いろいろな病気編

いろいろな子どもの病気

 感染症以外のお子さまによく見られる病気について解説しました。外来で病気の説明があったとき、もう一度ご家庭で目を通しておいていただくとよいと思います

自家中毒

夜尿症

腸重積

臍ヘルニア

鼠径ヘルニア

陰嚢水腫

包茎

陰唇癒着症

川崎病

熱中症について

乳児の急性アルコール中毒について(フジテレビ「 情報プレゼンターとくダネ!」コメント)

自家中毒

 自家中毒症とは、210歳のお子さまが特に原因が無く、又は病気の経過中に急に吐き始め、顔色が青くなり、ぐったりする病気です。この病気はどちらかというと神経質な子が起こしやすく、何度も症状を繰り返すので周期性嘔吐症とも、また血液中に脂肪のカスであるケトン体(アセトン体)が異常に増えるため、アセトン血性嘔吐症とも呼ばれます。小児特有の病気で、小学校の高学年くらいになると起こらなくなります。

 ●自家中毒の症状

 症状は、悪心、嘔吐、腹痛、下痢と頑固な頭痛がよく見られます。このような症状がある時、尿の検査を行ってケトン体が陽性であれば、自家中毒と診断します。

 ●自家中毒の原因

 原因は、かぜや嘔吐下痢症、運動後の疲れ、強い緊張などの精神的ストレス等により、体の脂肪が分解され、脂肪の分解産物(燃えカス)であるケトン体が大量に作られると発症します。また、子どもが夕食を抜いたりすると、エネルギー源であるブドウ糖が消費されて無くなり、(非常用エネルギーである)脂肪が動員・分解され、やはりケトン体が大量に作られます。このケトン体が血液中に溜まってくると、人間は気分が悪くなり、吐き気がし、ぐったりします。

 ●自家中毒の治療

 治療は、吐き気止めの坐薬(ナウゼリン坐剤)を入れて、できるだけ水分(経口補水液など)と甘いジュースなどを少量ずつ頻回に与えます。吐き気が強い場合は、ブドウ糖を注射すると、脂肪の分解が抑えられ、症状が改善します。脱水を伴う場合は、点滴(輸液)を行います。

 ●自家中毒の予防

 予防としては、肉体的精神的にストレスが加わった時は、甘いものを早めに食べて、脂肪の分解(ケトンの産生)を抑える。食事を抜いて空腹のまま、就寝しない。適度のおやつを食べる。ふだんの食事で脂肪をとりすぎない。などの生活上の注意があげられます。

腸重積

 腸重積は生後5ヶ月から2歳前後の乳幼児に多い病気です。腸重積とは、腸の中に腸がめり込んでいってしまう病気で、早期に発見できれば特殊な処置(高圧浣腸)で腸は戻りますが、発見が遅れると腸が腐って手術が必要になってしまいます。腸重積は一刻を争う病気であるので、腸重積が赤ちゃんにとってきわめて重大な病気であることを理解している、小児科医の診察を受けることが大切です。

 ●腸重積とは

 腸重積とは、腸のなかに腸がめりこんでしまう病気です。小腸の最後の部分が大腸にめり込む回盲部型が最も多く、その他小腸に小腸がめり込む回腸−回腸型、大腸に大腸がめり込む結腸−結腸型もみられます。めり込んだ腸は、腸の動きによってさらに奥に入り込んでしまい、外側の腸に締め付けられて血流が途絶え、組織がくさって壊死(えし)におちいっていきます。そのため、早期に発見し、早期に元に戻す(整復する)ことが重要です。

 ●腸重積の症状

 症状は、突然の激しい啼泣、嘔吐です。今まで元気で機嫌のよかった赤ちゃんが突然大泣きしたり、嘔吐したりします。冬季、かぜの症状の後、起こることもあります。火がついたように激しく泣いたかと思うと、けろりとして機嫌が直ります。このような啼泣が間欠的に続きます。やがて吐物は黄緑の胆汁様に変わっていきます。この時点で腸重積が疑われ浣腸すると、イチゴゼリー状の真っ赤な血便が出てきます。

 腸重積は1000人に2〜4人の割合で発病するという、それほど珍しい病気ではありません。また、腸重積になったお子さまの10%が再発するといわれています。この病気はまるまるとした赤ちゃんによく起こるといわれており、また性別では男子が女子の1.5倍多くみられます。

 ●腸重積の原因

 腸重積の原因はよくわかっていません。ただ、かぜが流行るときに多いため、腸をつつむ腸管リンパ節が腫れて、これが腸を引き込むのではないか、という説があります。また、小腸にはメッケル憩室(けいしつ)といって、先天的に脹らんだ小袋が付いていることがあり、これが先進部になって腸重積を引き起こすこともあります(特に年長児)。

 ●腸重積の治療

 腸重積が疑われたら、まずおなかを触って、硬い腸のしこりがあるかどうかを確認し、次に浣腸して血便が出るかみてみます。超音波検査、腹部レントゲン検査を行い、腸の入り具合や腸閉塞の程度を評価します。腸重積と診断されたら、バリウムや空気を肛門から注入し、レントゲンで透視しながら、めりこんだ腸を圧力で引き出す高圧浣腸が行われます。90%はこの高圧浣腸で腸が元に戻り、それとともに赤ちゃんはみるみる元気になります。しかし、腸重積が起こって24時間以上たってしまった場合や高圧浣腸でも整復がうまくいかない場合は、開腹手術をして腸を戻し、またすでに壊死を起こしている部分は切除します。

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臍ヘルニア

 臍ヘルニアは赤ちゃんのでべそです。赤ちゃんのおへその周りは筋肉がないため、ここからおへその下の皮膚に、腸が飛び出してきたのが臍ヘルニアです。穴が大きいとでべそも大きくなります。

 ●臍ヘルニアの症

 泣いたとき腹圧でへそが飛び出します。特に痛みなどはありません。 9ヶ月を過ぎて、おなかの筋肉が強くなってきれば次第に目立たなくなります。

 ●臍ヘルニアの治療

 特に小さなでべそは治療は必要なく、放置でよいと思います。 

 大きなでべそについては、圧迫療法を行うと早くきれいに治るので、実施する医療機関が増えてきています(→臍ヘルニア圧迫療法)。

 もしも、1歳過ぎて皮膚のたるみが目立つ場合は簡単な手術ですので、小児外科で手術します。

鼠径ヘルニア

 鼠径(ソケイ)ヘルニアは腸や卵巣が鼠径部や陰嚢に入り込み、そこが異常に膨らむ病気です。

 ●鼠径ヘルニアの症状

 泣いたり、いきんだりしたときに鼠径部や陰嚢に異常な膨らみがみられます。特に痛みなどはありませんが、押してみるとぐじゃぐじゃしたり、硬く張りつめた感じがします。ふくらみが赤黒くなったり、異常に痛がり大泣きする、おなかが硬く張ってきたときは嵌頓(かんとん)ヘルニアの可能性があり、この時は緊急の手術が必要です。

 ●鼠径ヘルニアの原因

 睾丸(こうがん。おちんちんの玉)は生まれるまでに、腹膜鞘状突起(ふくまくしょうじょうとっき)という腹膜の突起(出っぱり)の管を通って、陰嚢に移動します。この腹膜鞘状突起は睾丸が移動した後、自然に閉じますが、これが生まれてからも閉じず、この袋に腸や卵巣が入り込んで鼠径部が異常に膨らむものが鼠径ヘルニアです。

 ●鼠径ヘルニアの治療

 生後3ヶ月までにヘルニアが出たときは1歳ごろまでに自然に治る可能性もあるため、とりあえず様子をみます。嵌頓へルニアの場合は緊急で手術になります。いつ手術になるかは小児外科医の判断を待ちます。

陰嚢水腫

 陰嚢水腫は、前出の腹膜鞘状突起(鼠径ヘルニア参照)がやはり閉じないため、ここに腹水がたまったものです。睾丸が膨らみます。

 ●陰嚢水腫の症状

 おちんちんのふくろ(陰嚢)が異常に膨らんで、さわるとぷよぷよします。痛みはありません。懐中電灯で照らすと、光が透けてきれいなピンク色に袋が光ります。

 ●陰嚢水腫の治療

 1歳ごろまでに自然に液体は吸収されます。あまり陰嚢が大きいときや硬いときは一度小児科か小児外科を受診して、本当に陰嚢水腫かどうか診察を受けましょう。

包茎

 ●包茎とは

 包茎は、おちんちんの皮(包皮)がむいて、おちんちんの中味(亀頭)を露出できたり、すでに露出している状態をいいます。

 赤ちゃんはみな皮をかぶった状態で生まれてきます。成長とともに皮はむけるようになりますが、全く皮を反転して亀頭を露出できない状態を、真性包茎といいます。
 
 鈴の木こどもクリニックの外来で、1歳以上のお子さまのおちんちんをむいてみると、少しはむける(おちんちんの皮が後退し、中の亀頭がみえる)人がだんだん増えてきます。少しでもおちんちんの皮がむければ、将来自然に皮がむけてくることが期待できるので、そのまま様子を見てよいでしょう。

 1歳以上のお子さまで、皮の先端(包皮口)が引っ張っても全く開かず、おしっこをするときに、皮の中がおしっこでぷぅーと風船のようにふくれる(バルーニングといいます)様なら、治療を考えたほうがよいでしょう(→おちんちんの皮はむく?)。

 ●真性包茎の治療

 包茎の治療は、従来はおちんちんの皮を切り取る「環状切除術」という手術が一般的でしたが、最近は「ステロイド軟こう療法」が盛んに行われるようになりました。この方法はおうちでお母さま、お父さまが簡単に行える方法です。手術のような、大掛かりな方法ではありませんが、成功率が高く、お勧めの方法です。
 お子さまのおちんちんがむけず、お悩みのお母さまは、かかりつけの先生に一度相談されるとよいでしょう。

ステロイド軟こう療法の実際:

 おちんちんの茎の部分を二本の指ではさみ、根元の方向に少し力を入れて均等にひっぱります。皮の先端の膨らんだ部分に病院で処方されたステロイド軟こうを少量すりこみます。べたべた塗る必要はありません。できるだけ皮の先端の内側に塗り込むようにします。1日に朝1回、お風呂上りに1回、計2回塗ればよいでしょう。

 2週間〜1ヶ月ぐらいで、少し皮が後退し、中の亀頭が見えるようになります。でも必ず、かかりつけの先生と相談しながら、その指導の下で行ってください。

陰唇癒着症

 時々、乳児健診のとき、われめ(小陰唇)がくっついて、左右に開かない赤ちゃんを見ることがあります。だいたい、お母さまは指摘されるまで、それに気づかれないことが多いようです。
これを「陰唇癒着症」といいます。

 ●陰唇癒着症の原因

 おふろのときに、女の赤ちゃんのわれめをあまり洗ってあげないと、分泌物が付着乾燥して、左右の小陰唇を固くくっつけてしまい、開かなくなってしまった状態です。

 ●陰唇癒着症の治療

 見つけた場合は、ピンセット等でていねいに癒着部位を広げて治療します。大体は左右に分かれて元通りになりますが、癒着がひどく、大学病院に紹介した例もありました。
日頃から、われめの部分をよく洗ってあげることが、大切です。

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川崎病

 川崎富作博士によって発見されたため「川崎病」とよばれるようになった、乳幼児に高熱が出て全身の血管に炎症が起こる病気です。正式には急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(MCLS)といいます。心筋梗塞を起こし、赤ちゃんの突然死の原因として怖れられてきましたが、現在では治療法が進歩し、専門医に管理されていればそれほど心配しなくてもよい病気になりました。

 ●川崎病とは

 川崎病は38℃以上の高熱が、5日以上1週間ぐらいも続く、赤ちゃんの病気です。発熱は1週間以上続く例もあり、しかも顔や身体も赤くなり、お母さまはそうとう心配になると思います。しかも、この病気が恐ろしいのは心臓の冠動脈という心臓を栄養している大事な血管が腫れて動脈瘤ができることです。この冠動脈瘤に気づかれずにいると、突然心筋梗塞を起こして死亡することがあるのです。

 川崎病は高熱が続く病気ですが、熱も発疹もそのうちおさまります。「かぜが長引いた」などと川崎病と気づかれず、治療もされずに放置されていると、25%に冠動脈瘤が残るといわれます。これが川崎病として、しっかりとアスピリン治療が行われれば後遺症発生は4〜5%に激減し、ガンマグロブリン大量投与をすればさらに1〜2%まで後遺症を低下させられると報告されています。

 川崎病の特徴ある顔は小児科専門医にとっては、なじみのものです。発熱が4日以上続くときは、必ず小児科専門医を受診して診察を受けることが大切だと思います。

 ●川崎病の症状

 突然38℃以上の高熱が出ます。そのほか、咳、鼻水がみられることもあり、最初はかぜと診断されるでしょう。

 しかし、熱は下がらず、5日以上続きます。さらに、白目が真っ赤に充血する。ただし、目やには出ない。唇が真っ赤になって切れる。舌がぶつぶつになる。口の内部が真っ赤に腫れる。発熱から2〜3日後に、いろいろな形の発疹がいろいろな所に現われる。BCGの痕が赤く腫れ上がる。手足の先がてかてかぱんぱんにむくみ、手のひらや指の先が赤い発疹が出現する。そして、発熱10〜12日後ぐらいに指先から皮がべろべろむけてくる。くびのリンパ節がはれる。などの川崎病特有の症状が現われてきます。

 ここで小児科専門医なら川崎病を疑い、厚労省川崎病研究班の川崎病診断基準に照らして、川崎病かどうか判断します。(「内科・小児科」医=内科医は成人病には詳しくても、川崎病は知らない人もいるかもしれません。必ず発熱が続くときは小児科専門医を受診することを強くお勧めします)

 発病は4歳以下、特に生後6ヶ月〜2歳の乳幼児に多く見られます。1.3〜1.5倍の割り合いで男子に多く、現在、年間発病数は60008000人、冠動脈の合併症は5.9%、死亡率は0.04%と報告されています。なお、川崎病に2回かかる再発例は全体の2〜3%、兄弟でかかる同胞例は1〜2%と報告されています。 

 ●川崎病の原因

 川崎病は全身の血管に炎症が起こる病気です(血管炎)が、原因はいまだに不明です。ただ、スーパー抗原といって、川崎病になると免疫をつかさどるリンパ球が異常に活性化することがわかっています。そして、溶連菌感染が何らかの役割を演じているのではないかと考えられています。

 ●川崎病の治療

 川崎病と疑われたら、入院して経過をみます。川崎病と診断されたら、血液の凝固を抑えたり、炎症をやわらげたりする抗凝固剤(アスピリン、フロベンなど)を飲みながら、心臓の合併症(冠動脈瘤=心臓の血管にこぶができて、心筋梗塞を起こすことがある病気。発熱10日目ぐらいから出現する)ができていないか、超音波検査や血液検査を行いながら経過をみます。重い例では、ガンマグロブリンを大量に点滴注射します。これらの治療によって、現在死亡率も冠動脈瘤の合併率も低下しています。

 ●川崎病の退院後の生活

 川崎病で入院したときは、退院後も抗凝固剤は必要な期間は飲み続けなければなりません。また、心臓の合併症(冠動脈瘤)の経過をみるため、定期検診は必ず受診しましょう。外来では、心電図、超音波などの検査を行い、冠動脈の状態を評価します。

 予防接種はガンマグロブリンを投与された場合は不活化ワクチンは6ヶ月、生ワクチンは6〜8ヶ月はあけるようにします。詳しくはかかりつけの先生と相談してください。

 川崎病は全身の血管炎のため、動脈硬化のリスクが高まるといわれています。赤ちゃんのうちから、濃い味付けやファーストフードは避けるなど、食生活にも気を配りましょう。

熱中症について

 熱中症とは、異常に高い環境温度(室温、気温)に長時間さらされて、体温調節がうまくいかなくなり、高熱が出て、脱水症状に陥ってしまった状態をいいます。

 ●熱中症のいろいろ

熱けいれん

 炎天下で水分をとらずに激しく運動した時に、手足の筋肉がけいれんすることをいいます。汗で水分とイオン(電解質)が失われたために、筋肉の細胞の水分が不足して起こります。また、イオンの含まれていない水だけ飲んでも、起こりやすいといわれています。

熱疲労

 暑い車内で汗をかいているのに、十分な水分を取らず、長時間過ごすと起こります。脱水を起こしているので、ぐったりし、頭痛や吐き気をうったえます。熱は40℃ぐらいまで上昇し、口が乾き、おしっこが減ります。熱疲労は、まだ体温調節までは障害されていないので、水分補給と身体の冷却を行えば回復する可能性があります(ケアは次章)。

熱射病

 夏の高温の車内に閉じ込められるなど、異常な高温下で起こります。あまりの高熱のため、汗が出なくなり、体温の調節機能が障害され、さらに体温が41.5℃以上まで上昇します。体の臓器すべてがダメージを受け、昏睡になったり、呼吸困難になり、死亡することもあります。

日射病

 長時間、直射日光に当たっていると、突然体温中枢が狂いだし、高熱になります。汗が出ず、めまい、頭痛、意識障害におちいることもあります。

 ●熱中症のサイン

 暑い所に長時間いて、熱中症になりはじめると、口が乾き、水分をほしがります。症状が進むと、ぐったりし、機嫌が悪くなったり、意識がもうろうとし、ウトウトしだします。汗が出なくなると、熱射病の可能性があり、きわめて危険です。

 ●熱中症の予防

 熱中症の予防としては、夏の外出は涼しい時間帯を選び、長時間の外出は避けましょう。また、外出時や特にドライブ中はお子さまの様子をよく観察し、こまめに水分補給を心がけましょう。また、日差しをさえぎることができるよう、帽子をかぶせたり、日よけを使うなりするとよいでしょう。

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