社会福祉士会の倫理綱領


1995年1月20日に本会の倫理綱領として採択した「ソーシャルワーカーの倫理綱領」を改訂し、
2005年6月3日に開催した第10回通常総会にて採択したものです。

尚、無断引用及び転載は禁止ということなので使用に関しては個人の範囲内でお願いします。


<社会福祉士の倫理綱領>
前文
 われわれ社会福祉士は、すべての人が人間としての尊厳を有し、価値ある存在であり、平等であることを深く認識する。われわれは平和を擁護し、人権と社会正義の原理に則り、サービス利用者本位の質の高い福祉サービスの開発と提供に努めることによって、社会福祉の推進とサービス利用者の自己実現をめざす専門職であることを言明する。
 われわれは、社会の進展に伴う社会変動が、ともすれば環境破壊及び人間疎外をもたらすことに着目する時、この専門職がこれからの福祉社会にとって不可欠の制度であることを自覚するとともに、専門職社会福祉士の職責についての一般社会及び市民の理解を深め、その啓発に努める。
 
 われわれは、われわれの加盟する国際ソーシャルワーカー連盟が採択した、次の「ソーシャルワークの定義」(2000年7月)を実践に適用され得るものとして認識し、その実践の拠り所とする。


<ソーシャルワークの定義>
  ソーシャルワーク専門職は、人間の福祉(ウェルビーイング)の増進を目指して、社会の変革を進め、人間関係における問題解決を図り、人々のエンパワーメントと解放を促していく。ソーシャルワークは人間の行動と社会システムに関する理論を利用して、人びとがその環境と相互にに影響し合う接点に介入する。人権と社会正義の原理は、ソーシャルワークの拠り所とする基盤である。
(IFSW;2000.7.)
 われわれは、ソーシャルワークの知識、技術の専門性と倫理性の維持、向上が専門職の職責であるだけでなく、サービス利用者は勿論、社会全体の利益に密接に関連していることを認識し、本綱領を制定してこれを遵守することを誓約する者により、専門職団体を組織する。


<価値と原則>
1(人間の尊厳)
  社会福祉士は、すべての人間を、出自、人種、性別、年齢、身体的精神的状況、宗教的文化的背景、社会的地位、経済状況等の違いにかかわらず、かけがえのない存在として尊重する。
2(社会正義)
  差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などの無い、自由、平等、共生に基づく社会正義の実現を目指す。
3(貢献)
  社会福祉士は、人間の尊厳の尊重と社会正義の実現に貢献する。
4(誠実)
  社会福祉士は、本倫理綱領に対して常に誠実である。
5(専門的力量)
  社会福祉士は、専門的力量を発揮し、その専門性を高める。


<倫理基準>
1)利用者に対する倫理責任
1. (利用者との関係)社会福祉士は、利用者との専門的援助関係を最も大切にし、それを自己の利益のために利用しない。
2. (利用者の利益の最優先)社会福祉士は、業務の遂行に際して、利用者の利益を最優先に考える。
3. (受 容)社会福祉士は、自らの先入観や偏見を排し、利用者をあるがままに受容する。
4. (説明責任)社会福祉士は、利用者に必要な情報を適切な方法・わかりやすい表現を用いて提供し、利用者の意思を確認する。
5. (利用者の自己決定の尊重)社会福祉士は、利用者の自己決定を尊重し、利用者がその権利を十分に理解し、活用していけるように援助する。
6. (利用者の意思決定能力への対応)社会福祉士は、意思決定能力の不十分な利用者に対して、常に最善の方法を用いて利益と権利を擁護する。
7. (プライバシーの尊重)社会福祉士は、利用者のプライバシーを最大限に尊重し、関係者から情報を得る場合、その利用者から同意を得る。
8. (秘密の保持)社会福祉士は、利用者や関係者から情報を得る場合、業務上必要な範囲にとどめ、その秘密を保持する。秘密の保持は、業務を退いた後も同様とする。
9. (記録の開示)社会福祉士は、利用者から記録の開示の要求があった場合、本人に記録を開示する。
10. (情報の共有)社会福祉士は、利用者の援助のために利用者に関する情報を関係機関・関係職員と共有する場合、その秘密を保持するよう最善の方策を用いる。
11. (性的差別、虐待の禁止)社会福祉士は、利用者に対して、性別、性的指向等の違いから派生する差別やセクシュアル・ハラスメント、虐待をしない。
12. (権利侵害の防止)社会福祉士は、利用者を擁護し、あらゆる権利侵害の発生を防止する。

2)実践現場における倫理責任
1. (最良の実践を行う責務)社会福祉士は、実践現場において、最良の業務を遂行するために、自らの専門的知識・技術を惜しみなく発揮する。
2. (他の専門職等との連携・協働)社会福祉士は、相互の専門性を尊重し、他の専門職等と連携・協働する。
3. (実践現場と綱領の遵守)社会福祉士は、実践現場との間で倫理上のジレンマが生じるような場合、実践現場が本綱領の原則を尊重し、その基本精神を遵守するよう働きかける。
4. (業務改善の推進)社会福祉士は、常に業務を点検し評価を行い、業務改善を推進する。

3)社会に対する倫理責任
1. (ソーシャル・インクルージョン)社会福祉士は、人々をあらゆる差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などから守り、包含的な社会を目指すよう努める。
2. (社会への働きかけ)社会福祉士は、社会に見られる不正義の改善と利用者の問題解決のため、利用者や他の専門職等と連帯し、効果的な方法により社会に働きかける。
3. (国際社会への働きかけ)社会福祉士は、人権と社会正義に関する国際的問題を解決するため、全世界のソーシャルワーカーと連帯し、国際社会に働きかける。

4).専門職としての倫理責任
1. (専門職の啓発)社会福祉士は、利用者・他の専門職・市民に専門職としての実践を伝え社会的信用を高める。
2. (信用失墜行為の禁止)社会福祉士は、その立場を利用した信用失墜行為を行わない。
3. (社会的信用の保持)社会福祉士は、他の社会福祉士が専門職業の社会的信用を損なうような場合、本人にその事実を知らせ、必要な対応を促す。
4. (専門職の擁護)社会福祉士は、不当な批判を受けることがあれば、専門職として連帯し、その立場を擁護する。
5. (専門性の向上)社会福祉士は、最良の実践を行うために、スーパービジョン、教育・研修に参加し、援助方法の改善と専門性の向上を図る。
6. (教育・訓練・管理における責務)社会福祉士は教育・訓練・管理に携わる場合、相手の人権を尊重し、専門職としてのよりよい成長を促す。
7. (調査・研究)社会福祉士は、すべての調査・研究過程で利用者の人権を尊重し、倫理性を確保する。


<社会福祉士の行動規範>
 この「社会福祉士の行動規範」は、「社会福祉士の倫理綱領」に基づき、社会福祉士が社会福祉実践において従うべき行動を示したものである。
1) .利用者に対する倫理責任

1.利用者との関係
1−1. 社会福祉士は、利用者との専門的援助関係についてあらかじめ利用者に説明しなければならない。
1−2. 社会福祉士は、利用者と私的な関係になってはならない。
1−3. 社会福祉士は、いかなる理由があっても利用者およびその関係者との性的接触・行動をしてはならない。
1−4. 社会福祉士は、自分の個人的・宗教的・政治的理由のため、または個人の利益のために、不当に専門的援助関係を利用してはならない。
1−5. 社会福祉士は、過去または現在の利用者に対して利益の相反する関係になることが避けられないときは、利用者を守る手段を講じ、それを利用者に明らかにしなければならない。
1−6. 社会福祉士は、利用者との専門的援助関係とともにパートナーシップを尊重しなければならない。

2.利用者の利益の最優先
2−1. 社会福祉士は、専門職の立場を私的なことに使用してはならない。
2−2. 社会福祉士は、利用者から専門職サービスの代償として、正規の報酬以外に物品や金銭を受けとってはならない。
2−3. 社会福祉士は、援助を継続できない何らかの理由がある場合、援助を継続できるように最大限の努力をしなければならない。

3.受 容
3−1. 社会福祉士は、利用者に暖かい関心を寄せ、利用者の立場を認め、利用者の情緒の安定を図らなければならない。
3−2. 社会福祉士は、利用者を非難し、審判することがあってはならない。
3−3. 社会福祉士は、利用者の意思表出をはげまし支えなければならない。

4.説明責任
4−1. 社会福祉士は、利用者の側に立ったサービスを行う立場にあることを伝えなければならない。
4−2. 社会福祉士は、専門職上の義務と利用者の権利を説明し明らかにした上で援助をしなければならない。
4−3. 社会福祉士は、利用者が必要な情報を十分に理解し、納得していることを確認しなければならない。

5.利用者の自己決定の尊重
5−1. 社会福祉士は、利用者が自分の目標を定めることを支援しなければならない。
5−2. 社会福祉士は、利用者が選択の幅を広げるために、十分な情報を提供しなければならない。
5−3. 社会福祉士は、利用者の自己決定が重大な危険を伴う場合、あらかじめその行動を制限することがあることを伝え、そのような制限をした場合には、その理由を説明しなければならない。

6.利用者の意思決定能力への対応
6−1. 社会福祉士は、利用者の意思決定能力の状態に応じ、利用者のアドボカシーに努め、エンパワメントを支援しなければならない。
6−2. 社会福祉士は、自分の価値観や援助観を利用者に押しつけてはならない。
6−3. 社会福祉士は、常に自らの業務がパターナリズムに陥らないように、自己の点検に務めなければならない。
6−4. 社会福祉士は、利用者のエンパワメントに必要な社会資源を適切に活用しなければならない。

7.プライバシーの尊重
7−1. 社会福祉士は、利用者が自らのプライバシー権を自覚するように働きかけなければならない。
7−2. 社会福祉士は、利用者の個人情報を収集する場合、その都度利用者の了解を得なければならない。
7−3. 社会福祉士は、問題解決を支援する目的であっても、利用者が了解しない場合は、個人情報を使用してはならない。

8.秘密の保持
8−1. 社会福祉士は、業務の遂行にあたり、必要以上の情報収集をしてはならない。
8−2. 社会福祉士は、利用者の秘密に関して、敏感かつ慎重でなければならない。
8−3. 社会福祉士は、業務を離れた日常生活においても、利用者の秘密を保持しなければならない。
8−4. 社会福祉士は、記録の保持と廃棄について、利用者の秘密が漏れないように慎重に対応しなければならない。

9.記録の開示
9−1. 社会福祉士は、利用者の記録を開示する場合、かならず本人の了解を得なければならない。
9−2. 社会福祉士は、利用者の支援の目的のためにのみ、個人情報を使用しなければならない。
9−3. 社会福祉士は、利用者が記録の閲覧を希望した場合、特別な理由なくそれを拒んではならない。

10.情報の共有
10−1. 社会福祉士は、利用者の情報を電子媒体等により取り扱う場合、厳重な管理体制と最新のセキュリティに配慮しなければならない。
10−2. 社会福祉士は、利用者の個人情報の乱用・紛失その他あらゆる危険に対し、安全保護に関する措置を講じなければならない。
10−3. 社会福祉士は、電子情報通信等に関する原則やリスクなどの最新情報について学ばなければならない。

11.性的差別、虐待の禁止
11−1. 社会福祉士は、利用者に対して性的差別やセクシュアル・ハラスメント、虐待を行ってはならない。
11−2. 社会福祉士は、利用者に対して肉体的・精神的損害または苦痛を与えてはならない。
11−3. 社会福祉士は、利用者が暴力や性的搾取・虐待の対象となっている場合、すみやかに発見できるよう心掛けなければならない。
11−4. 社会福祉士は、性的差別やセクシュアル・ハラスメント、虐待に対する正しい知識を得るよう学ばなければならない。

12.権利侵害の防止
12−1. 社会福祉士は、利用者の権利について十分に認識し、敏感かつ積極的に対応しなければならない。
12−2. 社会福祉士は、利用者の権利侵害を防止する環境を整え、そのシステムの構築に努めなければならない。
12−3. 社会福祉士は、利用者の権利侵害の防止についての啓発活動を積極的に行わなければならない。


2) .実践現場における倫理責任

1.最良の実践を行う責務
1−1. 社会福祉士は、専門職としての使命と職責の重要性を自覚し、常に専門知識を深め、理論と実務に精通するように努めなければならない。
1−2. 社会福祉士は、専門職としての自律性と責任性が完遂できるよう、自らの専門的力量の向上をはからなければならない。
1−3. 社会福祉士は、福祉を取り巻く分野の法律や制度等関連知識の集積に努め、その力量を発揮しなければならない。


2.他の専門職等との連携・協働
2−1. 社会福祉士は、所属する機関内部での意思疎通が円滑になされるように積極的に働きかけなければならない。
2−2. 社会福祉士は、他の専門職と連携し、所属する機関の機構やサービス提供の変更や開発について提案しなければならない。
2−3. 社会福祉士は、他機関の専門職と連携し協働するために、連絡・調整の役割を果たさなければならない。

3.実践現場と綱領の遵守
3−1. 社会福祉士は、社会福祉士の倫理綱領を実践現場が熟知するように働きかけなければならない。
3−2. 社会福祉士は、実践現場で倫理上のジレンマが生じた場合、倫理綱領に照らして公正性と一貫性をもってサービス提供を行うように努めなければならない。
3−3. 社会福祉士は、実践現場の方針・規則・手続き等、倫理綱領に反する実践を許してはならない。

4.業務改善の推進
4−1. 社会福祉士は、利用者の声に耳を傾け苦情の対応にあたり、業務の改善を通して再発防止に努めなければならない。
4−2. 社会福祉士は、実践現場が常に自己点検と評価を行い、他者からの評価を受けるように働きかけなければならない。

3) .社会に対する倫理責任

1.ソーシャル・インクルージョン
1−1. 社会福祉士は、特に不利益な立場にあり、抑圧されている利用者が、選択と決定の機会を行使できるように働きかけなければならない。
1−2. 社会福祉士は、利用者や住民が社会の政策・制度の形成に参加することを積極的に支援しなければならない。
1−3. 社会福祉士は、専門的な視点と方法により、利用者のニーズを社会全体と地域社会に伝達しなければならない。

2.社会への働きかけ
2−1. 社会福祉士は、利用者が望む福祉サービスを適切に受けられるように権利を擁護し、代弁活動を行わなければならない。
2−2. 社会福祉士は、社会福祉実践に及ぼす社会政策や福祉計画の影響を認識し、地域福祉の増進に積極的に参加しなければならない。
2−3. 社会福祉士は、社会における意思決定に際して、利用者の意思と参加が促進されるよう支えなければならない。
2−4. 社会福祉士は、公共の緊急事態に対して可能な限り専門職のサービスを提供できるよう、臨機応変な活動への貢献ができなければならない。

3.国際社会への働きかけ
3−1. 社会福祉士は、国際社会において、文化的社会的差異を尊重しなければならない。
3−2. 社会福祉士は、民族、人種、国籍、宗教、性別、障害等による差別と支配をなくすための国際的な活動をささえなければならない。
3−3. 社会福祉士は、国際社会情勢に関心をもち、精通するよう努めなければならない。

4) .専門職としての倫理責任

1.専門職の啓発
1−1. 社会福祉士は、対外的に社会福祉士であることを名乗り、専門職としての自覚を高めなければならない。
1−2. 社会福祉士は、自己が獲得し保持している専門的力量を利用者・市民・他の専門職に知らせるように努めなければならない。
1−3. 社会福祉士は、個人としてだけでなく専門職集団としても、責任ある行動をとり、その専門職の啓発を高めなければならない。

2.信用失墜行為の禁止
2−1. 社会福祉士は、社会福祉士としての自覚と誇りを持ち、社会的信用を高めるよう行動しなければならない
2−2. 社会福祉士は、あらゆる社会的不正行為に関わってはならない。

3.社会的信用の保持
3−1. 社会福祉士は、専門職業の社会的信用をそこなうような行為があった場合、行為の内容やその原因を明らかにし、その対策を講じるように努めなければならない。
3−2. 社会福祉士は、他の社会福祉士が非倫理的な行動をとった場合、必要に応じて関係機関や日本社会福祉士会に対し適切な行動を取るよう働きかけなければならない。
3−3. 社会福祉士は、信用失墜行為がないように互いに協力し、チェック機能を果たせるよう連携を進めなければならない。

4.専門職の擁護
4−1. 社会福祉士は、社会福祉士に対する不当な批判や扱いに対し、その不当性を明らかにし、社会にアピールするなど、仲間を支えなければならない。
4−2. 社会福祉士は、不当な扱いや批判を受けている他の社会福祉士を発見したときは、一致してその立場を擁護しなければならない。
4−3. 社会福祉士は、社会福祉士として不当な批判や扱いを受けぬよう日頃から自律性と倫理性を高めるために密に連携しなければならない。

5.専門性の向上
5−1. 社会福祉士は、研修・情報交換・自主勉強会等の機会を活かして、常に自己研鑽に努めなければならない。
5−2. 社会福祉士は、常に自己の専門分野や関連する領域に関する情報を収集するよう努めなければならない。
5−3. 社会福祉士は、社会的に有用な情報を共有し合い、互いの専門性向上に努めなければならない。

6.教育・訓練・管理における責務
6−1. スーパービジョンを担う社会福祉士は、その機能を積極的に活用し、公正で誠実な態度で後進の育成に努め社会的要請に応えなければならない。
6−2. コンサルテーションを担う社会福祉士は、研修会や事例検討会等を企画し、効果的に実施するように努めなければならない。
6−3. 職場のマネジメントを担う社会福祉士は、サービスの質・利用者の満足・職員の働きがいの向上に努めなければならない。
6−4. 業務アセスメントや評価を担う社会福祉士は、明確な基準に基づき評価の判断をいつでも説明できるようにしなければならない。
6−5. 社会福祉教育を担う社会福祉士は、次世代を担う人材養成のために、知識と情熱を惜しみなく注がなければならない。

7.調査・研究
7−1. 社会福祉士は、社会福祉に関する調査研究を行い、結果を公表する場合、その目的を明らかにし、利用者等の不利益にならないよう最大限の配慮をしなければならない。
7−2. 社会福祉士は、事例研究にケースを提供する場合、人物を特定できないように配慮し、その関係者に対し事前に承認を得なければならない。



<私たちのやくそく〜信頼される介護支援専門員になるために〜>
 2001年6月、第9回日本社会福祉士会全国大会において、「社会福祉士である自分たちの責務をもう一度問い直そう」という趣旨の大会宣言がなされました。
 この全国大会の1カ月前に、和歌山県で介護支援専門員による殺人事件が発生していたことから、大会宣言を具体化する取り組みの1つとして、本会は「私たちのやくそく」を作成し、2002年5月31日に開催した本会第7回通常総会において報告しました。
 本会会員の社会福祉士は「(社)日本社会福祉士会の倫理綱領」を遵守して行動し、権利擁護を推進する社会福祉専門職として、さまざまな場所で利用者と接しています。
 「私たちのやくそく」は、介護支援専門員の業務に携わる会員の社会福祉士に対して、その責任と役割を自覚し、利用者に誠実に援助を提供していくことの重要性を再確認していこうと呼びかけるものです。



<私たちのやくそく〜信頼される介護支援専門員になるために〜>

1 私たちは、利用者の自立生活の実現を支援します。
介護支援専門員は、利用者の「自立支援」を目標として、介護サービスなどの調整や社会資源の活用をすすめたり、他の法律や制度に基づくサービスを紹介・あっせんしたりすることが役割です。
2 私たちは、利用者の自己決定を尊重し、その実現を支援します。
利用者の「自己決定」は、すべての基本です。自己決定したことをどのように実現するか、実現が困難であれば何が原因なのか、問題なのかを明らかにすることは介護支援専門員の役割です。
3 私たちは、利用者の自己決定に必要な情報を誠意をもって提供します。
利用者が自己決定するためには、適切な情報が必要です。利用者自身に関すること、社会資源に関することなど、利用者が現状で利用者なりに判断をすることができるようにすることは権利擁護の基本です。
4 私たちは、利用者の声を謙虚に受けとめ、敬意をもって尊重します。
利用者の疑問、不安、不満、苦情などは、利用者が自立して安心できる生活を営むことを損なう原因の一つです。それらに一つ一つ的確に応えていくことは、介護支援専門員がサービス提供する上で必要なことだけでなく、利用者の基本的な権利を守ることにもつながります。
5 私たちは、利用者の納得と承諾を得てサービスの提供と調整をします。
生活するのは利用者自身であり、いくらよいと思われるサービスを提供しても、利用者が納得できなければ、望ましい自立生活を営むことはできません。利用者が自ら利用するサービスを理解し、承諾することは、主体的に日常生活を営む上で欠かすことのできない権利です。
6 私たちは、利用者の生活支援に必要な権利擁護の制度を活用します。
利用者の心身の状況などにより、自ら情報を判断することや判断したことを表明することが困難な場合、利用者自身の権利を行使することが困難な場合には、成年後見制度や地域福祉権利擁護事業など日常生活に必要な権利擁護の制度を活用して、利用者の生活を支援します。
7 私たちは、つねに自己点検し、自らのサービス評価をすすめます。
介護支援専門員は、それぞれが基礎資格とする専門職としての倫理綱領などをもっています。専門職は、利用者や第三者からの評価だけでなく、つねに自己点検をし、自己評価をすることによって、専門職としての倫理を守っています。もちろん、他者からの評価については謙虚に受けとめることを忘れてはなりません。
8 私たちは、つねに自己研鑽に励み、介護支援サービスの向上をめざします。
自己評価や他者からの評価により、自分がその役割を果たす上で必要な知識や技能を確認し、その修得を図っていくことは重要なことです。資質向上を目指す自己研鑽は、自らが満足するだけでなく、利用者によりよいサービスを提供することや、利用者自身が自らの生活を豊かにしていく基礎となります。
9 私たちは、つねに公正な介護支援サービスと介護サービスを求めます。
介護支援専門員は、利用者の自立支援と自己決定をすすめていく役割をもっています。利用者にとって必要なサービスを調整するうえで重要なことは、サービス事業者の利害や関係者の利害からつねに公正な立場を保つことです。それが、利用者の権利を守る基本でもあります。
10 私たちは、介護支援サービスをとおして、利用者の権利擁護につくします。
利用者の権利擁護をすすめる取り組みは、さまざまです。介護支援専門員は、介護支援サービスという業務をとおして、利用者が自立した日常生活を営むことができるように直接的に支援するだけでなく、利用者が安心して暮らすことのできる社会を築く役割をもっています。利用者の権利擁護はさまざまな取り組みによって支えられるのです。介護支援サービスは、権利擁護をすすめるさまざまな活動の一つとして位置づけられるのです。





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