経済流通の不安定や凶作による影響などの理由によって、売買・質入・貸借などに伴う債権・債務を破棄させたり、租税(いわゆる年貢や税金)の納入を免除する経済政策のこと。領民の救済を目的として、幕府や領主らの名で発布された。
これにより負債が帳消しになるため、領民の困窮や退散に歯止めをかけるために発布されることが多かった。
その反面としてこの政策を濫発すると、徴税を行う領主などの支配層や貸し金業者・商人への収入が夥しく減少し、最終的には発布者である幕府や領主への税収が減ることとなり、さらなる経済混乱を招く危険もはらんでいたため、為政者にとっても慎重な決断が求められたといえよう。
苛烈な租税の取立てにあう農民たちがこの徳政令の発布を求めて起こした蜂起や一揆を、とくに「徳政一揆」と呼ぶ。
また、徳政令を発布することで収入が減少することを憂えた幕府は、債務者に貸借の棒引きを求める代わりに、債務額の10分の1あるいは5分の1相当額を幕府に納めるという制度を考え出しており、これを「分一徳政」と呼ぶ。