障害高齢者及び認知症高齢者の日常生活自立度(寝た
きり度)判定基準
生 活 自 立 |
ランクJ |
何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する。 1 交通機関等を利用して外出する 2 隣近所へなら外出する |
準 寝 た き り |
ランクA |
屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしには外出しない 1 介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する 2 外出の頻度が少なく、日中も寝たきりの生活をしている |
寝 た き り |
ランクB |
屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド状での生活が主体であるが座位を保つ 1 車椅子に移乗し、食事、排泄はベッドから離れて行う 2 介助により車椅子に移乗する |
ランクC |
1日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替において介助を要する 1 自力で寝返りをうつ 2 自力で寝返りもうたない |
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期 間 |
ランクA、B、Cに該当するものについては、いつからその状態に至ったか 年 月頃より(継続期間 年 ヵ月間) |
※ 判定にあたっては、補装具や自助具等の器具を使用した状態であっても差し支えない。
「ADL(日常生活活動)の状況」
1 移動
a 時間がかかっても介助なしに一人で歩く
b 手を貸してもらうなど一部介助を要する
c 全面的に介助を要する
2 食事
a やや時間がかかっても介助なしに食事をする
b おかずを刻んでもらうなど一部介助を要する
c 全面的に介助を要する
3 排泄
a やや時間がかかっても介助なしに一人で行える
b 便器に座らせてもらうなど一部介助を要する
c 全面的に介助を要する
4 入浴
a やや時間がかかっても介助なしに一人で行える
b 体を洗ってもらうなど一部介助を要する
c 全面的に介助を要する
5 着替
a やや時間がかかっても介助なしに一人で行える
b そでを通してもらうなど一部介助を要する
c 全面的に介助を要する
6 整容(身だしなみ)
a やや時間がかかっても介助なしに自由に行える
b タオルで顔を拭いてもらうなど一部介助を要する
c 全面的に介助を要する
7 意思疎通
a 完全に通じる
b ある程度通じる
c ほとんど通じない
※ 判定にあたっては、補装具や自助具等の器具を使用した状態であっても差し支えない。
判定にあたっての留意事項
1 この判定基準は、地域や施設等の現場において、保健婦等が何らかの障害を有する高齢者の日常生活自立度を客観的かつ短時間に判定することを目的として
作成したものである。
2 判定に際しては「〜をすることができる」といった「能力」の評価ではなく「状態」、特に「移動」に関わる状態像に着目して、日常生活の自立の程度を4
段階にランク分けすることで評価するものとする。なお、本基準においては何らか障害を持たない、いわゆる健常老人は対象としていない。
3 自立度の判定と併せて、市町村が保健・福祉サービスの供給量を測定するための基礎資料とするため「移動」、「食事」、「排泄」、「入浴」、「着替」、
「整容(身だしなみ)」、「意思疎通」といった個人の日常生活活動(ADL)に関する項目についても判定する。
4 補装具、自助具、杖や歩行器、車椅子等を使用している状態で判定しても差し支えない。
5 4段階の各ランクに関する留意事項は以下のとおりである。
ランクJ
何らかの身体的障害は有するが、日常生活はほぼ自立し、一人で外出する者が該当する。なお「障害等」とは、疾病や障害及びそれらの後遺症あるいは老衰に
より生じた身体機能の低下をいう。
J−1はバス、電車等の公共交通機関を利用して積極的にまた、かなり遠くまで外出する場合が該当する。
J−2は隣近所への買い物や老人会等への参加等、町内の距離程度の範囲までなら外出する場合が該当する。
ランクA
「準寝たきり」に分類され、「寝たきり予備軍」ともいうべきグループであり、いわゆるhouse-boundに相当する。屋内での日常生活活動のうち食
事、排泄、着替に関しては概ね自分で行い、留守番等をするが、近所に外出するときは介護者の援助を必要とする場合が該当する。なお、「ベッドから離れてい
る」とは「離床」のことであり、ふとん使用の場合も含まれるが、ベッドの使用は本人にとっても介護者にとっても有用であり普及が図られているところでもあ
るので、奨励的意味からベッドという表現を使用した。
A−1は寝たり起きたりはしてはいるものの食事、排泄、着替時はもとより、その他の日中時間帯もベッドから離れている時間が長く、介護者がいればその介
助のもと、比較的多く外出する場合が該当する。
A−2は日中時間帯、寝たり起きたりの状態にはあるもののベッドから離れている時間の方が長いが、介護者がいてもまれにしか外出しない場合が該当する。
ランクB
「寝たきり」に分類されるグループであり、いわゆるchair-boundに相当する。B−1とB−2とは座位を保つことを自力で行うか介助を必要とす
るかどうかで区分する。日常生活のうち、食事、排泄、着替のいずれかにおいては、部分的に介護者の援助を必要とし、1日の大半をベッドの上で過ごす場合が
該当する。排泄に関しては、夜間のみ「おむつ」をつける場合には、介助を要するものとはみなさない。なお、「車椅子」は一般の椅子や、ポータブルトイレ等
で読み替えても差し支えない。
B−1は介助なしに車椅子に移乗し、食事も排泄もベッドから離れて行う場合が該当する。
B−2は介助のもと、車椅子に移乗し、食事または排泄に関しても、介護者の援助を必要とする。
ランクC
ランクBと同様、「寝たきり」に分類されるが、ランクBより障害の程度が思い者のグループであり、いわゆるbed-boundに相当する。日常生活活動
の食事、排泄、着替のいずれかにおいても介護者の援助を全面的に必要とし、1日中ベッドの上で過ごす。
C−1はベッドの上で常時臥床している場合が該当する。
C−2は自力で寝返りをうつこともなく、ベッド上で常時臥床している場合が該当する。
6 「ADLの状況」はa、b、cの3段階に分類し、それぞれ自立、一部介助、全面介助に相当するものである。
aは日常生活活動の当該項目について自立していることを表す。すなわち極端には長くない時間内に、一連の動作が介助なしに一人で終了できる場合が該当す
る。
bは日常生活活動の当該項目について部分的に介助してもらえれば何とかなる場合が該当する。一人で行った場合に極端に時間がかかり、仕上がりが不完全と
なる場合も含む。
cは日常生活活動の当該項目について、一人では一連の動作を遂行することが全くできない場合が該当する。
認知症老人の日常生活自立度判定基準
ランク |
判定基準 |
見られる症状・ |
判定にあたっての留意事項及び |
1 |
何らかの認知症(痴呆)を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している。 |
在宅生活が基本であり、一人暮しも可能である。相談、指導等を実施することにより、症状の改善や進行の阻止を図る。 |
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2 |
日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる。 |
在宅生活が基本であるが、一人暮しは困難な場合もあるので、訪問指導を実施したり、日中の在宅サービスを利用することにより、在宅生活
の支援と症状の改善及び進行の阻止を図る。 |
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2a |
家庭外で上記2の状態が見られる。 |
たびたび道に迷うとか、買物や事務、金銭管理などそれまでできたことにミスがめだつ等 |
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2b |
服薬管理ができない、電話の応対や訪問者との応対など一人で留守番ができない等 |
||
3 |
日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さがときどきみられ、介護を必要とする。 |
日常生活に支障を来すような行動や意思疎通の困難さがランク2より重度となり、介護が必要となる状態である。 |
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3a |
日中を中心として上記3の状態が見られる。 |
着替え、食事、排便・排尿が上手にできない・時間がかかる、やたらに物を口に入れる、物を拾い集める、徘徊、失禁、大声・奇声をあげ る、火の不始末、不潔行為、性的異常行為等 |
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3b |
夜間を中心として上記3の状態が見られる |
ランク3aに同じ |
|
4 |
日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする。 |
ランク3に同じ |
常に目を離すことができない状態である。症状・行動はランク3と同じであるが、頻度の違いにより区分される。 |
5 |
著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする。 |
せん妄、妄想、興奮、自傷・他害等の精神症状や精神症状に起因する問題行動が継続する状態等 |
ランク1〜4と判定されていた高齢者が、精神病院や認知症(痴呆)専門棟を有する老人保健施設等での治療が必要となったり、重篤な身体 疾患が見られ老人病院等での治療が必要となった状態である。専門医療機関を受診するよう勧める必要がある。 |