受けていることを認めたこと,本人が家に帰りたくないと言っていること,体にいくつもの青あざがあり,やせ細っているという学校からの報告を考慮し,B児童福祉司は,要保護児童対策地域協議会における判断について,児童相談所長と再確認した。予定通り一時保護を行うという方針を決定した上で,「A子を家に帰さないよう」電話で学校に依頼するとともに,直ちに学校に向かい,A
子と面接し(問題108),一時保護した。そのことをB児童福祉司が父親に伝えると,父親はA子の一時保護に強く反発し,子どもを返すことを要求した。児童相談所における判定会議や援助方針会議での決定に基づいて,B児童福祉司は,一時保護及び児童養護施設等の児童福祉施設への入所の必要性について,父親と3回面接を行ったが,父親との意見の相違を埋めることはできなかった。早期に児童養護施設に入所することが,子どもの最善の利益にかなうと考えた児童相談所は,児童福祉法第28条第1項第1号の申立てを家庭裁判所に行い,家庭裁判所の承認を得てA子を児童養護施設に措置した。入所当初,父親は娘を返すよう執拗に児童養護施設に迫ってきた(問題109)。
施設措置後,A子の生活が安定していることを知り,父親の態度にも変化が見られた。父親は面会に来るようになったが,A子は面会を拒否し続けていた。中学3年生となり,高校進学の話が話題になるようになった10月初旬,施設の担当D児童指導員はA子と面接した。その席上,A子は「高校には行きたくないし,家にも戻りたくない」と言った(問題110)。
問題108 B児童福祉司がこの場面で,A子にかける言葉として,適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。
A 今まで虐待を受けていたことをなぜ黙っていたの。これからは本当のことを言ってくださいね。
B 本当の気持ちを伝えてくれてありがとう。これからのことは,一緒にゆっくり考えましょうね。
C ひどい目にあって,たいへんつらい思いをしたね。でも,万引きをしたのは悪いことだから,これも一緒に直すように頑張りましょうね。
D とてもつらい思いをしていたね。家に帰りたくない気持ちもよくわかりますよ。
1 AC
2 AD
3 BC
4 BD
5 CD
問題109 この場合,児童養護施設が採るべき対応に関する次の記述のうち,適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。
A 児童養護施設の長には,父親の引取りを拒否する権限がないので,家庭復帰に向け準備する。
B 児童養護施設は.父親に対し毅然とした対応に努める。
C 児童養護施設は,必要に応じ警察に対する事前協議を行い,これに基づく連携を取る。
D 児童養護施設は,実親子関係の重要性を認識し,父親とA 子との面会を計画した。
1 AC
2 AD
3 BC
4 BD
5 CD
問題110 この時点でD児童指導員は,A子に対してどのようにかかわるべきか。次の記述のうち,適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。
A A子の「高校に行きたくないし,家にも帰りたくない」という言葉の真意について聴く。
B 制度上,進学しないと退所しなければならないことをA子に伝え,高校進学に向け話合いを行う。
C A子の同意を得て,A子の現時点での思いや意向を父親に伝える。
D 父親とA子を同席させ,中学卒業後どのようにするか一緒に考える,
1 AB
2 AC
3 AD
4 BD
5 CD
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