お 説 教 集

 

2008年4月20日 復活節第5主日
わたしは道であり、真理であり、命である
(ヨハネ14・6より)


ロワゼール神父様

今日はパウロの手紙を読んで、イエス様が私たちの生活の中心であることをはっきりと言っている気がします。私たちの信仰の根源は神様です。イエス様がわたしたちとともにいることは、私たちはキリスト者として有難いことですし、この信仰をいただいたことを感謝すべきだと思います。

きょうの朗読のなかで、イエス様は弟子たちに、一番最初のところで「心を騒がされるな。神を信じなさい、そしてわたしをも信じなさい」といいます。このことで、考えたいことがあります。あまり長くはしないつもりですが、フィリピンに行った宣教師の話をしたいと思います。その神父様は、私と同じ名前、つまりロワゼル神父様というのですが、ケベック会では私と同級生でした。彼はフィリピンのミンダナオ島でずっと宣教していました。

ある日、湾のなかを横切るかたちで、海にあそびにでようとしました。教会の侍者をするような若い人たちといっしょに、10人前後でボートに乗り込み出発しました。朝に岸を離れ、午後三時には戻ってくるつもりで出発したのです。

エンジンのついた細長いボートです、テレビでご覧になった方もおられるでしょうが、主となる船体の両脇に、バランスをとるために小さな船をつけています。横波に強いですよね。長さは10メートルくらいあるでしょうか。

朝から霧雨が降っていてあまり天気はよくなかったのですが、神父様たちは出発したのですね。しかし、途中でボートのエンジンが壊れてしまった。そのためずっと漂流してしまったのです。慣れていると思っていた海で、遭難してしまったのです。

次の日になっても戻ってこなかったので、飛行機での捜索がなされ、警察も捜索を始めました。何日間も探したけれど、海上で姿を確認されることもなく、どこの浜にも打ち寄せられることもありませんでした。結局、神父様たちは36日間も漂流していたのです。

漂流中はまず食べ物がありません。出発した日の翌日の分からありませんから。どうしたかというと、たまに海上に姿をみせるとびうおのような魚をつかまえて食べていたのです。でも、それもふんだんにあったわけではないようで、持ち合わせていた歯磨き粉まで食べたのでした。水はシーツに雨水をためて飲みました。

漂流中に近くを大型船が通ったこともあったようですが、気がつかれずに過ぎ去ってしまったようです。36日めに、日本の船が通って気が付いて、通り過ぎたところを引き返してその人たちを助けたのです。

どうして、子供たちがそんなに頑張ることができたのか。それは神父様の工夫にあったのです。朝から子供たちに日程をつくり、朝の祈り、昼の祈り、聖書の勉強などをずっとやらせたのだそうです。神様に助けを祈り、神様のおかげで必ず助かるという自信を持たせました。それで支えられて、みんな無事に助かることが出来ました。

私たちの人生も、やはり船に乗っているようなものだと思います。静かな海を順調に進むときもあれば、突然に突風に吹かれることもあります。変転がありますが、いつもわたしたちは支えられているのです。いつも神様から安心しなさい、私を信頼していなさいと言われているのです。その声を私たちは聞くことが出来ます。

イエス様はこの世に来て、ただまた天国に帰って、私たちを遠くから見ているだけではありません。私たちとともにいて、そばにいて、一緒に祈っていて下さるのです。それは力、存在です。それは父なる神の力を持つ方だから出来ることです。きょうの福音のなかで、イエス様が弟子たちに説明したようにです。「わたしが父の内におり、父がわたしの内におられると、わたしが言うのを信じなさい」。ほかの宗教にはない、私たちが信じるキリスト教の特徴はここなのです。神がそばにいてくださるということ。

それは人の子となったということです。降誕祭のときにこの世におりてこられ、一度葬られたあとで、復活し、そして天国に昇っていかれた。でも、私たちをずっと見守ってくださる。そのような信仰だから、私たちはいつも有難いと思い、感謝しなくてはいけないと思います。

この神父様のような経験をしましょうということではありませんが(笑)、私たちの日々の経験のなかで、イエス様がそこにいることを信じて、誰にでも祈りの力があることを信じていましょう。また、機会があれば、そうした自分の信仰を他の方にも伝えて行きたいと思います。


(文章については、特別に神父様からHP掲載の許可をいただいておりますが、テープおこしの段階などで、管理人の判断により修正を加えております。お説教録音テープの聴取が困難なときなど、文の省略もありますので、あらかじめご了承下さい)

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