根 root
根の形態
根系 root system 植物の地下部全体
機能 固着 (anchorage)、吸収 (absoption)、貯蔵 (storage)、通道 (conduction)
特殊な固着法
アイビー adhesive padを作って壁などに固着する
寄生植物(ネナシカズラなど)吸器 (haustrial)を宿主の通道組織に挿入
貯蔵 主として皮層細胞に澱粉を貯蔵する 篩部、木部も貯蔵組織となる
吸収 主として根毛 (root hair) で行われる
主根系 tap root system 主根、側根の系
主根が2.5 m以上の深さまで入るもの、主根が肥大しているものなどあり
発生
幼根 (radicle) が細胞分裂と伸長によって、主根 (tap root、primary root)を形成
主根から側根 (lateral root, secondary root) を生じる
側根からさらに分岐して、tertiary, quarterary roots を生じる
側根は、根のまわりに縦の数列で生じる
通常、列数は、原生木部の数に応じ、原生木部または篩部に接している
ダイコン 2、サツマイモ 5
鬚根系 fibrous root system 分岐の少ない多数の根による系 単子葉植物に普通
鬚根が浅く広がっているもの、茎の下部の節から側根がでているものなどあり
発生
主根が出るが、胚軸、幼茎から多数の不定根が生じ、区別がつかなくなる
鬚根の多くは顕著な内皮 (endodermis) をもつ
根の組織
根冠 root cap 根端の最先端部分 頂端分裂組織から外側に向けて増殖される
シンプルな形の柔組織状細胞からなり、短命でたえず入れ替わる
機能 根の発生、成長に必要 分裂組織を保護し、根が土壌に入り易くする
重力を感知して根の成長の方向を制御する
内皮 endodermis 通常、皮層の最内層に見られる鞘状組織
外立内皮 external endodermis
内皮が皮層の最内層のみ シダ類の茎、根、葉、種子植物の根に普通
両立内皮 double endodermis
外立内皮とともに、維管束より内側に1輪の内皮が存在する
内鞘 pericycle
内皮(両立内皮では外側の内皮)のすぐ内側に接する柔細胞の1〜数層
並層分裂によって側根の原基となる
表皮 epidermis
静止中心 (quiscent center) のうしろの始原細胞 (initial cells) から
前表皮 (protoderm) が作られ、表皮細胞の一部が根毛形成細胞(trichoplast) となり
根毛細胞を生じる
根被 Velamen
根の先端に、発生初期から、原表皮から作られた組織
並層分裂で2〜十数層になる 内容を失って、ところどころに裂け目
ラン科、サトイモ科、タコノキ科の着生種の気根の先端
根毛 root hair
細胞壁は薄く、核は先端部にあり、分岐はまれ 短命(数日〜数週間)
新しい根毛は根毛体の先端に作られる
根毛体の後部の根毛は死んで行く
ライムギでは、1日当り1億本以上の根毛を作る
吸収に役立つ 中央に大きな液胞をもつ
根毛を欠くもの:モミ、セコイア、沈水植物
根毛帯 root hair zone 根毛に覆われた領域 伸長帯より上 伸長は起こらない
伸長帯 region of elongation 根毛帯の下部 2~5 mm
根を土壌中へ伸長させる 内側に通道組織を、表皮に根毛を生じさせる
(通道組織が原形成層から作られる頃、吸収組織が作られる)
分裂組織帯 meristematic zone 伸長帯と根冠の間 根端から0.5 mm位まで
分裂組織 apical meristem
絶えず細胞分裂し、根冠と伸長帯の細胞を作り出す
基本分裂組織 ground meristem
基本組織系 (foundamental tissue system 表皮系、維管束を除く組織の総称
根では皮層、茎では皮層と髄)を分化する
前形成層 procambium
通道組織 (vascular tissue) を分化する
根端 root apex 根の先端とその近傍 頂端分裂組織とそれに由来する一次組織
茎頂との相違点
根冠が存在し、頂端始原細胞が裸出しない
節と節間の区別がない
根端での分岐は起こらない(内鞘で起こる)
発生 前分裂組織から前形成層、基本分裂組織、前表皮が分化
その後、中心柱(維管束と髄)、皮層、表皮、根冠が分化
静止中心 quiescent center 根端分裂組織の中心の小球状の部分
細胞分裂が極めて少ない
根の形を維持し、成長速度の調節に役立つ
成長調整物質を生産していると推測されている
特殊な根
貯蔵根 strage root (塊根 tuberous root, root tuber)
貯蔵物質を蓄える肥大した根 紡錘形、円錘形、球形など
ダイコン、ニンジン、サツマイモ、ダリア
気根 aerial root 空気中にある根の総称 機能はいろいろ
支持 (支持根、支柱根 prop root、支柱気根 prop aerial root) トウモロコシ、トマト
支持のほか気体の出入、養水分吸収 タコノキ、バンヤンジュ、マングローブ植物
物に付着 ノウゼンカズラ、キヅタ、ホウライショウ、ツルマサキ、イワガラミ
呼吸根 respiratory root ガス交換のための通気構造をもつ
マングローブ植物、ミズキンバイ(浮根 floating rootをもつ) チョウジタデ
寄生根 parasitic root 宿主の木部、篩部などの通道組織に接続
主根が寄生根 ヤドリギ(根冠なし)、ギンリョウソウ
茎からの不定根が寄生根 ネナシカズラ
(2008.11.18)