・性格検査 | |
■ | 性格に関する側面を把握するためのもの。 臨床心理学の中で性格の特徴を把握することは、クライエントの精神的成長過程や治療過程の検討などの目的で用いられる。 |
・質問紙法 | |||||||||||||||||||
■ | 査定すべき内容に関する多種の質問項目を設定し、被検者の回答を得るという、自己報告に基づいた方法である。 個別でも集団でも実施できる。 実施対象は、小・中・高校生あるいは成人用というように検査が分けられていることが多い。 [長所]
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■ | ・矢田部・ギルフォード性 格検査(Y-G性格検査) | ||||||||||||||||||||||
■ | ギルフォードの人格特性理論に基づき、矢田部達郎によって作成された質問紙法の性格検査である。 因子分析によって12の下位尺度を設け、各下位尺度ごとに10問計120問の質問項目から構成される。 回答は「はい」「?」「いいえ」の3件法である。 手軽に実施でき、多面的な診断が可能であるため、広く用いられている。 回答者の意図的な反応歪曲に弱いという欠点がある(虚偽尺度を有していない)。 また、内的整合性(各項目の関係性)に基づいている検査だが、妥当性には基づいていないため、性格傾向を見ることはできるが、弁別はできい。 [12の下位尺度]
検査結果は、書く尺度の素点を結び、プロフィールを描く形式である。 全体的プロフィールの傾向から、プロフィールは5種類に分類され、類型論的な評価も可能である。 [類型レベルの判定]
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■ | ・ミネソタ多面人格目録(MMPI) Minesota Multiphasic Personal Inventory | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■ | ミネソタ大学のハサウェイとマッキンレーによって完成された、精神医学的診断の客観化を目的として開発された質問紙法の性格検査であ
る。 550問の質問項目からなり、「臨床尺度」「妥当尺度」、そして多数の「追加尺度」から構成される。 回答は「あてはまる」「あてはまらない」の二件法である。 質問数の多さ、尺度の詳細性において、信頼性が高い性格検査の1つである。 精神科から心理相談まであらゆる場面で用いられ、性格研究においては最もよく用いられる性格検査の1つである。 しかしその一方で、質問数が多いため、検査に時間がかかるのが難点である。 [MMPIの測定尺度] ・臨床尺度(10尺度)
・妥当性尺度(4尺度)
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■ | ・モーズレイ人格目録 (MPI) Moudsely Personal Inventory | |
■ | 1950年代にアイゼンクによって開発された質問紙検査。 アイゼンクは特性論的な立場と類型論的な立場とを繋ぐものとして、外向性−内向性と、神経症的傾向という2つの因子を見出した。 この因子を測定する目的で構成されている。 「外向性−内向性」はE尺度、「神経症的傾向」はN尺度と命名されており、日本版MPIでは各々24項目の質問で構成されている。 これに虚偽尺度(L尺度)20項目がさらに付け加えられており、さらに採点からは除かれている緩衝項目12項目を加えて全80項目である。 回答は「はい」「?」「いいえ」の3件法である。 プロフィールの類型化に関しては、E、N各々について3つに分類されており、3×3=9類型化が可能であり、解釈も比較的容易である。 その反面、9つの類型の中で解釈が困難なものがある場合もあり、また、9つの類型の中でさらに様々な下位型があるため、それらの判定に関しては慎重な態度 が必要である。 |
■ | ・EPPS性格検査 Edwards Personal Preference Schedule | ||||||||||||||||||||||||
■ | エドワーズがマレーの社会的欲求の概念に基づいて、その顕在性欲求リストを取り入れて作成した質問紙法性格検査。 マレーの社会的欲求の区分を基に15の性格特性が測定される。 検査は15の特性の中から2つの陳述を組み合わせた叙述文対(AとB)からなる225項目の質問で構成される。 対をなす陳述は社会的望ましさがほぼ等しいものが組み合わされており、そのいずれかを強制的に選択させる。 そのため、性格検査で生じやすい、社会的に望ましい方を選択するという回答傾向を統制できる。 [15特性分類]
[EPPSの特徴]
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■ | ・16PF The sixteen Personality Factor questionaie | |
■ | R.B.キャッテルの創案によるものであり、日本でも日本版16PF人格検査が公刊されている。 16PFの構成は12個の根源特性、4個の根源特性とに分けられ、各々10段階の標準得点化されており、プロフィール化が可能である。 回答方式はは3件法であり、合計で187項目である。臨床、産業などの様々な場面で使用されているが、いくつかの因子が明確に分離されていない点が、特に 日本版での標準化の過程で明らかにされている。 |
■ | ・TEG(東大式エゴグラム) | |
■ | 交流分析理論を背景に自我状態とそれらに配分された心的エネルギーを視覚的に理解しようとする検査。 3自我状態5要素からなり、合計60項目、3件法で回答する。 |
■ | ・SPI(下田式性格検査:6性格特性、3件法70項目) |
・精研式パーソナリティインベントリィ(5類型、4件法50項目) |
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・CPI(カルフォルニア人格検査:4群18尺度、2件法480項目) |
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・SG式向性検査(5因子、3件法100項目) など |
cf. | その他の代表的な質問紙法 |
■ | ・コーネル・メディカル・インデックス(CMI) Cornel Medical Index | ||||||||||||||||||
■ | 1955年、コーネル大学のプロードマンらによって、医学的面接の補助手段として、初診時に短時間で患者の状態を把握するための問診
表として作成されたチェックリストである。 精神症状だけでなく、身体症状も加えた両面からスクリーニングできるのが特徴である。 また、情緒障害の評価としても有力な手がかりとして用いられる。 現在では、心身症や情緒障害の発見の手がかりとして用いられることが多い。 また、職場のメンタルヘルスに関するアセスメント手段として広く用いられる。 強迫神経症や恐怖には適さないという意見もある一方、器質的障害の症状を的確に反映するともいわれている。 [質問項目] ・身体的自覚症状(12項目の下位項目)
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■ | ・一般精神健康質問紙(GHQ) General Health Questionnaire | ||||||||
■ | イギリスのD.P.ゴールドバーグによって開発されたもので、日本でも日本版が公表されている。 GHQは神経症の複雑な症状を広く収集し、それを一般人に質問することで、どの程度その諸症状が存在するのかを見極めることを目的としている。 したがって、集団で精神健康度をチェックするためのスクリーニングテストや職場の健康管理のための資料として使用される場面が多い。 ただし、健康−不健康という一次元的で連続的な尺度を想定しており、性格特性を把握するためのものではないため、構造的にも論理的にも弱い部分がある。 それゆえ不健康という場合に、性的異常などの下位尺度での診断は不可能である。 また、一次元的尺度のどこに異常の線を引くかは一応は経験的にわかっているとはいうものの、今後の研究の余地は大いにあるといえる。 オリジナル版は60項目で、4件法で回答する。(ただし、採点の際は2件法を採用する) [質問項目](7のカテゴリー)
質問項目を因子分析した結果は、必ず7つのカテゴリーに分類されるわけではなく、「身体症状」「不安・不眠」「社会的活動障害」「鬱傾向」の4因子が見出 されたという場合もあれば、「一般的疾病傾向」「身体的症状」「睡眠障害」「社会的活動障害」「不安・気分変調」「鬱傾向」の6因子が見出されたという場 合もある。 その点では因子的妥当性に関しては疑問視されることがある。 また、GHQには短縮版としてGHQ28、GHQ30があり、GHQ28は上述の4因子から各7項目を選んで構成されており、GHQ30は上述の6因子か ら5項目を選択して構成されている。 |
■ | ・ツァン自己評価式抑うつ尺度(SDS) Zung's Self-Rating Depression Scal | |||
■ | ツァンにより開発された、抑うつ症状の重症度を評価するための代表的な質問紙による心理検査である。 重症度の評価だけでなく、スクリーニングなどにも用いられることが多い。 20の質問項目より構成され、各項目は四段階評価され、総得点で抑うつ度を示す。
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