グレート時代のマジンガーZの身長・体重

 
 グレートマジンガーは身長25メートル、体重32トン。グレンダイザーは身長30メートルに体重280トンである。ではマジンガーZは?
 マジンガーZの身長・体重といって諸人が思い浮かべるのは「身長18メートル、体重20トン」というものであろう。ところが、これはあくまでも対ドクター=ヘル戦時代でのZのデータでしかない。グレート終盤戦時代以降については少なくともマジンガーZは超合金NZに換装されているので、このデータからは変わっていると考えるのがむしろ正しいだろう。
 では、グレート終盤戦時代以降のZのデータは存在するのかと探してみたところ、一つそれらしいものが見つかる。それが『別冊テレビランド6』S50.11にいう、「身長20メートル、体重18トン」というものである。これは時代としてはグレン初期の頃のZのデータということになるのだが、これを見て正直思ったところは、身長と体重を入れ替えて誤記しただけのものではないかということであった。しかし、このデータはその後も立風書房刊の『UFOロボ グレンダイザー第2巻』などにも記載されるなどしている。そして、重要なことには、この両書とも、ダイナミックプロの子会社である不知火プロの編纂した資料であり、資料価値は甚だ高いものである。それらも勘案するに、確たる反証もないのに短兵急に「誤記である」と結論するのは、いささか乱暴に過ぎるというのが、「研究」に身をやつしている者の等しく思うところの立場であろう。

 ここで、目を転じてアフロダイAの身長・体重の変遷を見てみよう。
 当初のアフロダイAは『マジンガーZ大百科(ケイブンシャ刊)』によると「身長15メートル、体重16トン。合金Z製」であったという。その後のアフロダイAのデータは実はいろいろあるのだが、最もポピュラーなデータでありかつダイナミック企画の公式設定であるところによれば「身長16メートル、体重18トン。超合金Z製」というのだ。
 お気づきであろうか?アフロダイAは合金Zから超合金Zに換装されて身長が1メートル伸びているのだ。
 もう一つ考証できることには、「グレートマジンガーは超合金NZ製で、身長25メートル・体重32トン」であるのに対してジェットスクランダー装備中のZは「超合金Z製、身長18メートル・体重21トン」になるのである。Zとグレートの身長に対する体重比をみると、両者は基本設計を同じとするのであるから、明らかにグレートマジンガーはその身長に対して体重が軽い。

    注: マジンガーZを超合金Zのままでグレートと同じくらいの身長にすると、頭部の冠部分を差し引いておおむね
       24メートルとなる。その時のZの適正体重は約50トンである。
       同サイズにした超合金Z製のマジンガーZは、超合金NZ製のグレートマジンガーよりも18トンも重い。

 これはそのまま、「超合金NZは超合金Zよりも材質が軽い」ことを示すのだ。超合金Zを更に精製した超合金NZが、超合金Zより軽いということは、それはそのまま「合金Zを精製した超合金Zは、合金Zより軽い」と見なして良いであろう。とすると、合金Zから超合金Zに換装し直したアフロダイAは、その分体重が軽く出来ることになり、それを支えていたフレームも太さをさほどには変えずとも多少の大型化が可能となるということなのであろう。実際のアフロダイAは逆に合金Zから超合金Zになって体重が増えているのだが、これは、合金Z製の時代のアフロダイAはミサイルが左右共に1基ずつ(計2基)しかなかったものが、後半でのアフロダイAがミサイルの連発が可能となり、左右共に最低6基(計12基)装備していることを確認しているので、その分を差し引くと充分以前より軽くなることであろう。実際、超合金Z製でミサイルが左右共に1基ずつ(計2基)だった時代のアフロダイAのデータと思われるものには、「超合金Z製、身長16メートル・体重12トン」(マジンガーZ企画書より)というものがある。
 
 このアフロダイAの実例を考えれば、マジンガーZも「超合金Zから超合金NZに換装した時に身長20メートル、体重18トンになった」可能性は大いに有り得ることである。しかも、『テレビランドS48.12』によると、光子力研究所ではその当時マジンガーZの出力増強計画を立てており、そのために「光子力エンジンを大型化するためにボディーも大型化すること」が検討されていた。これは、当時の超合金Zのままでのボディーの大型化はフレームの太さも大幅に変えることになり、大きくフレームの強度のバランスを逸する結果となるため見送られたのであろうが、超合金Zよりも軽量でかつ強度の強い超合金NZに換装出来ることになった時には、俄かに現実となり得るプランである。しかも、光子力エンジンの出力の増強によりZの武器の威力も増すとあれば、ミケーネ帝国の戦闘獣と対峙するためには是が非でも実現しなければいけない優先事項だったといえよう。
 それらの理由により実際にマジンガーZは「グレート時代に出力を6倍に高められた」わけであるが、そうすると、光子力エンジンの出力を6倍にまで高めるというほどの飛躍的な性能の向上は、「光子力エンジンの大型化」によって為されたものであるという可能性は俄然高くなるとは云えないだろうか。そして、その「光子力エンジンの大型化」のためには当然「ボディーの大型化」が必要であり、それらの理由もあわせて考えれば、マジンガーZは可能な限り身長を伸ばす必要が出てくることになる。つまり、グレート終盤においてのマジンガーZは、身長が以前より大きくなっている可能性はかなり高いと云えるのだ。
 ちなみに、もしマジンガーZが身長18メートルのまま超合金NZに換装したとすると適正体重は約12.3トンくらいである。そして、グレート終盤時期にもしマジンガーZが身長20メートルになったうえで超合金NZに換装されたと仮定すると、その適正体重は約17.2トン。Zとグレートの体型の差や、武装の違いを考えると、充分誤差の範疇であろう。

 ここにおいて、『別冊テレビランド6』S50.11に記載する、「身長20メートル、体重18トン」というデータは「単なる誤記」というには片付けられないほどに、他の様々な資料に符合してくる。否、有効な反証がない以上は「グレート終盤時のマジンガーZは身長20メートル、体重18トンである」とすべき類のものであろう。
 これが、現時点においての研究の結果である。