・作業検査法 ■ 特定の作業課題を行わせて、その結果から個人の特性を知ろうとするのが作業検査であり、作業課題を行う際の意思の緊張、興奮、慣 れ、練習効果、疲労、混乱、欲求不満などがパーソナリティを反映するという前提に立つ。
[長所]
[短所]
(1) 実施が容易であり、適用範囲が広い。 (2) 反応が客観的である。 (3) 言語を媒介しない。 (4) 被検者の意図的操作が入りにくい。
(1) 性格の限られた面しか評価を行うことができない。 (2) 被検者に苦痛感を与える。 (3) 作業課題に対する意欲の有無が検査の結果に影響する。
■ ・内田=クレペリン精神作業検査 Uchida-Kraepelin Performance Test ■ クレペリンの連続加算の実験を、内田勇三郎が性格検査化したものである。(クレペリンが発案し、内田が発展させた。)
被検者に一列に並んだ数値を連続加算する作業を繰り返させ、それによって得られる作業速度の変化を示す曲線(作業曲線)を評価する作業検査法の心理検査で ある。
作業効率の安定性、誤答率、開始時や終了直前に見られる作業率の変化、休憩の影響などが評価のポイントである。
■ cf.ベンダー・ゲシュタルト検査 ■ 作業検査に分類される場合がある。
・その他の検査
■ ・ゲス・フー・テスト(人 物推定法) Guess-Who Test ■ 集団内の構成員の性格特徴を、第三者の目からではなく構成員相互の評価により診断するための検査方法。
各人に「集団の中で親切な人は誰ですか」「意地悪な人は誰ですか」といった質問用紙に記入させ(通常は複数回答を認める)、それを集計する。
ソシオメトリック・テストから発展した。
得られた結果の評価に際しては、あくまでも客観的な行動を評価したものではなく、構成員間の評価の反映であるという認識が必要である。
■ ・PILテスト the Purpose In Life test ■ V.E.フランクルの考えに基づき、J.C.クランバウによって開発された検査である。
個人がどのようなものに人生の意味を見出すかを探ることを目的としている。
A,B,Cの3つの部分からなり、Aは態度尺度と呼ばれる20項目であり、Bは文章完成法で、「何よりも私がしたいのは」のような文に続くものを書き込 む。
これが13項目である。
Cは自由記述であり、「あなたが生きていくこと(人生)にどんな目標や希望をもっていますか。詳しく書いてください」という問いかけに応じて自由に作文す る。
すなわち、狭義の質問紙法を越える様々な多面的な技法で情報を収集している点に大きな特徴がある。
特にB,C部分の解釈について、4つの枠組み(人生への態度、意味・目的、実存的空虚、態度価値)について7段階で評定され、個人の得点は11〜77まで 分布する。
この手続きに関してはかなりマニュアル化されているが、被検者との間のラポールが十分取れていないと、そもそもB,Cの自由記述部分が得られないため、分 析、解釈は困難になる。
■ ・Q分類(Qテクニック) Q-Sort Technique ■ スティーブンソンが創案した技法。
ロジャーズの自己一致理論を具体化するために生まれたものである。
一定の数からなる(数十枚〜百枚程度)カードを用いて、そのカードに叙述されていることが自分に最も当てはまるものから、最も当てはまらないものまでを並 び替えるものである。
カードには「私は一人でいることを好む」のような短文や「几帳面である」などの形容詞などが書かれている。
これを5段階ないし9段階で最も自分に適合するものから、しないものまで並び替える。
この5ないし9の数値を間隔尺度とみなす。
この際、現在の自己と理想の自己とに二回、分類作業をさせる場合が多い。
そして一回目と二回目の相関係数を取り、一般に正であれば自己一致、負であれば不一致であるとする。
ロジャーズの理論を実証的な調査の枠組みに入れることを可能にしたという功績は大きいが、5ないし9という数値が間隔尺度であるかどうかという点は疑わし いといえる。
個別に検査者と向かい合いながらカードを並び替えさせる作業には、治療的な効果も想定できるので、一種の心理療法とみなして活用していくことも可能であ る。