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介護保険制度では、自分自身に適した介護サービスを自ら選択・決定することができ、また、在宅サービスについては、民間事業者やNPO法人もサービスを提供できる。
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このような仕組みの下では、事業者間の競争を通じたサービスの質の向上が期待されるが、そのためには、利用者がサービスを選択・決定するために必要な情報が十分にあることが必要である。 |
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介護サービスの「自立支援の効果」を評価する具体的な尺度は研究段階であるため、サービスの質に関する情報が十分に存在していない。
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質の高いサービスが選択され、事業者自身も質の向上のために自己努力することができるよう、自立支援の効果の評価手法の確立が求められる。
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具体的には、現在、痴呆性高齢者グループホームについて実施している外部評価の仕組みを他のサービスにも早期に導入することが必要である。 |
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利用者のサービスの選択を支え、適切なサービス利用を確保するためのケアマネジメントは、利用者の立場に立って公正に行われることが必要。
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適切なサービスが提供されるためには、利用者自らサービス内容等について意思表明を行うことも必要であるが、その個性や周辺の人との関係から意思表明しにくい状況にある者も少なくない。
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現在、市町村において利用者と事業者の間をつなぐ「介護相談員の派遣」が行われているが、今後は、ボランティア、地域住民を活用し、利用者の意思表明に対する支援を充実していくことが望まれる。
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また、成年後見制度など本人の意思決定を補完する仕組みを利用しやすくすることも必要である。特に、これらの仕組みを必要とする高齢者を把握しやすい市町村の取組の充実が求められる。 |
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「ケアの標準化」は、効果的なケアの提供・選択を可能にするなど、サービス水準の確保・向上に寄与するものであるが、現在は、「ケアの標準化」が十分になされていない。
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「ケアの標準化」のためにも、高齢者ケアを科学的アプローチにも耐えうる専門領域として確立していくことが求められる。 |
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営利・非営利を問わず、介護サービス事業者には、公益性の高い
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介護サービスは人間の尊厳や人権に関わるサービスである |
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介護保険は高齢者・現役世代・事業主・国・地方公共団体など、様々な主体が保険料や税という形で財源を支えている。 |
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「公的制度と公的財源によって支えられた市場」である介護サービス市場の特性にふさわしい事業者の行動規範、適切な事業経営のあり方、経営モデルの確立が強く求められる。 |
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利用者側にサービスに関する情報がないこともあり、劣悪なサービスが競争により淘汰されているとは言い難く、事実、劣悪な事業者による問題事例は後を絶たない。
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劣悪な事業者を放置することは、利用者である高齢者に回復不能のダメージを与えることとなりかねない。劣悪な事業者は、市場の競争による淘汰を待つまでもなく、迅速に市場から排除することが必要である。
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現在、都道府県による指定取消処分があるが、指定を取り消されても保険外の事業を行うことは可能である。また、市町村には不正請求の返還命令権限があるが、サービス面に関する関与(規制)を行うことは予定されていない。 |
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ユニットケアの普及など介護サービスに求められる質は高度化していく傾向にあり、これまで以上に、介護サービスを支える人材の資質の確保・向上は重要な課題。
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優秀な人材を確保、育成していくためには、介護現場に高い魅力を持たせること、適時適切な教育研修の体系化、スキル向上の仕組み、従業者としての要件化などを図るべきである。 |
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介護保険の給付対象は、専門的評価に基づいた「自立支援に必要なもの」でなければならない。
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他方、高齢者の生活様式や嗜好の多様化などにより、いわゆる贅沢なサービスや個人の嗜好に合わせたサービスへの需要は増えるものと考えられる。
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今後は、このような介護保険の対象とならないサービスを提供する市場やボランティアの助け合いの場の形成も求められることとなる。 |
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