精神科リハビリテーション学問題



問題21 精神障害者のリハビリテーション計画に関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。

1 非現実的な目標を立てる人については,援助者が代わりに目標を設定する。
2 アセスメントにおいては,問題発見型の評価は行わず本人の強さを評価する。
3 能力が低下している人でも,自立達成のため働くことを目標とする。
4 「ケアガイドライン」の計画策定会議では,利用者本人の参加が原則である。
5 資源開発は,リハビリテーション介入に含めない。


問題22 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」及び関連する通知(平成17 年9 月現在)に定められた社会復帰を目的とした施設及び事業に関して,次の記述のうち正しいものを一つ選びなさい。

1 精神障害者地域生活援助事業は,入所期限2 年のケア付き住居である。
2 精神障害者短期入所事業の利用期間は7 日以内だが,市町村長の判断で必要最小限の範囲で延長を認めている。
3 精神障害者居宅介護等事業の利用対象者は,原則として精神障害を支給事由とする年金を受給するものに限られている。
4 精神障害者地域生活支援センターには,常勤の精神保健福祉士を2 名以上置かなければならない。
5 精神障害者授産施設は,訓練施設なので利用者に工賃の支払いを行ってはいけない。


問題23 次の記述のうち,正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。

A 精神科作業療法は,回復期に至ったことを確認して開始する。
B 行動療法のシェイピングは,好ましい行動を段階的に学習する方法である。
C SST(社会生活技能訓練)では,学習した行動の日常生活への般化を重視する。
D 家族心理教育では,精神分析理論に基づき家族病理について教育する。

1 AB
2 AC
3 BC
4 BD
5 CD


問題24 医療機関における精神科デイ・ケアに関する次の記述のうち,適切でないものを一つ選びなさい。

1 実施時間は,患者1 人当たり1 日につき6 時間を標準とする。
2 利用開始後3 年を超える対象者は,週3 日を超えて利用できない。
3 小規模(1 日30 人を限度)の施設基準は,精神科医師1 人及び専従する2 人の従事者が必要。
4 大規模(1 日50 人を限度)の施設基準は,精神科医師1 人及び専従する3 人の従事者が必要。
5 大規模(1 日70 人を限度)の施設基準は,精神科医師2 人及び専従する4 人の従事者が必要。


問題25 次の職業リハビリテーション事業(平成17 年9 月現在)に関する組み合わせのうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 精神障害者職業自立支援事業―地域障害者職業センター
2 精神障害者ジョブガイダンス事業―地域障害者職業センター
3 精神障害者社会適応訓練事業―公共職業安定所
4 職場適応援助事業―公共職業安定所
5 職場適応訓練事業―地域障害者職業センター


問題26 次の記述のうち,正しいものに○,誤っているものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 平成5 年の精神保健法の一部改正で法律の目的に「自立と社会参加の促進のための援助」が加えられた。
B 平成14 年度に包括的地域生活支援プログラム(ACT)の研究事業が開始された。
C 平成15 年度から「受け入れ条件が整えば退院可能」な入院患者に対し,都道府県及び指定都市が実施主体となって「退院促進支援事業」を実施している。
D 平成16 年に出された「今後の障害保険福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」では,年齢,障害種別,疾病を超えた一元的な体制を都道府県を中心に整備するとされている。

1 ○ ○ ○ ×
2 ○ × ○ ○
3 ○ × × ×
4 × ○ ○ ○
5 × ○ ○ ×



問題27 新障害者プランに関する次の記述のうち,正しいものに○,誤っているものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 以前の障害者プランでは,数値目標が設定されていなかったが,新障害者プランでは設定された。
B 重点施策の一つに,約7 万2 千人の入院患者の退院を目指すことが織り込まれている。
C 障害者に対する生活支援の一環として,ケアマネジメント実施体制の整備等を目指している。
D 「バリアフリー」は段差等の物理的障壁の除去を意味し,心理的な障壁は別の用語が用いられている。

1 ○ ○ ○ ×
2 ○ × ○ ○
3 ○ × × ×
4 × ○ ○ ○
5 × ○ ○ ×



(精神科リハビリテーション学・事例問題)
次の事例を読んで,問題28 から問題30 までについて答えなさい。

〔事 例〕
 S さん(50 歳,女性)。統合失調症。高校卒業後上京し,4 歳年上の会社員の姉とアパート生活。美容師の資格を取得して都内の美容院で働いた。この頃,田舎の両親は相次いで病死。25 歳の時,職場で同僚にいじめにあったのがきっかけで,食欲不振不眠が続き,仕事へ行かずに閉じこもり,近隣への被害妄想を訴えるようになった。心配した姉が近くの精神科を受診させ,医師の説得で入院となった。半年後に退院したが,服薬中断で再発。その後は,自殺企図による入退院を繰り返す。この間,既に遠方に嫁いでいた姉は,自殺企図を心配し,単身生活には反対したという経緯があった。その後,姉との関係も疎遠になり,受け入れ先がないまま20 年が経過している。現在,Sさんの病状は安定している。作業療法には定期的に参加。口数は少ないが面倒見がよく,病棟では他患に頼られる存在である。数年前から,主治医の退院の勧めに対して,「一人暮らしの経験もないし,いまさら不安だ。
 ずっと病院にいたい」と退院には強い抵抗を示していたが,最近,病棟で親しかったOさんがグループホームへ退院。それを契機に,Sさんは病棟担当のG 精神保健福祉士に「病院にいさせてください。追い出さないでくださいね」と言いつつ,「グループホームってどんなところですか」と繰り返し質問するようになった。(問題28)
外来に来るたび,Sさんのところに立ち寄って,地域で暮らす楽しさを語るOさんの様子が刺激になり,「私もOさんのように退院できるかな。いろいろ心配だけど,退院してみたい」とS さん。G 精神保健福祉士は,主治医と相談し,Sさんの退院計画を立案することにした。(問題29)
 本人の了承を得て,姉にも経過を連絡したところ退院に同意。G 精神保健福祉士の立案した退院計画を会議で検討することになった。この会議には本人も参加。S さんは「いずれはアパートで一人暮らしがしたい」と退院に向けて意欲や希望を持ち始めている。(問題30)


問題28 この時期のSさんへのG 精神保健福祉士の対応として適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。
A 主治医と連携しながら,Sさんの不安を軽減し,退院への動機付けをするために話を聞く機会を作る。
B Sさんは「ずっと病院にいたい」と意思表示しているのだから,Sさんの自己決定を尊重する。
C 既に退院した人の地域生活の具体的な話を聞く会や,社会復帰施設の見学を企画する。
D 唯一の身内である姉に連絡を取り,Sさんの安定した状況を伝え,退院を説得してもらうよう協力をお願いする。

1 AB
2 AC
3 BC
4 BD
5 CD


問題29 G精神保健福祉士の対応のうち,適切なものに○,適切でないものに×つけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 地域生活に向け,社会復帰施設の空き状況に関する情報収集などを行う。
B 普段からかかわっている病棟スタッフや作業療法士から,SさんのIADL(手段的日常生活動作)に関する情報を収集する。
C Sさんは病院の行事以外,ほとんど外出していなかったが,院外での買物を希望しているので,買物に同行する計画を立てる。
D 社会生活能力を高めるためには,病院の中だけでは困難なので,直ちにアパート探しを計画する。

1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ ○ ○
5 × × × ○


問題30 次の社会復帰施設や事業などのうち,Sさんが将来アパート生活に移行した場合,利用する可能性のないものを一つ選びなさい。

1 精神障害者地域生活支援センター
2 精神科訪問看護
3 精神障害者居宅介護等事業
4 地域包括支援センター
5 精神障害者生活訓練施設







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